『桜ノ雨』山本舞香インタビュー

男前な性格も魅力!? 2016年ブレイク必至の若手女優に迫る

#山本舞香

足を引っ張らないようにという気持ちが強かった

宮沢りえや蒼井優、夏帆、川口春奈などを輩出したリハウスガール。その14代目をつとめ注目を集めている山本舞香。モデルとして活躍する一方、テレビドラマや映画など女優業でも存在感を見せている。

そんな彼女が初主演をつとめる映画『桜ノ雨』が3月5日に公開を迎える。山本が劇中で演じる未来(みく)は、強い想いを持ちながらも、自分の気持ちをうまく表現することが出来ない引っ込み思案な女の子。「私とは正反対の役柄だった」と語った山本に、女優という仕事への想いやパーソナルなことを聞いた。

──初主演映画ですが、オファーを受けたときはどんな気持ちでしたか?

山本舞香

山本:お話をいただく前にマネージャーさんから(「桜ノ雨」という曲がネット上で話題になっているという)歌の話のことや、原作小説のことは聞いていたんです。その主演を私がやるという話を聞いた時は「私でいいのかな」って不安や戸惑いもありました。

──そんな不安な気持ちをどうやって払拭したのですか?

山本:「やるからには全力で」って気持ちに切り替えました。リハーサルをしっかりしましたし、未来ちゃんという役にも慣れてきたかなって実感が沸いてきてからは、気持ちに余裕もできました。

──同世代が多い現場だと思いますが、主演として意識されたことはありましたか?

山本:私は経験も浅いし、皆さんを引っ張っていけるほどの力がないと思っていたので、足を引っ張らないようにという気持ちが強かったです。

──お母さん役の奥貫薫さんとの共演はいかがでしたか?

山本:(撮影中)奥貫さんとは、お子さんのことだったり、色々話をさせていただきましたし、人生の先輩としてたくさん学ぶことがありました。私自身も(奥貫と対峙する)病室のシーンが一番心地よかったです。

お母さんに甘える部分は共通点かもしれません
『桜ノ雨』
(C)2015 halyosy、藤田遼、雨宮ひとみ、スタジオ・ハードデラックス/PHP研究所/『桜ノ雨』製作委員会

──未来は真面目で一生懸命な女の子ですが、自分の気持ちを伝えられないもどかしい一面もありましたね。

山本:私は基本的に内気じゃないんですよね(笑)。言いたいことははっきり言うし、好き嫌いもはっきりしています。あまり未来ちゃんと似ている部分はないかもしれません。お母さんに甘える部分は共通点かもしれませんが、それも最近ではあまり甘えなくなりました。

──そんな自分とは正反対ともいえる役を演じるうえで意識したことは?

山本:手のしぐさだったり、相手をみる目線、あとは声の高さなども意識しました。監督と話し合って色々なことを試してみました。でも自分と共通点があまりない役柄は難しかったです(笑)。

──山本さんにとってテンションが上がるのはどんな時? また下がる時は?

山本:家族とたわいもない会話をしているときは自然と笑えてテンションが上がりますね。家族ととても仲が良いんです。下がるのは、当たり前ですが何か失敗とかしたらやっぱりすごく下がります。

──この撮影での失敗談はありますか?

山本:あまりなかったんです。現場はみんな仲良しで、空き時間もずっとしゃべっていたり、バランスボールとかして遊んでいました。

『桜ノ雨』
(C)2015 halyosy、藤田遼、雨宮ひとみ、スタジオ・ハードデラックス/PHP研究所/『桜ノ雨』製作委員会

──この作品は合唱部のお話でしたが、ああいう集団の中で山本さんはどんな立ち位置になるのでしょうか?

山本:まとめ役になるんじゃないかと思います。集中してほしかったり、ちょっとやる気がないって伝わってきたら「大丈夫?」「疲れていたら休んでいいよ」って声をかけると思います。

──部長タイプ?

山本:部長は嫌です(笑)。部長って大役なイメージですよね。副部長がいいですね。

──未来は好きな人にも恋心を伝えることができない子でした。山本さんは?

山本:言いたいことははっきり言うタイプなので、好きだったら好きと伝えると思います。はっきりしていて分かりやすいタイプだと思います(笑)。

──合唱部のお話でしたが歌うことは好きですか?

山本:苦手です(笑)。友だちとカラオケに行ったりはしますが、人前で歌うのが本当に苦手で……。今回の映画にもソロで歌うシーンがあると聞いて「マジか……」って。でも頑張ろうっと思ってすごい練習しました。でも音痴じゃないと思いますよ。リズムはとれます!

──歌手のお話が来たら?

山本:できません(笑)! 今回、歌のレッスンをやってみて、アーティストの方の偉大さが分かりました。発声練習してダンスもあったり……本当に大変そうだなって。

『桜ノ雨』撮影中の様子

──女優さんも大変な仕事だと思います。

山本:デビューしたての頃はメイクが好きだったし、服もいろいろ着られるのでモデルの仕事をやりたかったのですが、女優さんって動きもあるし、色々なことが伝えられる、元気を与えられる仕事なんだって思うようになったんです。自分じゃない誰かを演じることによって「世の中にはこんな人がいる」ってことが伝えられる仕事だって。そうしたら映像のお仕事が好きになりました。

──その思いは作品を重ねるごとによって強くなっていますか?

山本:はい。一つずつ作品を積み重ねていくにつれて、お芝居の幅も広がっていくように感じますし、台本を読んだだけで「こういうお芝居をしよう」ってイメージできるようになりました。5年前のデビュー時よりは成長できているのかなって思います。

空手をやっていなかったらアクションはできなかった
『桜ノ雨』
(C)2015 halyosy、藤田遼、雨宮ひとみ、スタジオ・ハードデラックス/PHP研究所/『桜ノ雨』製作委員会

──子どものころから空手をやっていたとお聞きしました。そういう部分も女優としての強みですよね。

山本:空手をやっていなかったらアクションはできなかったと思います。空手の先生や親に感謝したいです。体を動かすことが小さい頃から好きなので、アクションはこれからもやっていきたいです。

──ハリウッドにも興味があるとお聞きしましたが。

山本:何年も前に言ったことですね(苦笑)。今考えると何言ってるんだろうって思います。

──昨年の東京国際映画祭では、『桜ノ雨』でレッドカーペットを歩きましたね。

山本:すごく嬉しかったです。まさかあんな場所に参加できるなんて……。レッドカーペットを歩くのも夢の一つだったので、貴重な経験になりました。

──主演をされて何か意識が変わったことはありますか?

『桜ノ雨』撮影中の様子

山本:共演者の方やスタッフさんに支えられているんだなって改めて実感しました。今回口数が少ない役柄のため表情でお芝居をする機会が多く、考える時間が結構あったんですね。そういう時、カメラのセッティングや照明の位置など、本当に多くのスタッフさんたちが動いているのを見ていました。こういう方たちがお芝居をしやすい環境を作ってくださっているんだなって思ったし、多くの方の支えがなければ、私はここにはいられないんだと強く感じました。

──今後やってみたい役や共演したい俳優さんはいますか?

山本:どの役が……というより、いただいた役をしっかりやっていきたいです。共演も運命だと思うんですよね。色々な人たちと出会い、お芝居を学ぶことによって次の作品につながる。そういう出会いを大切に、たくさん色々なことを吸収したいです。

山本舞香

──JR東日本「JR SKISKI」のCMやドラマ、映画と波に乗っている印象がありますが。

山本:色々な人に言われますが、全然、実感がないんですよ。

──仕事以外で今後やってみたいことは?

山本:カメラを買って、いっぱい写真を撮りたいです。私はあまり趣味がないので、いい趣味になるといいです。

(text:磯部正和/photo:中村好伸)

山本舞香
山本舞香
やまもと・まいか

1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。2011年に連続ドラマ「それでも、生きてゆく」で女優デビュー。その後、ドラマや映画に精力的に出演し、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18年)やドラマ『チア☆ダン』(18年)では、友情に熱い女子高生を演じ、高い評価を得る。待機作には『東京喰種 トーキョーグール【S】』(7月19日公開)などがある。