1985年9月14日生まれ。東京都出身。97年「第7回全日本国民的美少女コンテスト」にて審査員特別賞を受賞し、芸能界デビュー。00年放送のテレビドラマ『涙をふいて』で女優活動を本格的に開始し、01年には『3年B組金八先生 第6シリーズ』で性同一性障害に悩む鶴本直役を好演。その後も、03年『高校教師』や『ひと夏のパパへ』でヒロインを演じるなどドラマで活躍する一方、03年公開の『あずみ』や04年公開の『インストール』で主演を務めるなど、数多くの映画にも出演。今後の待機作品に、2013年12月公開の『武士の献立』、2014年公開予定の『テルマエ・ロマII』などがある。
1983年にNHK朝の連続テレビ小説で放送されるやいなや、平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という驚異的な視聴率で社会現象となった『おしん』。放送開始から30年となる節目の年に、その不朽の名作がスクリーンに蘇った。
劇中で、逆境をひたむきに生き抜き、見ているものに人々の絆や勇気を与えてくれる主人公おしんを演じたのは、本作が本格的なデビュー作となる濱田ここね。そしておしんの母親役は、女優として着実にキャリアを積み重ねている上戸彩がつとめた。約2500人の応募者のなかから、おしんの持つ純粋さ、芯の強さ、そして演技の可能性を買われて大抜擢された濱田と、誰もが知る名作に挑んだ上戸に作品への思いなどを聞いた。
濱田:最初は、緊張というか変な感じはありました。スタッフさんとか全く知らない人だったので「朝、移動するよ」って言われると、これから撮影なんだって思い、気分が悪くなったり、頭が痛くなったりすることがありました。でも、そういうときは上戸さんがいつも励ましてくれたり、私のこと褒めてくれたり、ずっと守ってくれたんです。だから(最後まで)撮影が出来たんだと思います。
上戸:そうだったんだね。でも現場では、そんな辛そうな姿は全然見せずに、いつも笑っていたんですよ。偉いね。
上戸:厳しかったですね。笑っていると「仕事だぞ!」って怒られたよね?
濱田:はい。辛いこともありました。でも上戸さんが優しくしてくれたから本当に嬉しかったです。
上戸:私の衣装合わせのために、事務所まで顔を出してくれたのが最初の顔合わせでした。そのときも、ずっと笑っていて、すごい可愛い子だなって思ったのですが、(劇中では辛いシーンが多いので)この笑顔がなかなか見ることが出来ないんだなって思ったら、もったいないな、寂しいなって思いました。
濱田:ソフトバンクのCMとか見ていて、とても憧れの女優さんだったので、お会いできて嬉しかったです。
上戸:ただただ尊敬しましたね。厳しい撮影で、もっと駄々こねていいはずなのに、そういうときこそ笑顔で乗り切ろうとするんですよ。そんな、ここねの姿を見ていると、すごいなって思いました。辛抱強いし、こんなに小さいのに母性もあって、自分が1番辛いはずなのに「上戸さん、悩みがあったら言ってくださいね。ここねが守りますから」なんて言ってくれるんです。
濱田:上戸さんは本当に優しい方で、出会えて良かったなって思いました。お母さん役でよかったなって。本当のお母さんみたいに感じました。
上戸:「彩なら大丈夫だから、彩なら出来るから」って暗示を掛けるようにピン子さんが何度も言ってくださって……。それでも最初はピン子さんが演じたふじが偉大すぎるので、無理だって言っていたんです。そうしたら「命懸れば大丈夫だから! 命懸ろ!」って背中を押してくれたんです。それで覚悟を決めました。
上戸:やって良かったって思えるのは、映画を見てくださった皆さんのリアクションがあってからだと思います。まだ実感はないですね。でも、ピン子さんが大事にしていた役を、ご本人から直接いただけるというのは、とても光栄なことなので、魂を込めて演じました。
濱田:本当の稲垣さんは、とても優しい人でした。私がメイクを落としているときに歌を歌っていたら「上手いね」ってずっと褒めてくれたりしてくれました(笑)。
上戸:吾郎さんは以前、ドラマなどでも共演させていただいていて、そのドラマチームで、プライベートでもお食事をご一緒させていただいたことがあったので、緊張せずに過ごせました。共演者をとても自然にさせてくださる方なので、今回も安心してお芝居が出来ました。
上戸:たくさんありましたよ。辛い局面の多い現場だったのですが、そんなときでもここねはいつも笑顔なんですよ。そんな姿を見ていると、私も頑張らなくちゃって思いましたし、弱音を吐かず、必死になって頑張っているここねと、夢中になっている監督を見ていると、この2人の空気感を絶対に壊してはいけないって、自然とここねに引っ張られていきました。本当に学ぶことが多かったです。
濱田:とても嬉しいです。私も上戸さんが現場に入ると心が落ち着くんです。
上戸:お母ちゃんがいないと虐められるシーンばっかりだったからね。
濱田:監督とかに怒られたりすると、とても辛くなって、私がおしんの役やってもいいのかな? こんな私でいいのかな? って。だから上戸さんの姿を見るだけでホッとしました。
上戸:いつ逃げ出してもおかしくない現場でしたからね。でもそれでも泣かなかったもんね。
濱田:監督さんも言っていたのですが、絶対演技をしないということです。自分がそのときに起きたことを心で感じていなかったら(表現)出来ないんだということを考えていました。あと(旧おしん役の)小林綾子さんから「その時に思ったことをアドリブにして入れればいいんだよ」ってアドバイスをいただきました。
上戸:ふじですね。色々なスタイルの家庭があると思いますが、やっぱり私はお母さんには家にいて欲しいと思いますね。家に帰ったら親がいるという安心感を子どもに与えられる母親になりたいですね。
濱田:上戸さんみたいな優しい人になりたいです。あとはふじみたいに、子どもを大切にしたり、絶対子どもを傷つけない大人の女性になりたいです。
上戸:家庭を支えられる人になりたいですね。仕事も楽しいですし、もちろん両立できるならそれが1番理想だとは思いますけどね。
濱田:おしんを演じて、ご飯を普通に食べられること、親と一緒にいられること、普通に学校に通えることのありがたみを感じました。昔ってこんなに大変で、みんな苦しい思いをしたんだって分かりました。
上戸:この映画を通じて、自分で自分の限界を決めないで欲しいということが伝わればなって思いました。私自身も「もう無理、もう限界」ってすぐに思っちゃうタイプなんですが、この作品に出会って、もっと頑張らなくちゃとか、普通でいることの幸せを実感しました。
濱田・上戸:姉妹の役をやってみたいね!
濱田:私と同じぐらいの子たちに、今の時代がどんなに恵まれているんだということを知ってもらいたいです。
上戸:ここねの魅力にどっぷりはまってください!
(text&photo=磯部正和)
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