1975年9月30日生まれ、フランスのパリ出身。舞台俳優である両親の影響を受けて子どもの頃から舞台に立ち、オルレアンの演劇学校を首席で卒業。ジャン・ピエール・ジュネ監督の『ロング・エンゲージメント』(04年)でセザール賞助演女優賞受賞。10年にはフランス文化を豊かにした貢献に対し、フランス芸術文化勲章を授与された。『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(07年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。代表作は、『TAXI』シリーズ(98年〜03年)、『ビッグ・フィッシュ』(03年)、『パブリック・エネミーズ』(09年)、『インセプション』(10年)、『ミッドナイト・イン・パリ』(11年)、『ダークナイト・ライジング』(12年)、『君と歩く世界』(12年)など。
『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(07年)でフランス人女優としては2人目となるアカデミー賞主演女優賞を受賞したマリオン・コティヤールは、『パブリック・エネミーズ』(09年)や『インセプション』(10年)、『ダークナイト ライジング』(12年)などハリウッド大作にも出演し、国境を越えて活躍する人気・実力を兼ね備えた女優だ。
そんな彼女が娼婦にまで墜ちていく女性を演じたのが『エヴァの告白』だ。1921年、戦火を逃れポーランドからアメリカ、ニューヨークへとやってきた主人公エヴァが、病弱な妹のために見知らぬ土地で過酷な生活を余儀なくされる様子が涙を誘う。
幸せになるために新天地へやってきたエヴァの転落を卓越した演技力で演じきったコティヤールが、本作について語った。
コティヤール:(男児をもうけたパートナーであり監督・俳優の)ギヨーム・カネと(本作の監督・脚本の)ジェームズ・グレイが、ギヨームの新しい作品の原案を一緒に書いていたんです。そんなことから、私と監督は何度か会い、食事を共にして、映画について語り合いました。意見の合わないときには白熱した議論を交わしたこともあります。
そんななかで、監督からメールが届きました。私のために映画の脚本を書いてもいいだろうかという内容でした。一緒に仕事をしたいと思っている映画製作者のリストがあるのですが、もちろん監督はそのリストに入っていたので、むしろ、脚本を書いてほしいとお願いするのは私の方だったんです。彼からのメールを読んだときの気持ちは言い表すことができないほどでした。
コティヤール:彼の監督デビュー作『リトルオデッサ』(94年)を見ていました。主演のティム・ロスが素晴らしかったので。ジェームズが自分の登場人物たちと、自分が伝える物語に対して持っている内的な関係に、私はすぐに反応しました。私にとっては、監督が特定の物語を伝えることを、生きるか死ぬかの大問題と捉えているかがとても重要ですが、ジェームズの場合はそうだとすぐに分かりました。後になって、彼の映画を全て見て、好きになりました。特に『アンダーカヴァー』(08年)が好きです。それに彼は女性の撮り方が最高です。
コティヤール:難しかったですよ。けれど、選択の余地はありません。できる限りのことをして、少しの訛りもないポーランド語を話さなくてはなりませんでした。時間もなかったので、何人かのコーチにレッスンを受けました。でも、撮影中に監督が私のところへやってきて、びっくりしたように言うんです。「ポーランド語のセリフが随分あるなあ!」って。ポーランド語のセリフを20ページも書いていたことにやっと気づいたみたいです。セットでの空き時間ができると、私はいつもノートに顔をうずめて勉強していました。
コティヤール:2人ともとても気前がよく、親しみやすい人たちです。時々、2人が5時間も話し続けようとするので、私は言ったものです。「また明日ね! 面白そうだけど、私には子どもがいるし、家に帰らないと」って。2人の仕事における関係は傍から見ていても素敵です。ホアキンは素晴らしい俳優ですし、私たちはクランクインの前に毎日会って、役柄について話合いました。彼に初めて会ったのはそのときです。彼には非の打ち所がない本能があるんです。野生の動物みたいに。
(フェニックスが演じた)ブルーノという人物は彼にとっては難しい役で、随分奮闘していましたし、彼が自分自身と闘っているのを見るのはとても感動的でした。時々、シーンを終えると、彼は私のところへやってきて、ブルーノがエヴァに対してしていることを許してくれと言いました。それ程優しい人に会ったことはありません。
コティヤール:ジェレミーの参加はとても遅かったのですが、すぐに家族の一員のように感じられました。私たち4人は兄弟姉妹みたいでした。今考えてみると、私たちは皆、強い感受性を共通に持っていて、各々それで格闘していたんだと思います。だから、より仲良くなれたんですね。
溺れかかっているエヴァにとっては、(レナーの演じた)オーランドは彼女を救ってくれる救命ボートのように見えます。エヴァはオーランドに会う度、自分が自由になれると信じたいし、希望に満たされるのです。
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