1973年2月25日生まれ、東京都出身。サラリーマンを経てカナダのバンクーバーで映画制作修行。帰国後フリーランスの映像クリエーターとしてテレビ向けドキュメンタリーやプロモーション映像などを制作。ドキュメンタリー映画『うまれる』(10年)が大きな話題を呼び、第2弾『うまれる ずっと、いっしょ。』(14年)を制作。命・家族・絆をテーマに、地球と共生しつつ、皆がハッピーに生きる社会作りを、映像面から貢献できるフィルムメーカーを目指している。
『うまれる ずっと、いっしょ。』豪田トモ監督インタビュー
40万人を涙させ、命を、家族を見つめ続けるドキュメンタリー監督・豪田トモが語る「生きる意味」
2年にわたり4組の家族を追いかけ40万人を涙させた『うまれる』(00年)。NHKでも2度に渡って特集されるなど大きな話題を呼んだこの映画の続編『生まれる ずっと、いっしょ。』が11月22日より全国公開される。
血の繋がりをもたない父と子、長年連れ添った妻を失った悲しみを抱え続ける父親、不治の障害を持つ夫婦──苦悩し、悲しみ、幸せの意味を見いだそうとする人々の姿を通じ、「命とは何か」を訴える作品だ。
自らも家族のあり方に悩み続けているという豪田トモ監督に、本作に込めた思いなどを聞いた。
監督:僕は長い間、親に愛されているという感覚を持てず、あまり良い関係を築けずにいました。そのことがおそらく遠因ともなって、結婚や出産・育児などといったことに全く興味がありませんでしたが、「子どもは親を選んでうまれてくる」という考え方に出会ったことがきっかけとなり、(自身の)親子関係の改善を目的に映画『うまれる』の製作を開始しました。
監督:約2年、100組近いご家族の取材・撮影を通して、様々な環境のなかで命が生まれ、育まれていく姿を見させていただくうちに、自分も祝福と感動のなかで産まれ、愛されて育てられてきたのかなぁと感じられるようになり、親という存在を理解し、受け入れ、そしてこんなことを言っていいのか分かりませんが、許すということができました。
監督:親との関係を改善すると、自然と「家族っていいな」「父親になりたいな」と思うようになったんです。そうしたら、前作を一緒に作ったプロデューサーの牛山朋子が僕の子どもを宿し、映画公開とほぼ同時に、娘が生まれました。
しかし、小さく愛おしい命を目の前にした僕は、親であること、家庭を営むことは、自分が思うほど簡単なことではないとすぐに気づかされました。
僕は長年、家族との関係が良くなくて、「家族の肖像」の明確なモデルがありませんでした。そんな僕にとって、父親として、夫として、家族という物体とどう付き合っていけばいいのか全く分からなかったという部分が大きかったかもしれません。
どうしたら我が子に幸せな人生を送ってもらえるのか、そのために自分ができることは何なのか……いくらオムツ交換をしても、何冊子育て本を読んでも、答えは見つかりませんでした。
監督:あるとき、「子育てとは、我が子が”生きる”ための手助けをすること。”生きる”ということは、うまれて、そして死に向かう旅路。だとすれば、親が明確な“死生観”を持つことが、子どもを育てていく上でとっても大切なのではないか」と思いました。
親が、うまれることや生きること、死ぬことを知らずして、子どもに人生の指針を授けられるのか? 現実から目を背けていて、子どもに道筋を指し示していけるのか? 死生観を育むためには、人の「誕生」や「旅立ち」に向き合うことが重要なのではないでしょうか? 最も向き合いたくない、向き合いにくい題材に敢えてピントを合わせることで自分自身が成長しますし、その姿から、子どもは何かを自然と感じ取ると思うのです。
監督:(約4年間)カメラを片手に様々な家族を追いかけて完成したこの作品は、家族とは、父親とは、幸せとはという様々な不安・責任・希望を追いかけた僕自身の心の記録になりました。
ときに辛く苦しい行程でしたが、この映画を通して出会った様々なご家族のおかげで、人間として、親として、大きく成長させていただいたような気がします。映画を見ていただいた方それぞれに、感じていただけると信じています。
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