『ある天文学者の恋文』ジェレミー・アイアンズ インタビュー

永遠の愛を描いた驚きのラブストーリーを語る

#ジェレミー・アイアンズ

観客の驚きを奪うといけないから、筋立ては言えない

著名な天文学者エドと教え子のエイミー。秘密の恋を謳歌していた2人だが、突然の訃報がエイミーにもたらされる。だがその後もエドからは愛にあふれたメールや手紙、贈りものが届き続ける。いったい何故? エイミーはエドの遺した謎を解き明かすために旅立つが……。

『ニュー・シネマ・パラダイス』をはじめ『海の上のピアニスト』『鑑定士と顔のない依頼人 』など多くの話題作を放ってきたジュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作『ある天文学者の恋文』 は、永遠の愛をテーマにした極上ミステリーだ。

死んだ後も愛する人を支えたいと願うエドを演じたのは、イギリスの名優ジェレミー・アイアンズ。愛の謎を解き明かそうとするエイミーを『007/慰めの報酬』のオルガ・キュリレンコが演じている。美しくも切ない本作について、アイアンズに語ってもらった。

──本作では、若い恋人の心の傷を癒やそうとする天文学者を演じていますね。

『ある天文学者の恋文』
(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

アイアンズ:物語を明らかにしたくないから、あまり話せないけれど、私が演じているのは天体物理学者で、オルガ演じる学生と関係を持っている。彼女もまた天体物理学を学んでいて、家族を襲った悲劇から立ち直っていない。苦しみを和らげるために自分の過去を直視するよう彼が彼女を励ますんだ。

──本作はイタリアでは「驚くべきラブストーリー」として紹介されましたが、2人の物語は、どんな部分で驚くべきものなのでしょうか?

アイアンズ:すべてのラブストーリーは驚くべき話だが、特にこの映画には特別な点がある。でも観客の驚きを奪うといけないから、これ以上筋立ては言えないよ。

監督に、起用理由については聞かないようにしている
『ある天文学者の恋文』
(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

──オルガ・キュリレンコと共演した感想は?

アイアンズ:オルガは驚くべき魅惑的な女性だよ。15歳の時にデビューしていて、賢くて、内に秘めたエネルギーを持っている。ウクライナ出身なので、私たちとの関係は他の人とは異なるところから出発した。『007/慰めの報酬』や『ディバイナー 戦禍に光を求めて』のような映画で出会った。これからもっと見かけることになると思うよ。今後本当に立派な女優になるだろうからね。彼女は素晴らしい仕事仲間で一緒にやりやすかった。素晴らしいことだ。

──では、ジュゼッペ・トルナトーレ監督と組んだ感想は? 彼はあなたを起用した理由を教えてくれましたか?

アイアンズ:起用理由は聞いていないよ。私は監督には聞かないんだ。他の人を使いたかったが拒否されて私に声をかけた、ということがよくあるからね。トルナトーレは特別なものの見方をする。彼は写真家として働き始めたから物を見る方法が特別だ。監督としては珍しい。映像の質を高めるためによくセットで光をチェックしていた。自分に何が必要かよくわかっているし、とても綿密だ。

──トルナトーレ監督の作品で、お好きなものはありますか?

アイアンズ:多くの人が好きだと思うが、私の好きなのは『ニュー・シネマ・パラダイス』だ。強烈で本当に心に響く。おそらく今まで撮影された映画の中で最も美しい映画20本のうちに入るのではないか。

──『ダイ・ハード3』や『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』のようなハリウッド大作にも出演していますね。一方で、「英国の俳優として、ヨーロッパの感受性を持った監督に夢中だ」と仰ってもいます。振り幅が大きく見えますが、どのようにバランスをとっているのですか?
『ある天文学者の恋文』
(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.

アイアンズ:これは音楽家にオーケストラと室内管弦楽団とで、どのようにバイオリンを弾くのか尋ねるようなものだ。バイオリンを弾くことが、やるべきことだ。私は役者だ。『バットマン』に出ていても『ある天文学者の恋文』に出ていても違いはない。片方はいくつかのカットが早かったり、もう片方はより滑稽だったりすることはあっても、違いはない。私たちは映画の語る物語の一部なのだから。

──本作の“秘密”について、少し教えていただけますか?

アイアンズ:いや、何も明かすことはない。この映画には秘密がある。いつものことだが。私は秘密を明かさない。私は観客に『ある天文学者の恋文』を見て熱狂し驚いてほしいんだ。

ジェレミー・アイアンズ
ジェレミー・アイアンズ
Jeremy Irons

1948年9月19日生まれ、イギリスのワイト島出身。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台で活躍後、『ニジンスキー』(80年)で映画デビュー。『運命の逆転』(90年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞。主な出演作は『戦慄の絆』(88年)、『ダメージ』(92年)、『ダイ・ハード3』(95年)、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)など。