1991年12月14日生まれ、大阪府出身。2005年にデビュー。07〜12年まで舞台「ピーターパン」で8代目ピーターパンを務めた。NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』(13年)で注目を集め、16年はNHK 連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に主演。その他、映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』『怒り』『アズミ・ハルコは行方不明』などに出演。2017年4月14日から舞台「エレクトラ」に出演。歌手としても活動。
直木賞作家・黒川博行の原作を、文化交流使として渡ったイスラエルから帰国後、初のドラマ出演となる森山未來を主演に、オール関西キャストで描いたノンストップエンターテインメント『煙霞 ―Gold Rush―』が、WOWOWの連続ドラマW枠で放送される。私立高校の美術講師・熊谷(森山)と共に、金塊をめぐって騙し騙されながら大阪中を駆け回るロック好きな音楽教師・菜穂子を演じた高畑充希にインタビュー。
小林聖太郎監督(『マエストロ!』)の下で伸び伸びと撮影できた現場での森山との共演から、実は音楽にはあまり詳しくないという意外な素顔、そして女優としての心持ちなどを聞いた。
高畑:そうですね。WOWOWはずっと出たかったので嬉しかったです。「ドラマW」は映画っぽく撮影しながらドラマであるというおもしろい枠ですし。それから、森山さんがイスラエルから戻ってきて初のドラマ作品。森山さんが出ていたNHKの『夫婦善哉』が好きで見ていたので、いつか一緒にお仕事ができたらなと思っていたんです。舞台でご一緒できる機会があるかなと思っていたら、今回このお話しをいただいて。俄然興味が沸きましたね。
高畑:すごく楽でした。もしかしたら私が勝手に気を使っていないだけだったのかもしれないですけど(笑)。森山さんのことはもともとリスペクトしていました。自分の地位を確立していながら、新しいことにどんどん挑戦していく姿が凄いなって。小林監督も、とても自由にやらせてくださる監督だったので、森山さんととても自由に演じることができました。
高畑:まず脚本を読んで、言葉が多いと思いましたね。その中でシリアスな出来事が起きたり、お金が絡んでいったりするんですけど、関西独特の雰囲気なのか、全体的に緩いというか、くたっとした空気を出そうとしているのがはっきりと伝ってきました。言葉のキャッチボールが、見ている方にとって耳にも目にも楽しいと感じてもらえたらいいなと思います。
高畑:普段はエネルギー全開で人をぶんぶん振り回すタイプではないので、周りの人が振り回されてくれるのは楽しかったです(笑)。森山さんが演じてる熊さんはどんどん巻き込まれていくんですけど、わたしはどんどん巻き込まれに行っている感じ。熊さんの「これはこうあるべき」みたいなところを、ガンガン壊していくような役なんです(笑)。
森山さんとふたりで歩くシーンが多いんですが、クランクインしてすぐに「どっちがどっちを歩く?」という話になって。たぶん菜穂子と熊さんの関係性だったら、支配というとあれですけど、菜穂子が完全に振り回しているので、「右側を歩きたい」といったら、「あ、やっぱそうだよね」って森山さんも言ってくださって。まだその時点ではほとんど会話もしていなかったんですが、すぐに関係性が見えました。
高畑:実は、普段、音楽をほとんど聴かないんです。
高畑:はまったこともないですし。
高畑:そうですね。私のルーツは完全にミュージカルなので。ミュージカルの曲はいっぱい知っているし、演目も山ほど見ていますが、普通のCDなんかは買ったこともほとんどありません。だから音楽については人並みです。歌のイメージを持ってらっしゃる方もいると思いますが、ライブシーンは自分にとっては他のシーンと変わりなかったです。ただ、ファッションやメイクとかって、その人のことがすごく表れるので、ロック好きな部分もキャラクターを掴む助けにはなりました。
高畑:ホント皆さんいい方でした。あと改めて関西人って人との距離が近いのかもって思いましたね。とても仲良くさせていただきましたし。いっつも皆さんと飲みに行ってました(笑)。
高畑:この仕事で食べていくという覚悟は強くなったかもしれないですね。昔は単純に舞台が好きで、好きということだけが原動力というか、極端な話、お金をもらえなくてもいいというような、趣味の延長上の部分もあったかもしれません。
でもここ数年は、わたし自身とはまた別に高畑充希という女優がいて、その人がこの役を選んだり、この役にチャレンジしたら、どんなおもしろさがあるだろうかとか、ちょっと自分と離れたところから見られるようになってきました。もちろん作品に入ってからは無我夢中ですが、それ以外の時間に、人にキャスティングしていただいてお客さんにお金を払って見ていただくという部分を含め、広い目を持てるようになってきたと思います。
高畑:めちゃくちゃしてます。いろんな魅力的なお話しをいただきますが、タイミング的にどうだろうとか、映像が続いたから舞台をやろうとか、結構いろいろ考えますね。というか、考えるようになりました。
──歌のときにもイメージの話が出ましたが、連続テレビ小説『ごちそうさん』や『バンクーバーの朝日』といった作品で高畑さんの印象をお持ちの方が多いかもしれません。でも個人的には今年立たれた舞台『いやおうなしに』もとてもおもしろかったです。「ビッチな女」の役でビックリされる方もいるかもしれませんけど。
高畑:ありがとうございます。ファンが減るかもしれない作品ですけどね(笑)。でもそういう役も絶対に演らなきゃって思っているんです。たまに「充希ちゃん、そんな人だと思ってなかった」みたいに言われて、どういう風に思われていたんだろうと不思議に思うこともありますが、どんな役も1ミリくらい自分の中で要素はあるんですよね。だから、この作品の菜穂子も、どこかでわたしがたまに人を振り回すときに出てくる自分を大きくしているのだと思います。
高畑:頭じゃなくて感覚でやった作品です。これからこれほど自由にやれる機会があるか分らないし、ちゃんと頭を使わないといけない現場も絶対にあると思いますが、今回はいい意味で肩の力が抜けていると思います。本当に好き放題、やらせていただきました(笑)。
(text&photo:望月ふみ)
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