1967年1月17日生まれ。韓国・慶尚南道金海の出身。大学を中退して軍隊に入隊。その後、91年に俳優デビュー。99年の『シュリ』で注目を集め、『JSA』(00年)、『殺人の追憶』(03年)で大鐘賞男優主演賞を受賞。ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』(13年)で世界進出を果たす。その他の主な作品は『大統領の理髪師』(04年)、『グエムル−漢江の怪物−』(06年)、カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞作『シークレット・サンシャイン』(06年)など。
その者の顔を見ただけで、内面から寿命まですべてを読み解いてしまう“観相師”。天賦の才を持ち、貧しい暮らしからの脱却を夢見ていただけの男が、いつしか国家の権力争いに巻き込まれていく姿を描いた韓国の歴史ヒット映画『観相師−かんそうし−』が日本で公開中だ。
本作に主演したのは、『殺人の追憶』(03年)や『グエムル−漢江の怪物−』(06年)などのヒット作に主演し、『スノーピアサー』(13年)で世界進出も果たした名優ソン・ガンホ。数奇な運命に翻弄される男の父性愛、欲望を、迫真の演技で表現している。
韓国でNo.1ヒットを記録し、“韓国のアカデミー賞”とも言うべき第50回大鐘賞で監督賞、主演男優賞など最多6部門を受賞した本作について、ガンホに語ってもらった。
ガンホ:普段から歴史に興味があって、もしタイムマシンに乗って過去に行けるなら、癸酉靖難(ケユジョンナン/本作の舞台ともなる1453年に起きたクーデター事件)が起きたあの時代に行きたい、といつも思っていました。あまりにもドラマチックで悲劇的な事件なので、一度その現場を目撃してみたいと思いました。時代劇が特に好きというわけではないですが、もし大学でまた学ぶとすれば歴史を専攻したいです。
ガンホ:私とよく似ているキャラクターだと思います。天真爛漫な姿から、人生に対する真摯な姿勢、悲劇的な状況のなかでも何とかしようともがく姿など、とてもよく似ています。そのすべてを私の内面から引き出しました。とても人間的でソン・ガンホ的な人物だと思います。
ガンホ:私たちの人生において決定的な役割を果たすとは思っていませんが、常に人々の関心を集める興味深い題材ですね。今回は観相師という職業を深く掘り下げて描いたわけではないので、実際の観相師に会ったりはしませんでした。興味深い題材と物語を通して、歴史をもう一度エンターテインメントとして捉えたらどうなるのか、というアプローチでした。
ガンホ:個人的にはエンディング・シーンが1番記憶に残っています。波を激動の歴史になぞらえ、そこにすべてが凝縮されているのです。実はエンディングもいろんなバージョンがあったのですが、この結末で良かったと思っています。
通常長いドラマは製作者や出資者から嫌がられるものですが、この映画はそんな声が出ないほど完璧な台本でしたね。
ガンホ:権力の非情さというものが結末に盛りこまれています。それは歴史の非情さでもあり、勝者の暴力でもあります。この映画を見ながら、本当に歴史というのは巡り巡って回っているのだなと感じました。冷酷ですがそれが現実なのでしょう。
ガンホ:まず、シナリオです。どんなストーリーなのか、その構成を1番重要視しています。時代劇の場合、シナリオの力が非常に大きな比重を持ちます。反面、現代劇では監督の力量とビジョンが大きく作用するのです。
ガンホ:月並みな言葉しか浮かばないですが、毎作品ごとにすべてを捧げベストを尽くすということです。それ以外に表現のしようがないですね。
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