1962年3月18日生まれ。大阪府出身。92年に武田真治と共に主演したテレビドラマ『NIGHT HEAD』で注目を浴び、95年には『愛していると言ってくれ』で耳の不自由な青年画家を演じ、多くの女性ファンを獲得する。これまでに映画、テレビで数多くの主演をつとめている。主な映画出演作に『きらきらひかる』(92年)、廣木監督と組んだ『やわらかい生活』(06年)、『愛の流刑地』(07年)、『今度は愛妻家』(10年)など。
西烔子による人気マンガを『軽蔑』『さよなら歌舞伎町』の廣木隆一監督が映画化した『娚の一生』。52歳独身の大学教授・海江田醇と、かつて海江田が好意を抱いていた女性の孫である(堂薗)つぐみが出会い、次第に惹かれあっていくなかでの不器用な大人の恋愛劇が綴られていく。
原作者に「等身大フィギュアがいるのかと思った」と言わしめた海江田役の豊川悦司が、『やわらかい生活』で組んだ廣木監督と再タッグ。マンガ原作ものを演じることの難しさや、榮倉奈々扮するつぐみとの関係、そして男女の恋愛についてまで語った。
豊川:シナリオの前に原作をいただいて読みました。「このマンガ、ファンが多いんだろうな」と感じましたね。それで身近な友人に、「娚の一生」っていうマンガ知ってる?って聞くと、「大ファンです」っていう人がとても多くて。俺で大丈夫かなと思ったのが第一印象ですね。
豊川:そうですね。「娚の一生」に限らず、『20世紀少年』のときもそうでしたけど、絶大なファンがいるマンガを実写映画するとなると、好き嫌いも当然あるだろうし、イメージと違うという意見もある。特に今回の海江田という人は、具体的に生身の体と言葉で表現するのは難しそうだなというのはありましたね。でもそれ以上に、西先生の作られた海江田醇というキャラクターがすごく魅力的で、こういう役ってなかなかない、せっかく僕を選んでくれたんだから、飛び込んでみようと思いました。
豊川:もちろん廣木監督ともお話しして、どの辺まで具体的にやるかのというのは考えました。ただ僕としては少しでも原作ファンを裏切らないビジュアルにしたかった。髪の毛の色だったり、衣装だったり。今回はいろいろ自分なりにこだわってやりました。
豊川:そうですね。海江田は哲学科の教授というだけあって、ひと言ひと言にすごく重みがある。海江田語録で日めくりのカレンダーが作れるのではないかというくらい(笑)。それくらいいいセリフが多いのですが、同時に活字で読んでいる分にはいいのですが、音になったときにどういう風に聞こえるのか、難しいなと感じるセリフはいくつかありましたね。
豊川:海江田が言い切るときですね。「恋なので仕方ありませんでした」もそうですし、「君は自分を大事にしなさすぎ」とか、「好きになるのはしんどい」とか。その言葉の内包しているものを、自分のセリフの物言いで表現できるだろうかという思いはありました。
豊川:たぶん西先生も意図的に、海江田に関西弁を喋らせている。それはやはりユーモアを出したいからなのでしょう。これがいわゆる標準語だったら、まったく違う感じになりますから。だから関西弁独特の、聞くだけでもちょっとコミカルというか、そういう匂いがある言葉については、自分のなかで大事にしました。
また、海江田が52歳ということも踏まえて、昔の上方漫才、ミヤコ蝶々さんとか、南都雄二さん、中田ダイマル・ラケットさんといった方たちのCDを探して、ず〜っと聞いてました。やっぱりリズム感があれば。それがあれば活字で見ている海江田の言葉に、何かリアリティを足すことができるのでは、と。
豊川:海江田ってやっぱり愛情に飢えてる男だと思います。ただそれを大人という蓋で閉じちゃっているのではないかと思いました。でも一旦、開けるとすごく愛に飢えている。それが、向井君が来るところなんかでも、出ているんでしょうね。
豊川:そうですね。
豊川:そうですね、目の前で起こっている事柄だけで判断して反応しちゃって、ショックを受けてしまう。でもなんかそれは男心として分かる気がしますね。
豊川:奈々ちゃんの長い脚が邪魔でしたね(笑)。撮るのが難しかったです。
豊川:求めるという行為を恐れることかな。欲しいんだけど、欲しいという行為が怖い。だから恋が怖いというよりは、恋をしたいことを怖がるというのが、ふたりに共通してるのではないですかね。
豊川:映画はどちらかというと振り切っているけれど、漫画を読むと、おばあちゃんに託されたというような伏線がある。だから最初、自分の初恋の人への気持ちを自分なりに残していて、亡くなったと聞いてきたら、孫娘がいたと。それで孫娘を見ていると放っておけないというところから入っていって、恋愛感情に移っていった流れが、海江田にはあったのではないかなという気がします。
豊川:上手く言えないのですが、男と女には時差みたいなものがあると思います。距離ではなくて時差。男がこう思っているときに、女はまだそれを考えてなくて、女がそう思っているときに男はまだそこまで行ってないみたいなことってあると思うんですよ。それを近づけていくのが、共有する時間の長さみたいなことだと思うんです。このふたりもそういう意味では王道のボーイミーツガールの形で、そうした時差が、日が経つにつれてなくなっていく。お互いのリズムが合っていくという感じです。
豊川:大人の世代でも、若い人たちと一緒なんだよという作り方をしている作品が増えれば、すごく嬉しい。欧米の映画だと、40代50代っていったら、逆に恋愛真っ盛りみたいなところがあるからね。日本ではそういうカテゴリーってなかなか成立しないんだけど、だから『娚の一生』のようなタイプの映画は、増えて欲しいし、また役者としていい物を作らないといけない。数少ないチャンスを生かさないといけないなと思います。
豊川:うーん。ご飯を食べているシーンかな。廣木監督はすごく演出していると思うし、ちょっとした座る位置や距離感、シーンの長さだったりを、とても計算しているというか演出してると思います。食事のシーンによって、古民家というほとんど舞台がほとんど動かない中で、ふたりの距離が、気づかないうちに近づいていっていることを表現している。だからそこは比較して見ていくとおもしろいのではと思います。
豊川:すごく愛おしいキャラクターでしたね。チャンスがあったらもう1回やってもいいくらい、一緒にいる時間がすごく楽しかったです。
(text&photo:望月ふみ)
(ヘアメイク:山崎聡/スタイリスト:長瀬哲朗)
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