1979年8月15日生まれ。三重県出身。03年8月から世界40か国を旅し、10年4月にユニバーサルシグマからシングル「カーニバる?」でメジャーデビュー。同年12月には、デビューから8か月で日本武道館単独ライブを実施。12年には第63回NHK紅白歌合戦に出場し、アーティストとしての地位を確固たるものとする。
日本武道館での単独ライブや、NHK紅白歌合戦に出場するなど、アーティストとして確固たる地位を確立しているナオト・インティライミ。そんな彼が、初めて本格的な役者として出演した映画『神様はバリにいる』が公開を迎える。
劇中では、ちょっとお調子者で前のめりな男・杉田を演じたナオト。「幼稚園のころから役者になるのが夢だった」と語る彼に、堤真一や尾野真千子といった日本を代表する役者との共演や目指す道、パーソナルなことを聞いた。
ナオト:芝居をやりたいというのはずっと周囲に話していたことで、実は歌よりも先に芽生えていた夢だったんです。だから李(闘士男)監督からキャスティングのお話をいただいたときは、一つの夢が叶うというか、夢が始まるという思いで嬉しかったですね。
ナオト:日本を代表する役者である堤さんや尾野さんの間をちょろちょろするという役だったので、プレッシャーはありました。でも玉木(宏)さんを含め3人が、カメラの回っていないところでも受け入れてくれて「思い切りやれよ!」っていじってくださったので楽になりましたね。
ナオト:みなさんすごい迫力でした。ただ僕がどこかで躊躇してしまったら、次元の違うものになってしまうので「もう行くっきゃない」と無我夢中でしたね(笑)。約1ヵ月間バリにいたのですが、芝居の魅力に取りつかれていった充実の時間でした。
ナオト:自分と近いキャラだったので、演じる上では助かりましたね。特に堤さん、尾野さん、玉木さんと一緒にいるときの自分は杉田に近かったです。堤さんのことは、芝居以外でも兄貴って呼んでいますし、普段の兄貴とのやり取りも映画みたいでした。あとは、格好つけようとしても格好つかない部分とかも似ていますね。
ナオト:ライブに来られる方は知っていると思うのですが、決まらないんですよ。初めての武道館のライブでも、バラード歌い上げて格好よく決めたい場面なのに、あまりに気持ち良くなりすぎて、一礼するときマイクにおでこをぶつけたり……。お客さんも「なにギャグ? 演出?」なんて思っていたと思いますよ。ノットパーフェクトな人間なんですよ(笑)。
ナオト:そうそう……って、それじゃ問題じゃないですか!(笑)。でも一途という意味では近いかもしれませんね。恋愛すると一直線に向き合うという部分は共通しているのかもしれません。
ナオト:4つぐらいありますね。ひとつ目は高校1年のとき、担任の先生に「どんなに高く見える壁でも、目の前に行ってみたら自動ドアかもしれない」って言われて、音楽を目指そうと思ったんです。2つ目は最初のデビューでうまくいかず引きこもっていたのですが、そこからこのままではダメだと思って世界へ旅立ったとき。3つ目は2度目のデビューもダメで、サッカーを通じて、Mr.Childrenの桜井(和寿)さんと出会って、そこからコーラスをやらせてもらい道が開けたこと。そして今回も、小さな頃からの夢だった役者という仕事に出会えたことは、大きなターニングポイントですね。
ナオト:同じセリフでも、何通りも言い方があるわけですよね。声のトーンから、セリフを読むスピードなどで、同じ言葉でも違う意味を持たせることができる。この表現方法は衝撃的でした。自分の歌でも、全然違う歌い回しをすれば伝わることも変わってくる……。役者を経験して、歌にも多くのことを還元してもらえました。
ナオト:「何をミュージシャンが芝居なんてしてんねん」って思われるのは当然だと思うのですが、自分のなかでは夢が始まったという気持ちが強いんです。もちろん、ノリとか器用さとかで芝居ができるほど甘くないというのは、身を持って痛感しました。お芝居の世界の厳しさ、難しさ、奥深さも感じています。でも同時に、その魅力に取りつかれたというのも事実で、これからどんどん勉強していきたいって思っています。
ナオト:2年前にエチオピアのハマル族の村に行ったとき、自分のなかにふと沸き起こった「Catch the Moment」という言葉があったんです。「その瞬間を逃すな」ってことなんですが、現代社会において、僕らってどれだけ下を向いているんだろう感じたんです。もっと顔を上げて生活していたら、素敵なことを見つけられるんじゃないかってね。
ナオト:強く思うのはひとりが好きってことかな(笑)。1年に2〜3回山に籠るんですよ。ひとりで自炊して、寝ているかご飯食べているとき以外は、言葉と音に向き合うんです。仙人の修行のような生活。なかなか都会の喧騒のなかでは、自分と向き合うことって難しいですからね。立ち止まって、深呼吸する時間を求めているんだなって感じます。
ナオト:この作品で終わらないように、今後もいろいろな役をいただけるようにしっかり準備していきたいですし、お芝居に挑戦していきたいです。まあ、歌の方はちょいちょい頑張りたいです(笑)。
(text&photo:磯部正和)
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