1970年11月6日、アメリカ・テキサス州生まれ。13歳の時に俳優として舞台デビュー。映画デビュー作は『エクスプロラーズ』(85年)。アカデミー賞受賞作『いまを生きる』(89年)で脚光を浴びる。ジュリー・デルピーと共演した『恋人までの距離(ディスタンス)』(95)が話題を呼び、その続編『ビフォア・サンセット』(04年)、『ビフォア・ミッドナイト』(13年)も作られた。『トレーニング デイ』(01年)で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。その他、『生きてこそ』(93年)、『リアリティ・バイツ』(94年)、 『ガタカ』(97年)、『大いなる遺産』(98年)、『ハムレット』(00年)、など出演作多数。12年間かけて撮影された『6才のボクが、大人になるまで。』(14年)の演技も評判を呼んだ。
『パージ』ジェームズ・デモナコ監督&イーサン・ホーク インタビュー
その一夜だけは殺人さえも合法!? 衝撃の問題作を作った2人に聞く!
1年に1晩だけ殺人を含むすべての犯罪が合法になる法律、パージ法。この危険な法律が施行された近未来のアメリカを舞台にしたサバイバルスリラーが『パージ』だ。
現代社会の問題点をついたこの衝撃作『パージ』の見どころなどを、ジェームズ・デモナコ監督と主演のイーサン・ホークに語ってもらった
監督:妻と車に乗っていた時、無謀なドライバーによって妻が命を落としかけたことがきっかけなんだ。私は頭に来て、相手のドライバーに詰め寄ろうと車を降りた。妻に引き戻されましたが。車の中に戻ると、妻は私を見てこう言ったんです。『年に一度、好きにできたらどんなにいいかしらね』って。なんて怖いことを言うんだろうと思いましたよ。妻は医師なのに。それでも、その言葉が長い間頭について離れなかったんです。
監督:アメリカにおける暴力について話し合うきっかけになってほしいと思った。この作品には階級というテーマがある。ハリケーン・カトリーナ上陸時の政府の対応あるいは無対応、それに貧しい人たちに対するアメリカ人の態度からも、いろいろアイデアが浮かんだとも言えるね。
監督:初監督作『ニューヨーク、狼たちの野望』(08年)で組んだのだが、その時の彼の仕事ぶりを見て、主人公はぜひイーサンに演じてもらいたいと思った。あまり言葉を使わなくても以心伝心でわかり合えるし、前の作品でも今回の作品でも、とてもいい共同作業ができた。
監督:ジェームズは新たなアメリカの冷淡さを象徴しているんだ。「パージ」向けの防犯装置を富裕層に販売している彼は、パージのプロパガンダ──平和な社会はパージで犯罪者が粛正されるおかげ──を盲信しています。彼は“パージ”の恩恵を受け、“パージ”のおかげで金持ちになったのです。しかし“パージ”によって自分の家と家族が攻撃された時、すべてを考え直すことになります。
ホーク:作品の舞台がかなり近い未来に設定されている点が刺激的で興味深いと感じた。この映画の根底にあるのは、「家族のため」という名目のもとに倫理観から目を背けることができるかどうかという問題。ジェームズ・サンディンは自分を完璧な男だと思っているけれど、次第に、実はあらゆることをちゃんと把握できていなかったと気づいていく。物事は、彼が思っていたほど単純ではなかったんだ。
ホーク:怒りを表現するための正しい方法を探し出すのは、大人に成長する過程で最も大変なことだと思う。怒りを抑え込むのはだめだ。さらけ出すのもだめ。どうやって処理するのが正解なのか、自分の中でも明確な答えがないんだ。
ホーク:製作のジェイソン・ブラムとは20年来の友人なんだ。『パージ』の製作は1950年代へ後戻りしたようなところがあって、ジェイソンと僕は何とかして(B級映画の帝王)ロジャー・コーマンが作ったような映画を作ろうとしたんだ。それは僕自身、ずっと挑戦し続けてきたことだった。2013年には『ビフォア・ミッドナイト』も完成した。ジェイソンが『フッテージ』や『パージ』でやっているのは、気軽に見れるんだけどすごく質の良い映画を作ること。優れた演劇俳優がジャンル映画で新たな道を見つける、っていうのは昔からよくあるから、僕は彼らと同じ方向に進もうとしてるんだ。
ホーク:自分の本能的直感を信じて選んできた。この作品には社会的・政治的な何かがあって、そこに興味を持った。僕はどちらかというと演劇俳優だと思う。コメディアンでもないし、そうは言っても演劇作品はそうたくさんあるわけじゃない。だから、こだわりすぎずに色んな作品に挑戦しようという気持ちなんだ。
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