1973年4月14日生まれ、アメリカのニューヨーク市出身。ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』(02年)で実在のホロコーストの生存者を演じ、米アカデミー賞最優秀主演男優賞をはじめ数々の賞を受賞した。以降、ピーター・ジャクソン監督『キング・コング』(05年)、ケン・ローチ監督『ブレッド&ローズ』(00年)、ウェス・アンダーソン監督『ダージリン急行』(07年)『グランド・ブダペスト・ホテル』(14年)、スパイク・リー監督『サマー・オブ・サム』(99年)、ウディ・アレン監督『ミッドナイト・イン・パリ』(11年)といった名監督たちの作品に出演。その他、『ジャケット』(05年)、『ハリウッドランド』(06年)、『キャデラック・レコード 〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜』(08年)などに出演。
クリント・イーストウッド監督の『ミリオンダラー・ベイビー』(04年)で脚本をつとめ、監督作『クラッシュ』(04年)でアカデミー賞作品賞を受賞した名匠ポール・ハギス監督。その最新作が、3組の男女が織りなす極上の愛のミステリー『サード・パーソン』だ。
パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に、小説家と不倫相手、ビジネスマンとエキゾチックな美女、息子の親権争いの最中にある元夫婦らが繰り広げる愛と信頼、裏切りと、その向こうにほのかに見える希望の灯を通じ、人々にとって本当に大切なものに気づかせてくれる。
本作で、バーで知り合った美女モニカに惹かれていくいかがわしいアメリカ人ビジネスマンを演じているのは、『戦場のピアニスト』(02年)のオスカー俳優エイドリアン・ブロディ。ハギス監督との仕事を待ち望んでいたという彼に話しを聞いた。
ブロディ:ポールはとても興味深い監督だよ。彼はよく本作を、とてもパーソナルな映画だと言っていた。彼とは以前から、チャリティ活動等を通じて交流はあったんだけど、今回ようやく監督と役者として仕事をすることができたんだ。とても意義のある素晴らしいアンサンブルに仕上がったと思っているよ。僕は常に、内的・外的問わず、困難を乗り越える役柄を探していた。僕たちは皆、困難に立ち向かって、生きて、そして再び愛するからね。そして、それが本作のメインテーマだと思っているよ。
ブロディ:僕はいつも、自分に語りかけてくる素材を、必死で見つけようとしている。めったに出会えないけどね。それは、社会に大きく関わるものの場合もあれば、俳優としてだけでなく人間として僕に学びのプロセスをもたらしてくれる場合もある。この作品にはそれがあったんだ。人が前進したり存在したりすることを阻むもの、それを克服するために必要なもの、そして感情のプロセス。悲劇は多くの人の人生に降りかかってくるし、人はそれを乗り越えなくてはならない。さもないと将来の可能性を壊してしまう。
それにこの映画のキャラクター全員にはたくさんの欠点があると思う。彼ら全員が本当に欠点のある人間なんだ。映画は完ぺきな人々を創造するより欠点を称えるべきだと思う。人間は不完全だからね。不完全さや、そういう不完全さを克服する人間の能力を観察するほうがはるかに面白い。そのほうが英雄的なキャラクターより心に響いてくるんだ。
ブロディ:僕が演じるスコット・ウォレスは、人生で何度か間違いを犯してきた男で、間違いのいくつかは永久に残る、克服不可能なものなんだ。彼は多くのことに取り組んできた結果、自分を許せなくなっているのだと思う。そんな彼が商用の旅行中、ローマでとても魅力的な若い女性に出会う。彼女が体現する興奮が、彼にはある意味必要だったんだけど、それがまた彼の無秩序な人生の一章となり、人生の重みから彼を引き離すんだ。
ブロディ:生活のなかで、とにかく様々な事象に気を向けると(役が)語りかけてくるんだ。それらはまさに演じるキャラクターの直面している問題であったり、真逆であったりするんだ。
僕たちはみんな、広い意味で消失を体験している。例えば、『戦場のピアニスト』のときは役柄を咀嚼し、遙かな悲しみを自分のものにするのに膨大な時間をかけた。今回の僕の役は人生で最もヘビーな時間を過ごして、何とか抜け出す糸口を模索している。誰もが人生で一度は、彼に共感する瞬間があると思うよ。
ブロディ:映画を見に行って楽しむことは本当に素晴らしいエンタテインメントだと思うんだ。キャラクターと繋がることができれば、人生に新たな視点を切り開けるし、とても素晴らしいことだと思う。暗い部屋で、そのキャラクターの世界に入り込んでもらうことが僕の目的だ。この作品では多くの消失がある。そして、多くの愛と困難があって、とてもドラマチックな体験ができる。それに愛と消失は多くの人々が共感できる題材だと思う。そして、愛は最高のものだよね。
ブロディ:日本では素晴らしい思い出ばかりだよ! とてもエキサイティングだった。それに、実は個人的にも何度か日本は訪れているんだ。日本は大好きだよ。まだ具体的では無いんだけど、今、日本を舞台にしたラブストーリーを製作しようとしている。僕は日本人女性と恋する役なんだけど、実現することを願っているよ。そうすれば日本に行って仕事ができるからね! 本当に楽しみだよ。
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