1981年1月18日生まれ、韓国の釜山出身。2000年にモデルデビューしパリコレなどにも出演。03年にドラマ『威風堂々な彼女』で俳優デビューし、映画『オオカミの誘惑』(04年)でブレイク。その後、兵役を経て『群盗』(14年)に出演。主な出演作は、『デュエリスト』(05年)、『私たちの幸せな時間』(06年)、『超能力者』(10年)など。
モデル出身、クールなイメージで人気の韓国のトップスター、カン・ドンウォンが初の父親役に挑戦した『世界で一番いとしい君へ』は、17歳で父親となったハン・デス(カン・ドンウォン)とるチョン・ミラ(ソン・ヘギョ)、そして早老症という病を背負った息子アルム(チョ・ソンモク)の姿を描いたヒューマンドラマだ。
16歳にして80歳の身体年齢という息子との絆を、時に笑いも交えながら綴るこの感動作について、主演のドンウォンに語ってもらった。
ドンウォン:デスという人物に一番惹かれた点は、(今の)私の年齢でなければ演じられないキャラクターというところでした。「カン・ドンウォンが父親役だなんて……」と言う人もいましたが、デスの年齢は実際の私の年齢とほぼ同じなのです。更に言うと、デスは私よりも1歳年下です。
ドンウォン:最初にこのシナリオのことをソン・ヘギョさんから聞いて、「とても面白いね」と彼女に話したところ、彼女から「制作会社からシナリオをもらったら? あなたに合いそう」と言われました。皆、私がこんなシナリオを好きじゃないと思ったのでしょう。現実的な話にあまり引かれるタイプではないので。日常生活に関心を持つタイプではないのですが、今回は状況が極端ではないですか。子どものような親と年を取った息子。極端な状況下で家族について語るという点がとても新鮮で気に入りました。
ドンウォン:(原作のことは)全く知りませんでした。普段、小説はほとんど読まず、マンガばかり読んでいます。オファーをもらった後も今も、原作は読んでいません。もう読んでもいいと思うのですが、読む理由がありません。私はこのシナリオで演技をしないといけない俳優です。情報があまり多いと演じるときに邪魔になることがあります。シンプルな方が良いのです。
ドンウォン:デスは映画をより豊かにし、より愉快にする人物として描かれなければいけないと思っていました。息子のアルムが話を引っ張っていく役目であり、私がその中でたくさん楽しまないと映画がつまらなくなってしまうと思ったのです。そのため、高校時代の回想シーンを撮影するときなどは、よりファンタジックになるよう大げさに演じました。デスのダメなキャラクターをなるべく生かそうと考えたのです。そうすることで父親となったときに変化があり、この物語のテーマについて観客が再度考えることができると思ったからです。過去のシーンでは最大限ダメキャラで、現在のシーンでは最大限父親らしく演じたいと思いました。
ドンウォン:あのヘアスタイルは私がアイディアを出しました。デスはテコンドー部に所属しています。私の学生時代は、髪を脱色すると怒られていたのですが、運動部は黙認されていました。そこでアイディアを出しました。本当のヤンキーのような印象を与えるため、オキシドールで脱色したような色にしました。高校のときの記憶を呼び起こしたのです。制服のズボンを太くしてずらして履き、女生徒たちはスカートを折って短くしていました。このようなことを監督はご存じなく、私たちの世代だけが知っていることでした。
ドンウォン:10キロ程太りました。もともと64キロなのですが、『群盗』の撮影を終えてすぐ、74キロまで増やしました。76キロが目標だったのですが、周りからやめろと止められたのです。あまりにも不細工に映るのではと。高校生のときから72キロだったのですが、演技を始めて以降は68キロを維持するようにしました。どうしても画面だと太って見えるので、体重を落としたのです。『群盗』などで鋭いキャラを演じる場合には、64から66キロを維持しています。今回は75から76キロが目標でした。でも個人的には、映画を見てどうしてこれ以上太るなと言われたのかわかったような気がしました。映画でかっこよく映らなければならない役ではなかったのですが、プロデューサーが女性だったので、見栄えを心配されたのかも知れません。
ドンウォン:家出したデスが大人になって父を訪ねていくシーンです。感情が高ぶり過ぎて頭痛が起こるほどでした。リハーサルの途中であまりにも辛くて中断しました。このようなことは役者人生で初めてでした。
けれども本当に大変だったのは、息子のアルムが思いを寄せる女性から手紙が来たふりをして、実際には来ていない手紙を病室でアルムに読んであげるシーンでした。
ドンウォン:この映画のコンセプトは「号泣」ではなく、「泣きながら笑わせる」ことでした。シナリオを最初に読んだときに一番気に入った点が、泣かせるだけではないというところでした。好き嫌いが分かれるかもしれませんが、現在の非常に悲しいときと過去の明るく楽しいときを行ったり来たりする部分が良かったのです。シーンに合った音楽で雰囲気を作り出しているというところもありますね。
ドンウォン:「うちの息子が喜ぶことは何でも無条件でやります」というとき、またはアルムを怒るときです。だけどこのシーンが一番悲しかったという方もいました。
ドンウォン:デスを演じている間、色々な感情が芽生えました。おかげで両親のことを考える時間も増えました。一番考えていたのが、「私の親も大変な目に会いながら私を育てたのだろう」ということです。映画をご覧になる方々も、皆さん同じ思いをされるかと思います。私の両親は普段、私の出演作はあまり好きではないほうなのですが、この作品は気に入ってもらえると思います。
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