1993年1月27日生まれ。東京都出身。2001年よりNHK教育『天才てれびくんシリーズ』にてテレビ戦士として出演。12年には井口昇監督の映画『ゾンビアス』で主演を務め、ドラマ『仮面ティーチャー』(13年)、映画『ストロボ・エッジ』(15年)、舞台『タクフェス第3弾「くちづけ」』(15年)などにも出演している。
劇団「毛皮族」の主催者・江本純子の自伝的小説「股間」を原作に、自身がメガホンをとり映画化した『過激派オペラ』が公開を迎える。
「女たちが繰り広げる15分に1度の剥き出しの愛」というキャッチフレーズの通り、劇中に登場する女性たちは、嫉妬や欲望をストレートに表現。中でも、主人公であり劇団「毛布教」の演出家・重信ナオコと、ナオコに見出された女優・岡高春の愛憎劇はすさまじいまでの緊張感だ。そんなナオコを演じた早織と、春役の中村有沙に「壮絶だった」という撮影秘話などを聞いた。
早織:ナオコと春を探していると聞いていました。オーディションを受ける前に脚本は読んでいたのですが、私はナオコという女性に憧れていたので、ナオコをやりたいと思ってオーディションを受けたんです。
中村:私も脚本を読ませていただいて、とても魅力的だなと思ったので、オーディションを受けさせていただきました。最初、私もナオコをやりたいなと思っていたのですが、オーディションではどちらの役もやっていて、春も面白そうだなって思っていたんです。結果的には春という役をいただきました。
早織:クランクイン前にあったリハーサルのとき、江本監督から脚本にある台詞は忘れていいよと言われたんです。それって、演じるナオコはすべて私の責任ということなんですよね。自分のイメージしていたナオコ像はあったのですが、それだけでは通用しなくて。江本監督は、1人の役者から出てくる、生きている力を強く求めるんです。そんな経験は初めてだったので、すぐには適応できませんでした。役のために、自分にとことん向き合ったというのがすごい経験でした。
中村:早織さんが仰ったように、自問自答の現場でした。春に対して「こんな感じかな」というイメージはあったのですが、リハーサルで「春として持ち合わせていなければいけないものを持っていないんじゃないか」という不安も出てきて、自分でも頑張ってみつつ、周りの「毛布教」のメンバーとの関係から、春を作り上げていった感じでした。
早織:江本監督は、小賢しく構築された感情を求めないんです。「賢く築かないで」と言われました。
中村:中村有沙として自分自身で折れてしまった部分はたくさんあったのですが、春として映るからには折れちゃいけないという気持ちでした。本当はもうちょっと人間としての面白さを表現できたらいいなって思っていたのですが、前にあることをひたすらがむしゃらにやるということだけを心がけていました。
早織:ナオコには作家の情緒不安定さがあります。怒る時は100%以上の怒りで、悲しい時はどーんと沈みます。すぐ立ち直りますが(笑)。本を書く才能はあってもアンバランスさもある。私はナオコという役を固められず、混乱したまま現場にいました。劇団の主宰者という立場なので、集団を牽引する力強さが必要だったのですが、私のパーソナルな部分がそこに応えることができず苦労しました。周りの劇団員の皆が助けてくれたことでナオコを演じられました。
早織:江本監督のような方とお仕事したのは初めてでした。監督は「私はこれは仕事だと思っていない」と仰っていたんです。「あなたは何のためにやっているの?」と突きつけられたときに返す言葉がなかったです。受け入れる私、拒否する私、悔しい私……色々な私がいました。嫌いだったり憧れたり。撮影が終わってからも夢を見るんです。監督から激しく責められている夢、また違う日は談笑している夢。
中村:私も江本監督が夢に出てきます。撮影から1年以上たっているのにですよ(笑)。
早織:他の現場でも演じていると問いが出てきてしまうんです。不安と闘っている感じ。楽しめない状態とは違うのですが、模索しているみたいな。(『過激派オペラ』の)撮影が終わったあとに、落ちてしまった私がいまして、マネージャーから電話をもらったんです。そのとき初めて「お芝居が嫌いです」って言ったんです。そんな言葉が自分から出てきたことも驚きだったのですが、また一から始まったなという感じですね。
中村:撮影が終わったときは、空っぽでしたね。その後、すぐに舞台のお仕事があったのですが、今までは監督や演出家に甘えていたのかなって感じました。導いてくれるんだろう……みたいな。『過激派オペラ』の現場は、「甘えるな」というか「自分で考えろ」という現場でした。その感覚は続いていますね。
早織:台本を読んでオーディションを受けたので、そこでの躊躇はなかったですね。実際撮影の段階では、躊躇している暇すらなかったです(笑)。
中村:本を読んだところは、そういうシーンがあるからこそのストーリーだと思ったし、映画として面白くなればいいなという思いだけだったので、躊躇はなかったです。現場では「よしやるぜ!」みたいな感じでした。
早織:この作品を経験して執着心を学びました(笑)。私自身は淡白だと思っていたので。自分もそういった感情が芽生えるんだって新鮮な感覚でした。
中村:私はヒステリックまではいきませんが、割と自分を剥き出しにしているかもしれません。結構すぐ泣きますね。1人でも泣くし、相手がいても泣いちゃいます。
早織:大勢の女性がいる中で過ごしたことがあまりないんです。友だちと2人でいることが多く、その意味ではナオコと春が2人の世界を大切にしている部分は自分と近いのかなって思いました。女の園的な環境はあまり得意ではないですね。
中村:私も無理ですね。集団行動が得意じゃないんです。母が女子校だったのですが、その話を聞いていると厳しいなって思っていました。「毛布教」のメンバーは、みんなサバサバしていて過ごしやすかったです。
早織:単なる熱のある作品というわけではなく、クレイジーな熱のある青春映画です!
中村:まさにカオスです。見た後に爽快感があります。繰り返して見ると、色々と感じることがある作品。ぜひ男性にも見て欲しいです。
(text&photo:磯部正和)
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