『猫侍 南の島へ行く』女優猫・あなご（！）インタビュー

北村一輝演じる強面な剣豪・斑目久太郎とその愛猫・玉之丞という、人×猫のほっこりコンビに癒される異色の時代劇『猫侍』シリーズ。

ドラマも好評で、2015年9月5日には劇場版第2弾となる映画『猫侍 南の島へ行く』が公開されるなど、日本中の猫ファンをキュンキュンさせている話題作だ。劇中で、3匹1役で玉之丞を演じてきたのが、あなご、さくら（若）、さくら（大人）の3匹の女優猫。今回ムビコレでは、メインをつとめているあなごを直撃！ ZOO プロの動物トレーナー・北村まゆみさんに撮影秘話などを聞いた。

あなごは現在17歳。芸歴は10年で、『Aflacアフラック』のテレビCMや大河ドラマにも出演しているベテラン女優猫。本作では黒猫のヤムヤム（♂）と玉之丞のラブストーリーにも挑戦。さらに、久太郎が玉之丞を懐に入れて殺陣をするシーンでは、北村一輝こだわりの心遣いが……。

北村：北村さんがとても神経質な猫を飼っていらしたそうで、シャイな子の扱いがとてもお上手でした。北村さんが可愛らしくて、映画では強面で低い声の北村さんが「あーなーごー、おはよー」って1オクターブ高い声であなごにキスするのが朝のあいさつでなんですよ。スタッフや周りに対しても「こういう時驚くから」「怖がるから」と進言してくださって、現場は猫にとってはすごくありがたい雰囲気でした。例えば猫はカチンコも怖がるので、アップで撮る時は極力離して音もやっと音声さんに聞こえるかという感じにしてくださって。前作では北村さんがそういうことを現場で指示してくださったのでありがたかったです。2作目となるとスタッフの方も心得ていて、とても撮影はスムーズでした。

『猫侍 南の島へ行く』
９月５日より全国公開
(C)2015「続・猫侍」製作委員会

──映画のクライマックスでは、北村一輝さんがあなごを懐にいれて殺陣をするシーンがありますね。

北村：1作目で台本を読んだ時は「ありえない」と思っていました。でも、意外にも安心して懐に収まっていたので、2作目も安心して見ていました。北村さんも「ぜんぜん僕は心配してないよ」とおっしゃっていて、猫がいる大前提で上下運動をできるだけしないような殺陣の動きをしてくださいました。普段足腰を鍛えているからできることだと思うのですが、すごいですよね。

北村：猫って場所になつくじゃないですか。単体の仕事だとその日行って緊張しておしまいみたいなところがありますが、ドラマや映画だと同じ空間で何日も過ごすので、順応してくるんですね。2日目より3日目、3日目より4日目と、自分でもペースをつかめるようになったり、2作目の撮影で日光江戸村に行った時も久太郎の部屋で、「ここ知っています」という感じでした。

あなご

──1作目から通してあなごの変化は？

北村：場所に慣れるまでも短いし、北村一輝さんのことも「知っている」というリアクションで、リラックスするのも早かったです。何より今回は逃走してないですから（笑）。前は（玉之丞を演じた）3匹の猫が１回ずつ逃走して、あなごなんか迫真の演技に驚いて外まで走り出たこともありました。小屋のロケで玉之丞を誘拐するシーンだったんですが、犯人役の役者さんが入り口からそっと入ってきて手を伸ばした瞬間、あまりの迫真の演技に「やばい！」と思ったみたいで、外へ飛び出していったんです。スタッフの方たちも外にいたんですがあっという間の出来事で。林の中に隠れていると思って探したら、しばらくして原っぱを堂々と歩いていました。

『猫侍 南の島へ行く』
(C)2015「続・猫侍」製作委員会

──ほかに猫ならではの撮影エピソードがあったら教えてください。

北村：テストをするとリアクションが新鮮ではないので、テストの時はダミーを使います。あなごは本番のみ投入という大女優ぶりでした（笑）。誰かがパッと入ってきて目線が欲しいい時も、テストをしてしまうと「知ってる、それ」みたいな感じになっちゃうんです。動物は人間より手間がかかって大変だと思うんですけど、限られた期間の中でドラマと映画を撮れるのは、スタッフと役者さんたちとの連携プレーができていたからだと思います。

北村：玉之丞と恋仲になるヤムヤムを演じた黒猫ジャックの2ショットが一番の難関でした。あなごが根っからのツンデレなので、ほかの猫は好きじゃないんですよ。最初、島を離れないといけないので後ろ髪引かれるようなラブストーリーだったんですけど、映画のような結末で一撃のもとに（笑）。

北村：今1歳ちょっとの子と同居しているんですけど、あなごの方が大先輩で自分が好きなところにいます。その子に寄っていくとか仲良くしようというそぶりは全くないです。「あいつが来るなら私は（別の場所に）行くわ」みたいなマイペースですね。。