『怪しい彼女』シム・ウンギョン インタビュー

イ・ビョンホンも絶賛の演技力! 韓国映画界きっての期待の若手女優

#シム・ウンギョン

子役の頃のイメージが残っているかもしれないという心配はあった

70歳のイジワルばあさんが、ある日突然、20歳の女性に大変身! 中身と外見がチグハグな主人公が巻き起こす騒動と奇跡を描いた『怪しい彼女』は、韓国で大ヒットを記録した笑いあり涙ありのエンターテインメント作品だ。

主演は、期待の若手実力派シム・ウンギョン。子役スターとして活躍し、最近では『王になった男』(12年)での演技も注目された彼女に、映画の見どころなどを聞いた。

──本作が初主演作ですが、いかがでしたか?

ウンギョン:実はプレッシャーも大きかったです。なぜかというと、子役の頃のイメージが残っているかもしれないという心配がありました。なので、本作の出演依頼が来たときには最初お断りしようかと思っていました。でも、シナリオをもう一度読んで特に最後のシーンが琴線に触れ、とても大きな感動があると感じました。このシーンひとつだけでも出演することにとても大きな意味があると思い、出演を決めました。

──見た目は20歳のキュートな女の子なのに、中身は70歳の口の悪いイジワルばあさんというギャップのある役で、大変だったのでは?

ウンギョン:撮影前から、この作品は他の作品とは全く違ったコンセプトでした。というのも、1人2役はよくありますが、2人1役という演技を求められたので、不可能を可能にしなければならなかったんです。(70歳のマルスンを演じる)ナ・ムニさんと撮影前に台本を読み合わせしながら、彼女の言葉使いや行動や動きなど、ポイントをすくい取っていきました。

──70年代の韓国の名曲が満載の音楽も見どころのひとつです。歌もご自身で歌われているそうですが、どのように撮影していったのですか?
シム・ウンギョン

ウンギョン:撮影の時はデモ曲を流しながら撮影をしました。本格的なレコーディングというのは撮影の直後にしました。撮影が終わったらすぐにヴォーカルトレーニングをスタートしてレコーディングに入りました。
 ただ私の声はトーンが低く、製作チームが求めていたのはハイヴォイス、ハイトーンで元気ハツラツな声だったので、 “悲しい曲の方が合うよね”ということになって……。実は、歌声は別の人に吹き替えてもらうかどうか製作チームは悩んでいたんです。でも、私はそれに反対しました。自分で4曲歌うことによって、(主人公の)オ・ドゥリのキャラクターが持っている真心や本心とか気持ちを表現できると思い、代役を立てないようお願いしました。代役を使ってしまうと、人工的に作られた感じが出てしまうのではないかと思ったのです。最終的には私の意見を反映してくださって、そのお陰で、私自身はありがたい機会を得ることができました。至らない実力だと思いますが、ベストを尽くして歌も頑張りました。

ラブストーリーの演技の経験がまだまだ足りないので最初の頃は悩むこともあった
沖縄国際映画祭でのシム・ウンギョン

──“孫”役を、人気アイドルグループ「B1A4」のジニョンが演じています。共演した感想は?

ウンギョン:私が会った新人の俳優さん、アイドルと呼ばれているなかでは1番頑張っているという印象を持ちました。情熱に溢れた方で、撮影時はとにかく台本を離さず、ずっと練習ばかりしました。時には、トーンを変えてみたりして演技の研究をしながら撮影に臨んでいて、本当に深く感動しました。むしろジニョンさんの姿を見て自分自身も我を振り返って反省もするようなりました。映画を終わってからも未だに連絡を取り合っていて、最近もB1A4のコンサートにご招待いただいたので、応援しに行ったことも記憶に新しいですね。本当にいい俳優さんであり、いいアイドル歌手だと思います。

──恋のお相手となるイ・ジヌクさんとの共演はいかがでしたか?

ウンギョン:彼は実際にお会いしても本当にジェントルマンです。今回の映画を見て分かっていただけると思いますが、イ・ジヌクさんと私とのシーンは濃いラブストーリーではないんですが、胸をときめかせるような感情を写し取っているシーンです。私自身はそういったラブストーリーの演技の経験がまだまだ足りないので最初の頃は悩むこともありましたが、イ・ジヌクさんはメロドラマやラブストーリーにも出られているので、私を引っ張ってくださいました。私が感情を表現する演技で至らないところは一緒に話し合いながらそして相談をしながら作っていきました。撮影中は、イ・ジヌクさんのことを信じて頼りにして、ずっと演じていました。

──ファン・ドンヒョク監督はいかがでしたか?

ウンギョン:(障害児虐待を描いた問題作)『トガニ 幼き瞳の告発』の監督だと聞いたので、ちょっと冷徹でクールな感じの方かと思っていました。けれど、実際にお会いして撮影を経験していくと、本当に俳優さんたちを気楽に、気持ちを穏やかにしてくれる方だなと感じました。そして俳優のことを思ってくれている監督です。そのお陰で私もナチュラルな演技ができましたし、ナチュラルな姿をたくさん映画に収めることができたと思います。
 監督と私は友だちのような間柄なんです。監督は格式張って距離を置くような方ではなくて、長い間、連絡をしなくても、久しぶりにお会いしても全然ぎこちなさがないそんな方です。いつ会っても笑顔で会える友だちのような仲です。

『怪しい彼女』
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──将来を最も期待されている若手女優No.1のウンギョンさんですが、今後はどのような女優になりたいですか?

ウンギョン:これからも良い演技を皆様にお見せできる女優になりたいと思います。つまり、初心を忘れずに、辛かった時期の心構えを胸に刻んでずっと演技をしていきたいと思います。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺がありますが、今より成長していきながらも、謙虚な気持ちを持ち続けたいと思います。そして、観客と一緒に息を合わせられる女優、いい演技を続けられる女優になるのが夢です。

シム・ウンギョン
シム・ウンギョン

1994年5月31日生まれ。韓国ソウル特別市出身。04年にドラマ『張吉山』でデビューし、子役として活躍。『ファン・ジニ』(06年)で主人公の幼少期を演じてKBS演技大賞青少年演技賞を受賞。映画では『サニー 永遠の仲間たち』(11年)で高校時代の主人公を演じ、『怪しい彼女』(14年)で第50回百想芸術大賞・最優秀主演女優賞など数多く受賞。近年の映画出演作は『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16年)、『サイコキネシス-念力-』(18年)。2019年4月〜5月に日本で舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」に出演。箱田優子監督の映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』が10月11日公開予定。

シム・ウンギョン
怪しい彼女
2014年7月11日よりTOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国公開
[監督]ファン・ドンヒョク
[出演]シム・ウンギョン、ナ・ムニ、ジニョン、イ・ジヌク、ソン・ドンイル
[DATA]2014年/韓国/CJエンタテインメント/125分

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