1988年12月26日生まれ。愛知県出身。男性として生を受けるが幼少期より自身の性別に違和感を感じ始める。08年より名古屋を中心に雑誌モデルなどの活動を女性として開始
するが、10年にテレビ番組で性同一性障害であり、戸籍上は男性であることをカミングアウトする。その後もモデル、タレントとして活躍する一方で、映画『鉄拳 ブラッド・ベンジェンス』(11年)でスクリーンでヒューを果たすと13年には『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』に出演するなど、幅広い活動を繰り広げている。
モデルとして活躍している佐藤かよ。抜群のスタイルと愛らしい笑顔で人気を博しているが、過去には性同一性障害で生物学上は男性であることや、そのことをカミングアウトするまでの心境をつづったエッセイ本を出版したりと、自らの勇気で進む道を切り開いてきた。
そんな佐藤が次にチャレンジしたのが女優業。映画『鬼灯さん家のアネキ』で女子高生・水野麻衣を演じている。本作は、心に思っていることをなかなか言えない登場人物たちを切なくコミカルに描いているが「共感できる部分がある」という佐藤に撮影現場でのエピソードやプライベートの話を聞いた。
佐藤:全編でセリフがある作品に出演することが初めてだったので、セリフを覚えることってどうやるんだろうってところから始まりました。でも今泉(力哉)監督が私を自由に泳がせてくれたので、安心して演じることができました。
佐藤:私が16歳ぐらいのとき、制服を着て飲食店がたくさんあるような繁華街を通ったことがあったんですね。そのとき、外で立っているキャバクラみたいなお店のボーイさんに「ダメだよ仕事中、勝手に外出たら!」って怒られたんです。まだ16なのに……ってショックを受けたことがあったのですが、それから10年もたっているから、本当にいいのかなっていう思いは強かったです(笑)。
佐藤:人に思いを伝えたいと思うとき、それを言うことによって聞いた人が「おかしいんじゃない?」とか「人と違うよね?」って言われるのが怖くて素直に話せないという経験って映画だけじゃなく、私生活でもたくさんあると思うんです。でも私のなかで1番重要だと感じたのは、それを飛び越して自分の意見を言うことはとても大事だってことです。
佐藤:この映画に出てくる人は本音をしゃべらない人ばかりなのですが、色々な感情のやり取りを通して素直に自分のことをしゃべることができるようになるんです。そうすると、人間関係って瞬間的に変わったりするんですよね。そういう部分は私にとっても身近に感じましたね。
佐藤:私は思ったことをすぐ言ったり、感情にストレートな方です。友達にも「かよは絶対したいことをするじゃん!」って言われます。
佐藤:えージャイアン!? 好きだけど……似ているのかな? でも似ているのかもしれません。
佐藤:ひとつ上に兄がいます。離れて暮らしていますが、今でも仲はいいです。
佐藤:お兄ちゃんとの関係がここ何年で変わったということはないですね。小さい頃からの空気感や接し方は変わらないです。でもお兄ちゃんは口癖で「俺はお前みたいな女は絶対嫌だ」とか「タイプじゃない」って聞いてもいないのに言ったりするんですよ(笑)。
佐藤:すごく応援してくれています。ママなんか私のブログやツイッターを全部チェックしていて、私のツイッターによく返信してくださるファンの人の名前まで知っているみたいですよ。ただ、ときどき「ああした方がいい、こうした方がいい」って口うるさかったりするんですけどね(笑)。
佐藤:難しいですね。私って好きなものに対して理由が出てこないんですよ。頭で考えないで好きになるので。
佐藤:ないですね。その時々で性格も違いますしね。敢えて共通点を探すと、筋肉がある人、人見知りな人が好きかも(笑)。体型的にはがっちりしている人が好きで、あとは自分から相手のことを知っていきたいタイプなので、人見知りしないで、どんどん自分のことを話してくれる人って恋愛対象ではなく、友達になっちゃうんですよね。
佐藤:私は積極的ですね。分かりやすいですよ(笑)。友達にも「かよはすぐに分かる」って言われます。以前は相手からのモーションを待っていたこともあったのですが、自分の気持ちを表に出さずに、相手の気持ちを出させようとするのってずるいのかなって思うんです。だから自然と積極的になっちゃいました。
佐藤:結構男っぽい部分がありますね。付き合った人が、どんどん女の子みたいになっちゃうんですよ(笑)。いまの時代、男の子からガンガンくるタイプって、一通り女の子慣れしている人じゃないですか。逆に私が好きになるようなタイプの人って恋愛に奥手だったり慣れてない人なので、その人からのモーションを待っていたら、おばあちゃんになっちゃうので(笑)。
佐藤:いいですね! 筋トレとか好きな人いいです。できれば頭のなかまで筋肉みたいな人がいいですね。駆け引きとか無縁な感じの(笑)。
佐藤:私の知っている環境ではそういう感じはないですね。みんな優しくて年とか経歴を気にせず、分け隔てなく友達になってくれる子ばっかりです。
佐藤:「女優」って言われると逃げたくなるんですけどね。でもお話をいただけるのなら何でもやりたいです。宇宙人とか人間じゃなくても全然いいです(笑)。
佐藤:栗山千明さんや片桐はいりさんは素敵だなって思いますし憧れます。すごく個性的なのに、作品になじんでいて浮かない。格好いい女性ですよね。
佐藤:この映画は、心に思っていることを言えないけれど相手のことが気になるみたいな、もどかしい時間を経て人はどうするのか……みたいなことが描かれいます。そういう気持ちって私自身も身近に感じることができますし、共感してもらえるんじゃないかと思います。
(text&photo磯部正和)
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