1983年12月20日生まれ、アメリカ、カリフォルニア州出身。脚本家志望からニューヨークのニュースクール大学で演技を学び、友人の父であるダスティン・ホフマンの勧めでオーディションを受け、2004年に『ハッカビーズ』で映画デビュー。『40歳の童貞男』(05年)、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07年)などコメディ映画で活躍。『ヒックとドラゴン』(10年)で声の出演。『マネーボール』(11年)でブラッド・ピット扮する球団GMの若き助手を演じて第84回アカデミー賞助演男優賞候補に。12年にはチャニング・テイタム共演の『21ジャンプストリート』(未/DVD)で原案と製作総指揮も兼任。『ジャンゴ 繋がれざる者』(13年)など話題作へ出演、活躍の場を広げている。
演じた役柄とのギャップにまず驚かされる。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でレオナルド・ディカプリオが演じた主人公ジョーダン・ベルフォードの右腕として、公私ともに悪行のかぎりを尽くし、はしゃぎ倒すドニー・エイゾフを演じたジョナ・ヒル。
ディカプリオやマーティン・スコセッシ監督とともに、初来日を果たした彼はシャイと言ってもいいくらい、もの静かな青年だ。『40歳の童貞男』(05年)などコメディ映画で活躍した後、『マネーボール』(11年)でブラッド・ピットの助手役を演じ、第84回アカデミー賞助演男優賞候補となり、今回も同賞にノミネートされたばかり。30歳を迎えて、更なる飛躍を目指す彼に話を聞いた。
ヒル:ありがとう。信じられない気持ちだよ。本当にすごく光栄なことだ。
ヒル:そうだね。かなり非常識でぶっ飛んだ話だと思うよ。しかも実話だからね。彼らは本当にあんな日々を過ごしていたわけだから。それに、いまも同じような生き方をしてもいる。個人的には残念なことだと思うね。
ヒル:ドニーは主人公ジョーダン・ベルフォードの周囲にいた何人かの人物をひとつにまとめたキャラクターなんだ。そこから僕はドニーが社会においてどんな人間だったかを考えていった。似たような人物に会ってみるとか、そういうアプローチよりも自分自身で考えたものを表現していった。
ヒル:そうなんだ。オーディションを受けたのは6年ぶりだったよ。自分で望んだんだ。マーティン・スコセッシとただ会って話すだけじゃなく、オーディションで僕を見てほしかった。もし、チャンスを与えられたら、どんなことができるのかを、ちゃんと見てもらいたかったんだ。
ヒル:それは……僕にはわからない。監督に聞いてください(笑)。ただ、とにかくミスター・スコセッシは僕がずっと大好きだった監督なんだ。
ヒル:『グッドフェローズ』(90年)。1番好きな作品でもある。
ヒル:うれしいな。あれは僕が最高だと思う演技のひとつなんだ。オーディションの話に戻るけど、とにかくスコセッシ監督と一緒に仕事がしたかった。それで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の脚本を読んで、原作「ウォール街狂乱日記:「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生」も読んだ。すると、ドニーというキャラクターを絶対に僕が演じなければ、という気持ちにもなった。そうした情熱がすべてだね。
ヒル:僕のヒーローが監督する現場にいられる。それだけでもうすごくエキサイティングだった。とてつもなく皆が集中する現場だったから、ものすごく疲れもした。完成した映画の放つエネルギーを見ただろう? もうカオス状態だった。
ヒル:そうなんだ。毎日毎日、自分たちのやってることが信じられないような気分だった。しかもそれが本当に起こったことなんだからね。
ヒル:実は編集でカットされたんだ。完成作でドニーが初めて登場するシーンがあるよね。それよりも前に登場するシーンがあったんだ。
ヒル:スシのシーンだね。映画の終盤で、ジョーダンとドニーが2人でスシを食べているシーンだ。まだ見ていない人のために詳しくは説明できないけど、口に出して本音を語り合えない状況なんだ。心の中ではいろいろなことが湧き起っているのに、それを出しちゃいけない。そんな中で会話を交わすんだ。
ヒル:実際、シリアスなシーンはたくさんあるよ。描き方はハチャメチャだけど、同時にシリアスなんだ。
ヒル:今話題にしたスシのシーンもそうだよ。本当はレオが『ハマチを食べなよ』というはずが、僕が先に言ったんだ。『マグロもあるよ』とアドリブも入れたりしてね。だから、レオはその後何テイクも、最終的には気持ち悪くなるほど、ハマチを食べる羽目になってしまったんだ(笑)。何て言うのかな、スコセッシ監督は現場で“オーガナイズされた混沌”というものを築くんだ。とても厳格で統制のとれた、集中できる環境を作る。その中で徹底してめちゃくちゃに演じられるようにね。
ヒル:この作品をやった後、いろいろ考えさせられた。あり余る金とバランスをとることについて。何でも過剰になると、悪い方向に進んでしまうんだと思うようになったね。
(text=冨永由紀)
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