『テッド』監督が贈る異色西部劇で「めっちゃイイ女」を演じたシャーリーズ・セロンにインタビュー
映画やドラマの舞台となることが多い西部開拓時代のアメリカ。ドラマティックな内容からあの時代に憧れる人も多いが、そんな描かれ方に大いなる疑問を突きつける映画が登場した！
『テッド』で一躍、時の人となったセス・マクファーレン監督の最新作『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』。その主人公で羊飼いのアルバートが暮らすのは、ズバリ、1880年代の西部開拓時代のアリゾナ。とは言っても、地味でオタクで腕力もないアルバートは、タフさ自慢の無法者と低モラルな民衆が町にあふれる危険な日々を嘆き愚痴ってばかり。そんな彼の前に、ある日、超一流の射撃の腕を持つミステリアスな美女が現れ……。
この「めっちゃイイ女」を演じるのが、ハリウッドきってのクールビューティ、シャーリーズ・セロンだ。「西部時代への適合性ゼロ」のアルバートと恋に落ちるアナを演じた彼女に、セス・マクファーレン監督の素顔などについて語ってもらった。
──セス・マクファーレン監督が主人公アルバートも演じていますね。共演した感想は？
セロン：素晴らしかったわ。いつもまだ1本しか映画を撮ったことがないと言うんだけど、もう20年以上も監督業を続けているかのようなの。彼が現場にいるのもごく自然だし、何を俳優やスタッフに求めているかがはっきりとわかっているわ。気がつくと彼は1人で7役ぐらいこなしているんだけど、周りにはそう感じさせないほど簡単そうに振る舞ってるの。一緒にいてとても楽だし、俳優に対してもどうあるべきかというはっきりとしたヴィジョンを持っているからこそ、現場の全員にとって励みになっていたわ。
セロン：演じていて楽しかったわ。アナは、新しい場所での期待や希望に溢れているの。今まで極悪人の女としての生活しか知らかなったし、他に選択肢がなかったから。だから、何もない田舎町でも、彼女にとっては最高なの。アウトローの生活をするには芯が強くなければならないけど、同時にそんな状況でも溌剌（はつらつ）としている。新しい未来にエキサイトする気持ちを表現できたのは楽しいことだったわ。
──アルバートとアナの関係について、どう感じましたか？ アナはなんでもできる美女ですが、アルバートは西部時代にはまったく向いていませんね。
セロン：でも、2人はあらゆる面でとても似ているから、すぐに意気投合したわ。アナは、アルバートと時間や知識を共有することが楽しいんだと思うの。彼女は今まで、極悪人の旦那の手下としかつるんでいなかったから、全く違うタイプの人と一緒にいることが心地いいのよ。それがアルバートなの。
セロン：アマンダ・セイフライドとの共演シーンはあまりなかったんだけど、彼女は一緒にいて一番優しい人だったわ。お互いに憎み合う役柄だったから、いつもセス（監督）に向かって「アマンダに対して、そんなセリフを言えないわ」って言っていたの。アマンダのドレスがダサいというセリフも、「私はそんなにいい役者じゃないから、彼女にそんなこと言うのはムリよ！ だって、彼女まるでお人形さんみたいじゃない」と言っていたのよ。
セロン：彼が最初に現場に現れたとき、誰もが感激したと思うわ。彼と共演しているときに感じていた威圧感は、ある程度リアルに反映されていたわね。でも彼は本当に素敵な人で、とても優しい人だったわ。彼は、まったく違う空気感を本作にもたらしたわね。
1975年8月7日、南アフリカ生まれ。15歳の時、アルコール依存症の父による家庭内暴力が原因で、母が父を射殺するという辛い体験をする。バレエ・ダンサーを目指して母と共にニューヨークに移住するが、膝の怪我で断念。その後、女優になるためロサンゼルスへ。1996年『2days トゥー・デイズ』で映画デビューし、『サイダーハイス・ルール』（99年）などに出演。2003年には実在の連続殺人犯を演じるために体重を大幅に増やして撮影に挑んだ『モンスター』にて、アカデミー賞主演女優賞に輝く。『スタンドアップ』（05年）でも同賞にノミネート。近年は、製作でも活躍。他の出演作に、『スノーホワイト』シリーズ（12年、16年）、『タリーと私の秘密の時間』（18年）など。
動画で見る
