1987年9月29日生まれ。フランスのリール出身。7歳のころから演劇を学びはじめ、12歳でスクリーンデビュー。ジュリエット・ビノシュ主演の『ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー』(11年)、『キリマンジャロの雪』(11年)などに出演。『間奏曲はパリで』(14年)ではセザール賞有望若手女優賞にノミネートされた。
亡き親友の夫から「女性の服を着たい」と打ち明けられ、戸惑いながらも受け入れていく女性。特別な「女友だち」との秘密の冒険に踏み出した平凡な主婦クレールの姿を描いた『彼は秘密の女ともだち』は、女性の心理描写に長けたフランスのトップ監督フランソワ・オゾン監督が手がけた人生賛歌だ。
夫には内緒の秘密の時間を持つことで美しく輝き出すクレールを演じたのはアナイス・ドゥムースティエ。『間奏曲はパリで』(14年)でセザール賞有望若手女優賞にもノミネートされた注目株だ。生きることの喜びを見いだしていく女性の変化を巧みに演じた彼女に話を聞いた。
ドゥムースティエ:オーディションでした。フラソワ・オゾン監督はフランスでも最も優れた監督の1人です。彼の作品ということで、どうしても一緒に仕事をしたかった。やる気満々でオーディションに向かいました。シナリオを読んだとき、クレールという役はミステリアスでありながら、特殊なラブストーリーを体現していくというところに興味を引かれました。(オーディション合格の知らせは)違う映画の撮影現場にいたときに電話がかかってきたんです。本当にうれしかったわ。
ドゥムースティエ:はい、一緒に演じるのは初めてでした。共演はとてもうれしかったです。彼はこれまで、今回演じたヴィルジニアのような女装する役柄を演じたことがなかったそうです。「こういう役を演じるのが夢だった」とおっしゃって、やる気いっぱいで役に真剣に取り組んでいらっしゃいました。共演相手としても素晴らしい方でしたし、ダヴィッド(男)からヴィルジニア(女)という別の人間になっていくことにデュリスさん自身が喜びを感じていただけに、演じる彼を見ているうちに私も役に入り込んでいくことができました。そういう意味でもデュリスさんの熱心な演技が助けになりました。
ドゥムースティエ:すごく興味深いなと思ったのは、デュリスさんが女装しながらも男だ、ときちんと感じさせる点でした。それはオゾン監督が意図していたことですが、まるっきり女っぽくなってしまう俳優さんではなく、女装しているのだけれど男である、と観客に感じさせることが映画では重要だったんです。そんな男性が女装するからこそ、もろくて儚い部分も見えるし、観客も共感できる。見た目がすごく美しいわけではありませんが、絶妙なキャスティングだったと思います。デュリスさん本人は、すごく男らしくてチャーミングな方です。でも、ヴィルジニアという女としてみると、男でもなく女でもなく得体の知れない生き物だという感じでした。女優として彼と共演できてすごく面白かったです。
ドゥムースティエ:彼女がいかに変化し、明るく自由になっていくかというところでした。それはヴィルジニアの愛情と“彼女”との出会いのお陰です。人生は、だれかの存在によって変化させていくことができる。そんなストーリーのアイデア自体が素晴らしいものだと思いました。この映画では、クレールがヴィルジニアという存在のお陰で大胆に明るく解放されていくことが素敵で、その変化を楽しむことができました。。
ドゥムースティエ:フランスではあまりいません。(女装男子のサイトを見ながら)え?! これ全員男性なの? キレイだわ! テレビで何をやっているんですか? タレントさん? フランスにはあまりいませんね(笑)。
ドゥムースティエ:食事は楽しんでいます。日本食ではウナギが大好きなんです。パリでよく食べています。パリに日本食レストランはたくさんありますがすべてが美味しいわけではありません。だから、美味しい日本食レストランを色々探すようにしているんですよ。
ドゥムースティエ:映画『彼は秘密の女ともだち』は素晴らしいラブストーリーです。みなさん、ぜひ見に来てください。
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