1983年8月11日、オーストラリアのメルボルン生まれ。オーストラリアのテレビシリーズ『Home and Away(原題)』へのレギュラー出演を経て、09年に『スター・トレック』でクリス・パイン扮するカークの父親を演じて映画デビュー。190センチを超える長身を鍛え上げて『マイティ・ソー』(11年)に主演し、世界的に大ブレイク。『アベンジャーズ』(12年)、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(13年)に出演。ほかの出演作にクリステン・スチュワート主演の『スノーホワイト』『レッド・ドーン』(共に12年)など。ロン・ハワード監督の次回作『In The Heart of the Sea(原題)』にも出演を予定している。
『ラッシュ/プライドと友情』クリス・ヘムズワース&ダニエル・ブリュール インタビュー
競い合い高め合う男同士のプライドと友情を演じた2人
本当に仲がいいふたりだ。びっしり詰まったスケジュールで疲れもたまっているはずの夕刻なのに、クリス・ヘムズワースとダニエル・ブリュールは軽口を叩き合い、写真撮影ではじゃれ合い、明るく親しみやすい空気を醸し出す。
ロン・ハワード監督の『ラッシュ/プライドと友情』では1976年のF1王者を争ったイギリス人レーサーのジェームズ・ハント(ヘムズワース)とオーストリア人レーサーのニキ・ラウダ(ブリュール)として火花を散らすライバル同士を演じている。素顔はむしろ大きな仕事をやり遂げた戦友といった雰囲気の2人に話を聞いた。
ブリュール:僕の気持ちをすごく盛り上がらせるもの……、それはやっぱり演じることかな。俳優という仕事に対してハングリーな気持ちはいまもあるし、もっと上達したいと思ってる。何かを成し遂げたいという気持ちかな。プライベートでは旅が好きなんだ。結局これも僕の仕事の特権だね。こうして日本に来て、いろいろな文化にふれることができて、それから、うーん……。クリス、続けて(笑)。
へムズワース:僕はサーフィンをするので、それかな。大きくて危険な波がくるとドキドキする。それって、いいことだと思うんだ。いまという瞬間に集中するしかないから。明日についてなんて考えられない。それから子育て。まさにいまは子育ての真っ最中なんだ。怖いし、楽しい。もうすぐもうひとり生まれるしね。これこそ、ラッシュだよ(笑)。
へムズワース:失敗すること。何かを達成できなかったことだと思う。以前、仕事がないかわりに時間だけがある、という時期があったんだ。そのとき、自分のやっていることについて考えさせられた。何がいけないんだろう、とか、ほかに何を学ぶことができるのか、といろいろ考えてリセットできた。失敗が大きなレッスンになった。この映画に描かれていることでもある。悲劇やどん底があったからこそ、はね返して前に進めるんだ。
ブリュール:僕は大人になるにつけて、周囲に感謝するようになった。自分が成長できたのは親が与えてくれた教育のおかげだし、友人たちにも支えられて、人間関係に恵まれていたと思う。若い頃って親に反抗的になるよね。でも、35歳になって振り返ってみると、いい両親だったと思う。だから僕自身も、わが子には愛情を注いで支援したい。といっても、まだいないんだけど。そこはクリスとの競争に負けている点だな(笑)。
へムズワース:派手な世界である一方、浮き沈みもある。人気レーサーのロックスターみたいな面は俳優にも通じるね。ただ、レーサーは個人の意見や態度がどんなひどくても、次の日にレースに勝てばOK。だけど、俳優はそうは行かない。どんなに素晴らしい演技を見せても、失言したら、次から仕事なくなっちゃう(笑)。それは大きな違いだよ。アドレナリンが大きく上昇するところも似てるけど、俳優はレーサーみたいに命がけじゃないね。
ブリュール:俳優同士にはあれほど苛酷な競争はない。レーサーの場合、チームメイトさえライバルだから、とても孤独だと思うんだ。その点、映画作りはチームワークが大切だね。チームメイトと協力し合うのが必須。そうしなければいい作品は作れない。といっても、大金をつぎ込んで全ての要素が完璧だったとしても、撮影当日に何が起きるかわからない。何かひとつでも間違いがあったら失敗してしまう。そこはF1の世界との共通点じゃないかな。
へムズワース:ほかにできることがない気がする(笑)。同じくらい楽しいと思えることもない。考えもつかないよ(笑)。あ、でも高校生のとき、将来について考えたことがあった。こんな仕事も、あんな仕事もある、と想像したんだけど、俳優になったら、真似事とはいえ、それが全部できるって思ったんだ(笑)。僕の両親は児童保護の仕事をしていて、僕もそのチャリティを手伝っているから、もしかしたら、それも選択肢のひとつだったかもしれない。
ブリュール:いい質問だね(笑)。実は僕、本を書いたんだ。才能があるわけじゃないんだけど、そこそこ売れた。まだパーフェクトにはほど遠いし、僕が偉大な詩人じゃないのは確かだけど(笑)
へムズワース:なんていうタイトル?
ブリュール:「One Day in Barcelona」。
へムズワース:フィクション?
ブリュール:そう。バルセロナでの完ぺきな1日についての物語なんだ。僕はスペイン人とのハーフなんだけど、3年前にベルリンにスペイン料理のレストラン「Bar Raval」をオープンしたんだ。これまでの出演作のなかにはあんまり自慢できないものもあるけど(笑)、この店に関しては誇らしく思える。もし、俳優業がうまくいかなかったらもう一軒開くよ(笑)。
ブリュール:彼が出てるよ(とへムズワースを指差す)。
へムズワース:(笑いながら、自分はブリュールを指差した後、真顔になり)アクションが多いにも関わらず人間ドラマとしての完成度も予想以上のものだったんだ。
ただ男同士が車で競い合うだけの話じゃない。彼らはライバルとして互いを高め合ったけど、それだけじゃなく、彼らのそばにいた女性たちも大きな影響を与えていた。彼女たちからインスピレーションをもらい、彼女たちに導かれた物語でもある。恋愛のエピソードもたくさんあるし。
ブリュール:ラブシーンいくつあった?(笑)
へムズワース:15くらい?
ブリュール:僕は0.5シーンくらいかな(笑)。
へムズワース:それでも実在のジェームズ・ハントの偉業の氷山の一角をかすったに過ぎないよ(笑)。
(text=冨永由紀)
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