1956年7月9日生まれ、アメリカ、カリフォルニア州出身。俳優として数々の受賞歴を持つだけでなく、プロデューサー、監督としても活躍。ジョナサン・デミ監督の『フィラデルフィア』(93年)、ロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94年)で2年連続アカデミー賞を受賞し、ペニー・マーシャル監督の『ビッグ』(88年)、スティーヴン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』(98年)、ゼメキス監督の『キャスト・アウェイ』(00年)で同賞にノミネートされる。
2009年にソマリア沖でアメリカのコンテナ船マースク・アラバマ号が海賊に襲われ占拠された。現実に起きたこの事件をもとに映画化した話題作が『キャプテン・フィリップス』だ。
主演はトム・ハンクス。丸腰の民間人ながらも、乗組員を救うために海賊の人質となり、死を覚悟しながらたった1人で4日間の緊迫の時間を過ごすこととなったフィリップス船長を、リアルに演じ感動を誘う。アカデミー賞候補の呼び声も高い本作について、ハンクスに話を聞いた。
ハンクス:多くのノンフィクション・エンタテインメントをやってきた経験から言うと、悪人と善人を対立させて、誰が勝つだろう──っていう部分に焦点を当てるのが望ましいんだ。対立は派手に描くんだよ。もちろん、みんなは善人を応援するんだ。でも、ポール(監督)が興味を持っていて、彼の映画すべてに紹介されてきた「グレーゾーン」っていうものに、僕も興味があったんだ。
ハンクス:もちろんニュースは知っていたよ。でも、詳細までは知らなかった。
ハンクス:製作前に2回会ったよ。とても普通で気さくな人で驚いた。裸足でリクライニングチェアに座り、テレビでバスケットボールの試合を見ながらビールを飲んでいたんだ。事件のことは、船長から詳しく教えてもらい、とても参考になったね。
ハンクス:アラバマ号の姉妹船であるマレスク・アレグザンダー号で撮影したんだけど、素晴らしい体験だったね。頭を打つような場所がたくさんあるし、デッキは硬い金属プレートだから時間と共に足が痛くなってくるし。それに匂いも音も独特なんだ。大きな船だから揺れてもあまり感じないと思うかもしれないけど、実際はかなり揺れは感じたよ。振動は常にあるしね。
防音スタジオに作られたセットに入ると、よくそのリアルさに驚かされるけど、結局のところ、それは防音スタジオなんだ。その人工物が通常の世界から人工の世界へとの境界線となっている。でも船の上ではその人工の部分がまったくないんだ。ポールの望んだ撮影の仕方、そしてバリー・アクロイド(撮影監督)が慣れている撮影の仕方を含めて、このような場所で撮影を自ら行うということが、僕たち俳優から仕事の面倒な部分を取り除いてくれたと言えるね。それが僕たちがまったく違う場所へ行く過程をスピードアップしてくれた。
ハンクス:さっきも言ったけれど、普通、こういう映画は善悪をハッキリさせて描くのだけれど、この映画に関しては複雑な背景がある。映画に登場する4人のやせ細ったソマリア人は、腐敗した貧しい国に育ち、絶望的で希望が無い状態なんだ。悪人が生まれる背景は複雑で、この映画では「世界が不公平」ということも伝わると思うよ。監督も言っていたけれど、この世の中で1番やってはいけないことは「生きる希望のない若者に機関銃を与えること」だよ。悪を許すことはいけないけれど、複雑な背景を描くことには意義があると思うんだ。
ハンクス:ワールドカップとパンケーキが合わさったようなものかな(笑)。招かれたら楽しいパーティって感じだね。パンケーキをもらえたり、タダで何かがもらえるような嬉しさもある。実際、アカデミー賞ではタダでタキシードがもらえるしね(笑)。
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