1997年7月27日生まれ。福島県出身。映画『暗殺教室』(15年)で女優デビューを飾ると、テレビドラマ『表参道高校合唱部!』(15年)、映画『罪の余白』(15年)、『オオカミ少女と黒王子』(16年)などの話題作に出演する一方、16年4月からは雑誌「non-no」の専属モデルとしても活躍している。
仮面ライダー生誕45周年記念の企画の一環として制作された『仮面ライダーアマゾンズ』。『仮面ライダー』シリーズ4作目にして、最大の異色作としてファンの間で根強い人気のある『仮面ライダーアマゾン』を大胆にアレンジしたリブート作品として、4月1日より「Amazonプライム・ビデオ」にて配信されると、大きな反響を呼んだ。
そんな注目作で、メインライダーの一人である仮面ライダーアマゾンオメガに変身する青年・水澤悠(はるか)に抜擢されたのが俳優の藤田富(ふじたとむ)だ。監督からは「仮面ライダーをやると思うな」とアドバイスされたという藤田、そして悠の妹・美月を演じた武田玲奈に本作の魅力や、仮面ライダーという歴史ある作品に出演したことで得たことなどを聞いた。
藤田:最初に「仮面ライダーをやると思うな」と言われたんです。確かに作品の中で「仮面ライダー」という言葉は一切出てこないんですよね。「仮面ライダーと思うのは見ている人で、自分たちは一人一人の人間を演じるんだ」と言われたことは印象に残っていますね。変身のポーズもありませんし、ライダーを演じている感じはなかったです。
藤田:正直いうと、めちゃくちゃ『仮面ライダー』を見ていたわけではないので「ライダーはこういうものだ!」という先入観はなかったんです。なので水澤悠という20歳の青年を演じるということに注力できたので、そこまで戸惑いはありませんでした。でも少しさみしい部分はありましたね。
武田:やはり最初は有名な作品なのでプレッシャーはありました。でも監督が「仮面ライダーをやると思うな」って仰っていたので、気が楽になったというか、美月という役柄に向き合うことに集中しました。美月はいじめられたりしていて殻に閉じこもっているような役柄。私もそういう部分があったので、自分自身を重ね合わせて演じました。
藤田:石田(秀範)監督も「そのままでいいんだって」ってずっと現場で言っていましたね。
藤田:僕らは出番がないときは休みですし、撮影休暇もありますが、スタッフさんは僕らが来る2〜3時間前から準備をしているだろうし、10日間ぐらい寝てないんじゃないかなって思うぐらいハードだと思うんです。でも現場はすごく明るく、みんなやりたいことをやっているという和気あいあいとした雰囲気が充満していました。
藤田:地味にありましたね。押しているとNG出さないようにしないと……と思う部分はありました。
藤田:1、2話のアフレコは相当きつかったですね。まだ野生の状態だったので「獣を想像してやりなさい」ってアドバイスをもらっていたのですが、息のつき方のレパートリーが少なかったりと色々工夫しながら作り上げていきました。
藤田:「Amazonプライム・ビデオ」の会員なので、過去の『仮面ライダー』シリーズを見直したんですね。(仮面ライダーアマゾンアルファ役の)谷口(賢志)さんも色々な年代のライダーを見ている方なので、色々お話をしたのですが「仮面ライダーって、全シリーズを通して、人間が生きることについて疑問を投げかけているよね」って結論になったんです。中でも「生きること」を一番生々しく表現しているのが、この作品だと思いました。
武田:私は小さいとき、日曜の朝に『プリキュア』とかと一緒に『仮面ライダー』も見ていたという体験をしていたのですが、『仮面ライダーアマゾンズ』は子どもだけじゃなく、大人も楽しめる内容になっていると感じました。昔の作品も見返してみたいなって思っているんです。
藤田:僕の撮影の最終日が泊まりのロケだったんです。前日の夜に、石田監督や駆除班の方々たちとお酒を飲みながら“役者”について語ったんです。僕が「役者って演技をしていても答えがみつからない」って話をしたら、皆さんが口をそろえて「答えなんかない。その中で答えを探し続ける面白さが役者にはあるんだ」って仰るんです。そう考えると、これからの役者人生、色々な問題にぶつかると思いますが、すごく楽しみだし、突っ走っていきたいなって思えるようになりました。
武田:3人の監督さん(石田秀範監督、田竜太監督、金田治監督)にご指導をいただいたのですが、ダメなときは「へたくそ」って言われ、いい時は「良かった」ってはっきり言っていただいたのはすごく勉強になりました。こういう経験は今までなかったので、すごく刺激を受けましたし「もっと頑張ろう」ってお芝居に対して燃え上がる思いもわいてきました。役者という仕事に強い覚悟が持てました。
──本作は「アマゾン」になってしまった主人公の悠(はるか)が、「人を喰うぐらいなら駆除された方がいい」という考えと「喰われるぐらいなら喰ってしまえ」という思いに揺れ動きます。お二人はどっちのタイプですか?
藤田:僕は喰われる前に喰えですね。
武田:私もです。
藤田:最初の頃の悠って本当に甘いんですよ。殻に閉じこもって、生きている意味も実感もなかったから甘いことが言えたんでしょね。
武田:本当に甘々ですね。駆除されたら終わりですからね。苦しみを味わいながら駆除する側に行くべきですね。
藤田:シビアな話ですね……(苦笑)。
武田:気持ちが強くないとですよね。
藤田:「『シーズン2』をやりますが、アルファとオメガのどちらかが生き残ります」って話になったら、やっぱり「喰う前に喰え」になると思いますが、番組的にアルファが生き残った方がいいって意見が多かったら、駆除されてもしょうがないって思っちゃうし……。さっききっぱりと「喰う前に喰え」ってタイプと言いましたが、難しいですね。でも最終的には本能でどう感じるかに従うかな。
藤田:自分から見たいと思う人だけが見る作品なので、視聴者の方がすごく深く作品に入って来てくれるんですよね。僕もSNSをやったりしていますが、すごく色々な意見を言ってくれて参考になります。
武田:新しい形態のコンテンツに参加できることがすごく嬉しいですね。私も良く携帯で動画を見ますし、より若い人にも見ていただけるのかなって思います。
藤田:主人公2人と巻き込まれる女性たち、そして駆除班……一人でも欠けたら成り立たない、全員が主役のような作品なんです。若い女子やおっちゃん、おじいちゃんまで色々な世代の人が感情移入できるキャラクターがいるので、せひご覧になっていただきたいです。
武田:朝に放送しているテレビの仮面ライダーとは違った、ネットならではのダークな部分だったり、ドラマ性のあるシリアスな大人でも楽しめる作品になっています。子ども時代に『仮面ライダー』シリーズを見て育った方にもご覧になって欲しいです。
藤田:出たいですね。映画化も希望します!
武田:私も『シーズン2』に出たいです!
(text&photo:磯部正和)
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