1959年3月18日生まれ、フランスのパリ出身。『サブウェイ』(85年)で注目を集め、『グラン・ブルー』(88年)で一世を風靡。『ニキータ』(90年)、『レオン』(94年)で女性のか弱さと強さの両面を描き若い世代からの圧倒的な支持を得る。その他の主な作品は『フィフス・エレメント』(97年)、『アーサーとミニモイの不思議な国』(06年)、『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』(09年)、『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』(11年)、『マラヴィータ』(13年)など。一時は監督業を引退したものの、『アデル/ファラオと復活の秘薬』(10年)で復活。プロデューサーとしても活躍し、『TAXi』シリーズや『トランスポーター』シリーズなどを手がける。また広末涼子主演の『WASABI』(01年)もプロデュース。私生活では、自作の主演女優であるアンヌ・パリロー、ミラ・ジョヴォヴィッチなど過去に3度の結婚、離婚を経験した後、04年にヴィルジニー・シラと結婚。
『ニキータ』(90年)、『レオン』(94年)、『フィフス・エレメント』(97年)などで女性特有のしなやかな強さを描き、ヒットを放ってきたリュック・ベッソン監督。そんな彼が再び強いヒロインに挑んだ『LUCY/ルーシー』が公開中だ。
主演はハリウッドのトップ女優スカーレット・ヨハンソン。偶然のアクシデントにより脳を全面的に覚醒させてしまう女性の姿を描いたスタイリッシュなアクション大作だ。人間の中枢を司るものの、その仕組みがほとんど解明されていない“脳”の謎をテーマに、パリ、台北、ニューヨークの3都市を舞台にしたスリリングな物語が展開する。
名優モーガン・フリーマンや韓国の実力派スター、チェ・ミンシクなどが脇を固め、見る者を興奮の渦へと巻き込む本作について、ベッソン監督本人に語ってもらった。
監督:もう覚えてないけど、たしか10年前だったかな。知能についての話を思いついたんだ。でも当時は私自身の知能が足りず、10年もかかったんだ。脚本を1本書くのにね。それでもこのテーマに惹かれて科学者と会ったけど、彼らの話には驚いたよ。ガンや細胞についての話だった。僕たちの体のなかでは無数の細胞たちが、毎秒1000もの信号を発信してコミュニケーションを図っている。ネットなんて比べ物にならないよ。
監督:ルーシーは普通の女の子だ。そんな彼女がある日、この世で1番の知識を持つことになる。愚かだが知性がある。そんなキャラが好きなんだ。どちらの側面もある、そういう表現をするのはとても楽しいね。
専門知識について、多くの著名な科学者たちに話を聞いたんだ。その内12人はノーベル賞受賞者だった。彼らは全員パリにある、脳・脊髄研究所のメンバーだ。美しい施設だったよ。彼らと一緒に時間を過ごして、話を聞いたんだ。夢中になって、色々な情報を聞いて、その内のいくつかは映画に取り入れたし、使えなかったものもあった。そうやって映画の材料を探したんだ。
監督:(準備段階で)脚本を読んだヨハンソンと話をしたんだ。楽しい会話だったよ。彼女は物語の意図を全て理解していた。彼女は本当の意味で関心を示してくれたんだ。つまり、物語に関心を示してくれた。それで僕は決めたんだ。彼女しかいないとね。
監督:(脳に関する)事実を伝えるために博士を登場させる必要があった。彼が話していることの90%は事実なんだ。そこにルーシーが登場してくるというバランスが面白いんだ。彼女の登場は映画的で、まさにエンターテインメントだ。でも博士の言うことは事実。だから、その2つの要素を素早く混ぜ合わせると、何が本当で何が嘘かわからなくなる。
ノーマン博士の存在は映画に信ぴょう性を与え、映画を成り立たせている。長年夢見ていながらも実現しなかったものが、突然目の前に現れたときの彼の反応を見るのも面白い。
監督:モーガン・フリーマンは2つの点で完璧な博士だ。まず第1に、彼はあの理論についてとても詳しかった。彼に会うまで知らなかったけど、すごく詳しかったんだ。彼はあの理論に関心を持っていたから、彼と会って話すだけでも楽しかったよ。優れた役者で言葉に重みがあるというのが2点目だね。
監督:(本作を見ることで)旅をしてもらいたいんだ。「どこへ向かってるんだ?」と感じてほしい。流れに身を任せてほしい。身を任せたら映画は乗り物になる。もし途中で現実に戻って考え始めたら、普通の映画になってしまう。でも流れに身を任せて、それを楽しもうと思えばきっと素晴らしい体験ができる。
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