何かに優れた人物を演じるのは楽しい
「フォー・ホースメン」と名乗る4人組のスーパーイリュージョニスト・チーム。華やかなショー会場にいながら、遠く離れたパリの銀行の金庫から320万ユーロを消失させ、大富豪の口座から1億4000万ドルもの巨額資産を移し替える。『グランド・イリュージョン』は、4人の華麗で奇想天外な“仕掛け”と彼らを追うFBIとの丁々発止に興奮が高まるめくるめくようなエンターテインメントだ。
この「フォー・ホースメン」の1人、ダニエル・アドラスを演じているのはジェシー・アイゼンバーグ。Facebook創設者マーク・ザッカーバーグの半生を描いた『ソーシャル・ネットワーク』（10年）に主演し高い評価を浴びた若手実力派俳優だ。
舞台劇の脚本も手がけ、コラムニストとしても人気のある多彩な彼に、『グランド・イリュージョン』について語ってもらった。
──「フォー・ホースメン」のメンバーであるダニエル・アトラスを演じていますが、役柄について教えてください。
アイゼンバーグ ：手先の技術に優れた、世界で最もすごいマジシャンです。彼は5歳にして友だちをもったりすることが苦手だと自覚し、1人で部屋にこもってマジックの練習を繰り返していたんです。そして、20年後に世界一のマジシャンに。性格は傲慢です。
──ミステリアスでスリリングで、見どころ満載の作品ですね。
アイゼンバーグ ：そうなんです。色々な要素が詰まっているので、様々な映画のジャンルを超えた作品だと思います。あまりにもたくさんのハプニングが起こりますから。僕が1番好きなのは、キャラクター全員がユニークな点。何かに優れた人物を演じるのは楽しいですよね。
1000人の前で演じるのは面白い体験で、自己嫌悪を克服できた
『グランド・イリュージョン』
──やはりショーのシーンが見事でしたが、撮影はどうでしたか？
アイゼンバーグ ：先に、数人で密接に関わるシーンを撮り、その後、アリーナでの最初のステージシーンを撮りました。ラスベガスのホテル、MGMグランドにあるステージの上に立ち、1000人の前で演じました。こんなに大勢の前で演じたことはなかったので、ワクワクしましたね。マイクをつけ、観客の前でふざけたことを言ったりしながら演じることは面白い体験であり、自己嫌悪を克服することもできました。
──「フォー・ホースメン」の2度目のショーが開かれるニューオリンズでの撮影についても教えてください。
アイゼンバーグ ：ニューオリンズは豊かな文化をもっているので、映画のテーマとピッタリ噛み合うように思いました。あの町は、パフォーマンス、マジック、イリュージョンといったものが本当によく似合うんです。毎日のようにパフォーマンスが行われているし、アメリカのなかで、いいえ、世界中で見ても特殊な土地です。だから、あの町で撮影できたことはとても素晴らしいことだと思います。
──監督のルイ・レテリエは、『トランスポーター』シリーズや『インクレディブル・ハルク』などで知られるフランス人ですが、仕事をしてみた感想は？
『グランド・イリュージョン』
アイゼンバーグ ：何より物語が面白く、大物スターが出なくても（作品の魅力だけで）成立する作品だと思ったので、監督がウディ・ハレルソンやモーガン・フリーマンら大物俳優を起用したいと思ったことに感心しました。実は、監督と会ったときに「他に誰と共演したいか」と聞かれ、「実際にこんなメンバーが集まったらすごいね」と言い合ったけれど、後で次々に（大物の）キャストが決まっていくのを知って、驚きました。それに、カメラアングルにしてもアクションシーンにしても、ユニークで革新的で、すごい監督だと思いました。
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