1988年10月6日生まれ。東京都出身。中学生の時にスカウトされ芸能界デビュー。『COSMIC RESCUE -The moonlight generations-』(03年)で映画デビュー。『ALWAYS 三丁目の夕日』(05年)で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。12年にはNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』に主演。主な出演映画は『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(07年)、『大奥』(10年)、『百夜行』(11年)、『県庁おもてなし課』(13年)など。
幼い頃に自分たちを捨てた母が、父の死後に突然戻ってきた。戸惑いながらも母と兄と3人で暮らし始める主人公・麦子の姿を描いた『麦子さんと』は、吉田恵輔監督が亡き母への思いを込めて描いた心温まる感動作だ。
子どもたちを戸惑わせた挙げ句、すぐに死んでしまった母。納骨のため、母の故郷を訪れた麦子は、今まで知ろうともしなかった母の過去を知る。町のみんなのアイドル的存在だった若き日の母。そして、アイドルを目指して上京したこと……。
主演は堀北真希。自らはアニメ声優に憧れる一方、母の青春時代を知り徐々にひとりの女性として成長していく姿をみずみずしく演じている。そんな堀北に話を聞いた。
堀北:今回は最初に台本を読んだときにあまりピンとこなかったので、監督のご自身の体験談なども交えていろいろとお話していただきました。監督が私のことをイメージして書いてくださったというのもお聞きしましたし、いろいろな思いが込められているのを感じたので、そこからイメージを膨らませていった感じです。お母さんという存在は誰しもが共有できるポイントだと思うので、自分が麦子だったらという想像はしやすかったなと思います。
堀北:今は、彼女の人生のなかのどの地点なのかと考えながら演じていました。特に親に対しての気持ち、反発心だったり、色んな気持ちを想像しながら、彼女は今“どこ”にいるのか、というのを常に考えていました。正直に話すと、あまり私とは重ならないなと思ったんです。子どもっぽいというか。お母さんに対しての麦子はなんだか反抗期の子どもみたいですよね。演じていて「こんな時期もあったなぁ」と反抗期だった頃の自分を思い出しました(笑)。
私も反抗期の頃は、子どもだったので当たり前ですけど、どこかに出かけるのか誰と会うのかとか、その都度親に言わなくてはいけなくて、わざわざ言いたくないと思っていましたね。自分の部屋もなかったので、もっと自由にしたい、1人になりたいと思っていましたし。麦子さんの場合はお母さんとずっと離れていて、急に現れるという設定なので私とはちょっと違いますが、そういう気持ちはすごくよく分かります。
堀北:一歩踏み出したという感じですね。いっぱい変化していくわけではなく、ほんのちょっと成長したという感じ。親との関係性を築いていく年齢って、人によって違うんだということを、監督と話していて知りました。私は大人になってからずっと親と仲良しなんですけど、吉田監督が私くらいのときは親とどう接していいか分からなかったと言っていました。この作品の麦子の人生でいうと、お母さんと離れて暮らしていたぶん、中高生時代に来るべきだった反抗期が、今だったんじゃないかなという感じなんだと思います。
堀北:(母を演じた)余貴美子さんとのお芝居の後に彩子を演じたので、余さんのことを思い出しながら演じていました。それに、彩子はみんなのアイドルだったんだから、きっと愛らしいキャラクターだったんだろうなというのも想像しやすかったので、そこは意識して演じています。
堀北:松田さんは、ご自身もとてもマイペースな方なので役柄のまんまでした。だからなのか、お兄ちゃんと麦子のシーンは可笑しな空気が流れてましたよね(笑)。監督の狙いでもあったんだと思うんですけど、ちょっとちぐはぐというか(笑)。私はお兄ちゃんがいないので、いたらこんな感じなのかなって思いながら演じていました。余さんは、一緒にお芝居をしていて切ない気持ちになりましたね。一緒にお芝居をさせていただいて本当によかったです。
堀北:自分が続けたいと思っても続けられる仕事ではないと思っていますし、いつ、どの作品が最後になってもいいという気持ちで演じています。ただ、自分でない人を演じるのはとても面白いです。時代や設定が違ったりして、その役になりきるからその役の気分になれるので貴重な経験をしているなと。本当に真剣に誰かのことを分かろうと思ったら、分かるものなんじゃないかなと思います。
堀北:お母さんとの関係を描いた作品なので、誰もが自分と重ね合わせて見ることができると思います。お母さんがお母さんになる前……夢を追って1人の女性として生きていた人生もあったんだな、ということについて改めて考えさせてくれますし、お母さんへの気持ちが変わるような気がします。親子って近い関係だからこそ、逆に距離が離れている部分があるし、そんなときは、後悔してしまう前にいい親子関係に戻ってほしいですね。この映画を見て、親子で素直にものが言える関係になってもらえればいいなと思います。
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