監督・脚本・製作をつとめた『コリーナ、コリーナ』(94年)で長編監督デビュー。『I am Sam アイ・アム・サム』(01年)では、主演のショーン・ペンにアカデミー賞主演男優賞ノミネートを、娘役のダコタ・ファニングには史上最年少での全米映画俳優組合賞助演女優賞ノミネートをもたらし、自身も全米製作者組合賞を受賞。その他の作品は『グッドナイト・ムーン』(98年)、『ブラザーサンタ』(07年)、製作を務めた『Dearダニー 君へのうた』(15年)など。
15年以上経った今も輝きを放つ名作『I am Sam アイ・アム・サム』(01年)のジェシー・ネルソン監督の最新作『クーパー家の晩餐会』は、重大な秘密を抱えた家族が集う日の喜怒哀楽を描いた心温まる感動作だ。
思わずお腹が鳴りそうな絶品料理も見どころの本作について、ネルソン監督に語ってもらった。
監督:それは、家族によって異なると思います。今回の作品では、母親役のシャーロットは大の料理好き、家をケアするのも大好きであり、祖母のレシピを駆使して、家族みんなに愛のこもった沢山の料理を振舞いましたよね。
監督:今回、私を含め人気だったのはなんといってもスタッフィング(ターキーの詰め物)です。しかし、ダイアン・キートンだけは違って、インゲンの上に刻んだオニオンを乗せてこんがり焼いたものを気に入って食べていました。
晩餐会のシーンは4日間にわたって撮影したので、当然、キャストには4日間連続でクリスマスディナーを食べてもらわなければなりませんでした。しかも、シーンの冒頭は料理に誰も手をつけていない状況ではじめなければならず、キャストは始め、料理を食べられるということでエネルギーで満ち溢れていたのですが撮り直すたびに、料理を食べなければならなかったので、2、3日目には炭水化物の取り過ぎでまったりしてしまって、皆のエネルギーがすっかり落ちてしまったように見えました。
監督:私自身、子どもと仕事をするのが大好きなのです。彼らを撮る時はやっぱり自然発生的というか、ありのままの姿を撮りたいと思っています。だからこそ、彼らが自由に振舞えるような優しく思いやり溢れる現場作りに注意しました。そのような環境を作るために、キャストも凄く手を貸してくれました。子どもたちは犬が大好きで、休憩中は触ったり、乗ったりとずっと遊んでいました。少しドキッとする台詞もあり、子どもにこんなこと言わせていいんだろうかと少し心配しましたが、彼らは現場に遊び心や生き生きとした雰囲気を持ち込んでくれたので、とてもよかったです。
監督:今回の音楽のアドバイザー的存在のT=ボーン・バーネットと共にキャスト全員を自宅に招いて、シーン中で歌うキャロルを教えるための夕べを持つことになりました。撮影の数週間前、キャロルを教えるために集まったときは初顔合わせのような状態で、ワインや食べ物などを用意して、皆がリラックスできるようにしました。色々なキャロルを出していき、1人ぐらい歌えたり、楽器が弾けたりコーラスができる人がいてくれればいいなあと思っていたら、アラン・ア−キンが「歌えるよ!」と。さらにウクレレやギターを弾くことができる、ただ弾くことができるだけではない素晴らしいミュージシャンだと知りました。
同じように、エド・ヘルムズはギター、ピアノ、バンジョーが弾け、しかもただ弾けるだけではない素晴らしいレベルでした。ジョン・グッドマンがハーモニカをあんなにうまく演奏できるのも知りませんでした。このように映画で使えなかった音楽のフッテージが沢山あったのです。ダイアンも、ハーモニーと美しいコーラスをつけることができるし、それぞれの才能が次から次へと明らかになりました。サウンドオブミュージックのトラップ一家になぞらえて「ヴォン・クーパーズ」と呼びたかったほどです。本当に偶然でした。
監督:若いキャストとの仕事は本当に楽しかったし素晴らしい才能ばかりでした。美しさとユーモアを両立する人は非常に少ないですが、オリヴィアは見事に両方を持ち合わせていて役者としても素晴らしいです。アマンダも、本当に特別な才能を持っていますし、ソウルフルな顔も魅力的です。彼女は、アランとの友情が撮影中に花開くように深まって、今でも仲のいい友だちだそうです。そんな、仲が深まっていく2人だからこそ演出していくのはとても嬉しいことでした。そして、ジェイクは、これからスクリーンでもっと見ることが多くなる役者であると思います。リアルさ、誠実さ、善の心を持っていて、これからさらに活躍していくと思います。彼は、他のキャストに比べると経験値は浅いかもしれませんが、今回の作品で十分に向こうを張ったと思います。
監督:もちろんです。実際、私の家族もピアノを囲むような家族です。私も長いこと同じ人と結婚しているし、犬が大好きで、いつも犬に家族を見られているような気がします。姉妹がいるというのも、自分の状況と一緒です。家族ものの映画は誰しも、自分の家族と重ね合わせてみるものではないのかしら?
監督:彼は、犬の中のマーロン・ブラントです。オーディションのテープを見たときに、喧嘩のシーンのリアクションが、普通だったら1種類しかバリエーションがないことが多いのですが、ボルトは5種類もあったのです。手を頭のうえにのせる、目を隠す、目をそらす、後ろを振り返るなど様々なオプションを見せてくれました。そして、集中力も凄かったです。通常の犬なら5秒しかできないアイコンタクトを、ボルトは5分も続けられます。ほかのオーディションテープだと、みんな動物っぽいけど、ボルトはまるで人間のようだったので、ジッパーがついていて外すと(伝説的な名優)マーロン・ブランドが出てくるのではないかと、皆で噂していました。
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