1992年10月16日生まれ。長崎県出身。2007年、中学校3年生のときに父親の推薦で応募した「第32回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリに選ばれて芸能界入り。2008年に映画『愛流通センター』で映画初出演し、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『劇場霊』など多数のテレビドラマ・映画に出演するほか、バラエティー番組でも活躍中。2010年より3シーズンに渡り「Jリーグ特命PR部 女子マネージャー」を務めるなど、サッカーに詳しい一面も持つ。
マンガアプリ「comico」にて連載中の澄川ボルボックスによる同名コミックを映画化、女優の足立梨花が主演を務めた『傷だらけの悪魔』が、2月4日に公開される。
田舎の高校を舞台に、東京から転校してきた主人公・葛西舞が、かつて自分の友人たちから酷(ひど)いいじめに遭っていた小田切詩乃(江野沢愛美)と再会するところからスタートする本作。これまでスクールカーストの中で無難なポジションを築いていた舞が、詩乃の報復によってクラスでいじめのターゲットにされる絶望と、その後のリベンジが描かれる。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や映画『劇場霊』など主人公に強く当たる「嫌われ役」としても注目を集めた足立が、一転、過酷ないじめを受ける側に挑んだ心境を語った。
足立:最初「いじめられる役」と言われて、「いじめる役の間違いじゃないですか?」とマネージャーさんに聞いた記憶があります(笑)。でも、原作を読ませていただいたら、舞ちゃんはイジメられてはいるけど単にそれだけではない強い心を持っているキャラクターだったので、だから私なんだと思いました。ただ、原作を読んでいると心が痛く辛かったので、撮影がどうなるかはすごく心配でした。
足立:監督から何か特別な指示をもらうことはありませんでしたが、原作を読んで「こういう感じだろう」と自分で想像はしていましたし、撮影前のリハーサルでも私なりに思うものを出すようにしていました。
足立:すごく空気が伝わりやすい映画だと思ったので、「この子何を考えているんだろう?」という雰囲気を自然に出したいと思って、あえて撮影中はほかの方としゃべりませんでした。最初にスタッフのみなさんにも、「撮影中は舞ちゃんみたいに他の方と距離を置いてあまり話しません」とお伝えしていました。控室でも、みんなは女子・男子グループで集まって楽しそうでしたが、どこにも属さず一人だけの空間を勝手に作っていました。休憩中にみんなが仲良くしている空気を感じながら「いいな、仲間に入りたいな」と思いつつ、一人でふて寝していたり(笑)。だから、取材で撮影中の思い出を聞かれてもひとつも思い浮かばなくて。共演したみんなとは、初号試写の時に「やっと話せるね」って感じでした。
足立:体育館の倉庫に閉じ込められたシーンです。それまで何をされても傷つかなかった舞ちゃんが、一番心にグサっとくる辛いシーンなので、精神的にも肉体的にも大変でした。
足立:元々舞ちゃんは二面性があるというか、クラスメートの前でポジションを確立しようとする嘘の舞と、詩乃ちゃんやお母さんの前で見せる本物の舞とがあるので、それを分かりやすく表現したいと意識しました。あと、原作で“ゲス顔”と呼ばれるニヤッっとした表情が印象的だったので、ゲス顔をしっかりマスターしようと(笑)。後半、舞ちゃんが反撃を開始して男の子に近づいていくところも、それまでの舞ちゃんとは違ういやらしい部分を表現できればと心がけていて、そこからは楽しみながら演じることができました。
足立:女の子ってボス的存在の子がいて、そういう子にどうやって嫌われないようにしようかとか、無理してでも話題についていこうという思いは、多分どの世代にもあることかもしれません。トップにさえ付いていたらイジメられないし、学校生活を平和に過ごせるとか考えるんじゃないかって。
足立:そうですね、今思うと、特に学生はそこら辺が大変だって思います。社会人になるとみんなうまくやるじゃないですか。でも、学生時代はクラスの中にしか世界がなくて、そこをどう過ごすかでその先の人生まで変わるような狭い考えになってしまうので、そういうボス探しとかは、自分も意識していないつもりでもやっていたのかもしれませんね。
足立:よく男子は「女子の本音じゃない会話が怖い」って言いますよね(笑)。確かにそうだなと思う反面、怖いだけじゃない気もするんです。男子は「本音で言っちゃえばいいじゃん」と言うけど、女子としては「いや、そういうことじゃないんだよ」って。
足立:(高校時代は)すごく華やかで楽しそうな世界だと思っていました。それは間違いないですけど、実際には大変なこともたくさんあるし、楽しいだけじゃないというのはこの世界に入ってから知りました。ひとつの役をめぐってみんなで競争したり、バラエティーでひとつの席をめぐって心の中で戦っていたり、本当にひとつひとつが戦いなんだなって、入ってから知りました。
足立:この年齢でそっち側のイメージがついている人はあまりいないと思いますし、何か一つ武器があった方がやっていて楽しいので、まずは「いじめる役やいじわるな役といえば足立だよね」みたいに言われることを目指したいと思っています。ただ、それだけではなくて他の演技もできる姿を見せたいし、新しい挑戦もずっと続けていきたいです。
足立:楽しかったと思います(笑)。みんなの前であれだけ変化する役ってすごく面白くないですか? この映画化が発表されて「舞役が足立梨花」と出た時に、「逆じゃない?」っていう声もあって(笑)。確かにそういういじめるイメージがあるみたいで、いじめられている姿を想像できないみたいな。だから、私が詩乃を演じたら楽しいだろうし演じてみたいけど、“昔いじめられていた”という設定に説得力が出ないような気もするので無理かな、と。
足立:見る方の気分や立場によって、色々な感情を抱かせるような作品になったと思います。ぜひ劇場でご覧になって、登場人物たちの思いや葛藤をご自分なりに受け止めて、この先に活かしてもらえたら嬉しいです。ぜひ見てください。
(text&photo:中村好伸)
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