1965年11月30日生まれ、アメリカ合衆国ニューヨーク市ブルックリン出身。テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』で人気を得、コメディ俳優として活躍。94年に『リアリティ・バイツ』を監督・出演し高い評価を得る。『メリーに首ったけ』(98年)、『ミート・ザ・ペアレンツ』(00年)、『ズーランダー』(01年)、『ナイト ミュージアム』(06年)などに出演。『マダガスカル』シリーズではライオンのアレックスの声優をつとめてる。監督・出演した『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(08年)、『LIFE!』(13年)なども高く評価されている。
雑誌「LIFE」の写真管理部につとめ、無味乾燥な毎日を淡々と過ごす中年男・ウォルター。不器用で臆病な彼は、密かに片思いする女性に話しかけることすらできず、職場ではリストラの影がしのびよっていた。そんななか、雑誌の表紙を飾る写真を手に入れるため、彼は冒険家でもある著名カメラマンを追う旅に出ることになる。
これまで、『ズーランダー』(01年)や『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(08年)といったコメディを世に送り出してきたベン・スティラーが製作・監督・主演をつとめた『LIFE!』は、あわただしい日常のなかで忘れがちな人生の輝きや生きることの喜びをを再確認させてくれるファンタジックな人間ドラマだ。
俳優・監督としての新境地を開拓する作品であり、爽やかな感動と勇気をもたらしてくれるこの映画に込めた思いを、スティラーに語ってもらった。
スティラー:僕が演じた主人公ウォルター・ミティは、雑誌「LIFE」の写真管理部に勤めている。実人生では何一つ成し遂げたことがなく、突飛な空想のなかに逃げ込むことで退屈な毎日をやり過ごしている。一方、仕事仲間であるショーン・オコンネルは、戦争や自然を撮る有名な写真家なんだ。頑固な男でね。携帯を持たず撮影にはフィルムを使い、紛争地帯へ出かけていく。写真管理が仕事のウォルターとは電話だけの関係だが、互いを尊敬していた。だからショーンは、「LIFE」誌が廃刊になると聞き、ウォルターに財布を贈る。さらに1本のフィルムを送って、こう伝えるんだ。「25番ネガに人生(ライフ)の真髄が写っているから、最終号の表紙に使え」とね。ところがフィルムを見ても25番だけ欠けているんだ。当然 ウォルターはネガ捜しに必死になる。それが物語の軸だ。ネガを見つけるためショーンの居場所を捜すのさ。
スティラー:脚本がすごく面白くて、感動的で新鮮だった。そこに一番引きつけられたね。ジャンルの枠にはまらない作品だ。コメディにもドラマにも冒険ものにも分類できない、現実的とも超写実的とも言える。でも その核にあるのはキャラクターで、すごくリアルに描かれていると思った。(主人公の)ウォルターには俳優として感情移入できたし、個人的にも彼の心境に共感できた。
スティラー:僕らは普段の生活で常に先のことを考えたり、心配事や課題に頭を悩ませたりしている。今、このときの体験を心から味わっていない。大抵は これからの出来事に期待してるか、起きたことを後悔してるかだ。意外にも、その瞬間の出来事を心から感じることは多くの人にとって難しい。そこは共感できる点だと思う。ウォルターに似た経験は誰にでもあると思うんだ。例えば 誰かと話してるときに頭のなかで変な空想をする。本当はこうしたいとか、どこかへ行きたいとかね。それは僕にも分かるよ。
スティラー:コツをつかむまでは試行錯誤してたよ。あまり効率はよくないね。俳優の僕には監督がいないから、自分の判断に任される。だから普段以上に積極的に工夫しないとね。全体を考えていろいろ試し、編集段階の映像をイメージするんだ。そして他の俳優に視線で意見を求める。スタッフを見回して「いいと思う?」とかね。危険なことだし、少し孤独を感じることもあるよ。次のシーンに進むかどうか、決めるのは自分だからね。それに自分の演技も判断しなきゃならない。でもコツさえつかめば、みんなとの共同作業だ。通常とは勝手が違うから、撮影監督や俳優やスタッフの協力が欠かせないよ。
スティラー:彼は、“完璧さ”を表す象徴的な存在なんだ。彼は表現者として、完璧で誠実な仕事をする。ほとんど登場しなくても観客に訴える存在感が欲しかった。だからショーン・ペンは、僕の第一候補だったよ。ショーンはもともとそういう資質を備えてる。それにユーモアのセンスも抜群なんだ。普段の作品では、あまり見られない一面だけどね。
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