1987年11月12日生まれ、熊本県出身。05年ドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。映画初出演作は06年の『ハリヨの夏』。以降、『蛇にピアス』(08年)、『ソラニン』(10年)など多くの話題作に出演。また、NHK連続テレビ小説『おひさま』(11年)で主人公の夫を演じ人気を博す。『軽蔑』(11年)で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、第26回高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞、『苦役列車』(12年)で第36回日本アカデミー賞助演男優賞を受賞。13年には、『蛇にピアス』で共演した吉高由里子との再コンビでも話題になった主演作『横道世之介』、『千年の愉楽』、『潔く柔く』、『ルームメイト』などに出演し、日本映画に欠かせない存在となっている。
江戸時代、刀ではなく包丁で藩に仕えた“包丁侍”と呼ばれるお役目があった。加賀藩お抱えの料理人・舟木伝内と跡取り息子の安信は、加賀のお家騒動を料理の腕ともてなしの心で乗り越え、当時の献立を記した「料理無言抄」を残した。実在した舟木親子を題材に、夫婦愛や家族の絆を描いたオリジナル脚本を映画化したのが『武士の献立』だ。
物語の中心となるのは、優れた味覚と料理の腕を買われて舟木家に嫁いだバツイチの春と料理が苦手な安信の若夫婦。兄の急死により剣術をあきらめて料理の道へ進むことになった安信は、春に包丁捌きを一から習い腕を上げていく。一方で、安信は親友に誘われて改革派の集会に参加するが、自分は藩主のために料理をするしかないことに無力感を抱く。春は春で、安信の秘密を知り、ひとり涙を流しながらも夫を支えていく。家族や夫婦の関係と進むべき道に悩み葛藤する安信を演じた高良健吾に、話を聞いた。
高良:どうしても自分の役ばかり見てしまうので安信についての感想になりますが、彼の子どもっぽさや不器用さを感じました。ただ、安信の態度とか行動は理解できたんです。家族のため自分の夢や好きな人をあきらめなければならなかったり。春(上戸彩)との結婚も自分が望んだことではないので、そういう状況であのような態度や行動をとる気持ちはわかる気がしました。
高良:役と自分との共通点にはあまり興味がないんです。どんな役でも、きっと理解はできると思うんです。それは、みんなそうなんじゃないかと。ただ、今回は台詞がとても覚えやすかったのですが、それはやはり自分に近い部分があるからじゃないですかね。
高良:侍の斬り合いは見ていて楽しいですよね。でも、それが時代劇のすべてではないですから。「加賀の誇りを料理で取り戻す」といった台詞があるのですが、相手を斬るのではなく、料理やおもてなしで誇りを取り戻す、という考えが面白いと思いました。そういう人がいたんだ、と。
高良:そういうジレンマは、形は違っても現代にもありますから、そんなに難しくはなかったです。この映画は、男女の関係にしても、時代劇らしくないというか、厳しくないと思うんですよ。なにより、安信はわかりやすい人なんです。でも、人としてはわかりやすいんだけど、安信の発言はわかりにくいというか……。
安信が最後に春に告白するシーンも、100%素直な気持ちで言っているとは思いません。素直な気持ちなんだけど、それがスラスラ出てくる人ではない。安信自身はあそこまで言わなくてもいいと思っているけれど、言わないといと伝わらないから言葉を絞り出している、というか、そんなところに安信の不器用さを感じますね。
高良:得意でも不得意でもなく、ほぼしたことがないという(笑)。ただ、安信に関しては、料理のセンスはあると思うんです。それに対して今まで向き合おうとしなかったからできないだけ。まずは向き合うことが大事なんですよね。同じことは人に対してもそうですし、夢に対してもいえると思います。
高良:安信の人柄だと思っています。あの時代にはありえないのかもしれないけれど、やはり素直な人なので。春に料理を助けてもらったのに怒るシーンがありますが、プライドを傷つけられたから怒っているだけで、彼は自分が悪いということをわかっているんです。
高良:苦手意識はなくなりました。
高良:上戸さんは、すごい方です。いろいろなことを乗り越えてきた人なんだと思います。オンとオフのスイッチの切り替えとか、現場でも堂々としているし、修羅場をくぐり抜けてきたんだろうなあ、と。
高良:安信が春に支えられている感じがします。僕は、楽しさが一緒というより、寂しさが一緒というほうが大切だと思うから、そこはきっとあるんだろうし。ただ、正直なところ、他人の夫婦の在り方にあまり興味がないんです。その人たちがよければいいと思う。
春と安信という夫婦にしても、2人が思うことは現場で表現したので、客観的になれないというか。「自分は素敵な嫁さんをもらったなー」という感じ。
高良:会話がある夫婦ですね。話し合うべきところは話し合ったり、互いに話したいときには話してきちんと相手の話も聞くことができる関係がいいですね。
高良:たくさん作品をやることだけがいいことだとは思わないのですが、とてもありがたいことだとは思っています。切り替えについては、準備期間が1ヵ月でも、1、2日だけでも、あまり変わらないです。常にその役に対して準備しているというよりは、毎日普通に生きているなかで何か準備していなければいけないというか、それが仕事という感じです。役者は楽しいことだけじゃない、でも幸せを感じる。仕事だからこそ常に準備していないといけない。
最近のことでは、『潔く柔く』の撮影が終わった直後に、『武士の献立』が始まったんです。(『潔く柔く』で)15歳を演じた後に、いきなり武士になったのですが、何もそこに違和感がないんです。僕は15の頃から容姿もあんまり変わっていないし、気持ちも変わってなくて、まぁそれは幼稚園の頃からなんですけど(笑)。だから、気持ちで15歳も演じられる。武士も同じで、武士として生きたことはないけれど、気持ちでやれるから。だから、準備って何だろう、と思うのですが、ひとつの役についてずっと考えたり感じたりする期間があるのは幸せなことだと思います。
高良:わくわくしたり、興味を持ったことを実際に見に行ったりとか。人に対しての繋がり方も昔からそんなに変わってなくて。昔は無意識にできていたことも、大人になるにつれて意識していかないとダメだと思うんですよね。好奇心を養う努力をすることが大事だと思っています。
高良:役者になったときに「こういうことができるようになりたい」と最初に掲げたことがあるのですが、それがずっとできないんですね、近づけているとは思うのですが、達成できたと感じるまでには何十年とかかるのかもしれない。壁というよりは、長いなあ、という感じ。26歳の1年も頑張ろうと思います。
──その目標は秘密ですか?
高良:はい。誰にも言わないけど、あります(笑)。ただ、ずっとあきらめないで続ける、ということが目標でもいいかな、とも思うんです。
高良:やっていたいですね。でも、まだ想像できないというか、そこまで先のことは考えないですね。遠い未来のことを考えまくると不安にならないですか? それより、1年後くらいを考えていたほうが楽なので。目標を達成するのは何十年後でもよくて、それができれば満足なんです。
(text&photo=秋山恵子)
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