1957年、東京都生まれ。CM等の仕事を経て映画音楽の世界へ。映画『機動警察パトレイバー THE MOVIE』(89年)、『GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊』 (95年)をはじめとした押井守監督作品や、『リング』(98年)、『DEATH NOTE デスノート』(06年)、などの映画の他、『科捜研の女』シリーズ(99年〜)、『花燃ゆ』(15年)などのドラマ、数々のゲーム音楽などを手掛ける。韓国や中国が関わる作品も手がけ、 『セブンソード』(05年)、『墨攻』(06年)、“イップ・マン”シリーズ、『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』(13年)で香港電影金像奨音楽賞ノミネート。他にハリウッド作品『ゴースト・イン・ザ・シェル』(17年)オープニング曲など。
宇宙最強の男、ドニー・イェンの人気シリーズ第3弾『イップ・マン 継承』がついに日本公開される。
ブルース・リーがその生涯で唯一師匠と呼んだ武術“詠春拳”の達人イップ・マンの姿を描いたカンフーアクション感動作の音楽を担当したのは川井憲次。押井守監督作品や『DEATH NOTE デスノート』を始め多くの話題作を担当し、今では海外からもその才能を認められる存在となっている。『ゴースト・イン・ザ・シェル』オープニング曲や『バイオハザード:ヴェンデッタ』など作品が目白押しの彼に、『イップ・マン 継承』の見どころなどを語ってもらった。
川井:映画『セブンソード』のパーティがベネチアであったとき、そこでドニー(・イェン)から「川井さんにやってもらいたい映画があるので、今度、監督を紹介するよ」と言われて会ったのが(本作の)イップ監督でした。その作品が『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』です。そして「それと同じチームで映画を作ることになったから、また川井さんやってね」と言われたのが『イップ・マン』シリーズ。「はい」と快諾しました。
川井:制作面での違いは特にありませんが、今回のテーマが“妻への愛”だったので、音楽的に愛を表現することは必要でした。
川井:事前に話はあまりしなかったと思います(笑)。前作より時代が進んでいるので少しだけ現代的に作ってほしいという話はありました。このスタジオ(川井氏のスタジオ)で打ち合わせをしましたね、監督、日本が大好きなんですよ。だから「こちらから行くよ」と言っても、「いや日本に行くから」と。そして打ち合わせをして遊んで帰るんです(笑)。
川井:ありました。まず1作目と2作目を担当しているので下地はあり、それは壊さずに、新たに妻とのシーンのための甘い曲などを追加していきました。明るいシーンでは「どのくらい明るくするか」といった指示もあります。他には、イップ・マンが妻のことや身近な人の大切さを語るところで、初めはもう少し静かな音楽をつけていたんですが、「監督はもっと盛り上げたい」と。「盛り上げたい」とよく言いますね。そのセンスは僕も勉強になるんです。もちろん自分の音楽が度外れだったのではないと思っていますが、監督のその一言でより良くなったと思っています。
川井:作業していたのはおそらく1ヵ月くらい、作った数は29曲だと思います。(テーマは同じでも)前2作とは違うものを一から全部作り直しています。
川井:監督は音楽にはこだわる方ですし、もっとここは盛り上げたいなど修正の依頼もありますが、基本信頼してくださって任せてくださるので、ありがたいですね。
川井:実写とアニメ映画の差は特にはないですね。
『ゴースト・イン・ザ・シェル』のほうは、監督からの指示かはわからないですが、実は色々な方が携わっていて意見がいろいろあり、僕には制作会社の方から指示をいただいてやりとりしていました。
川井:『イップ・マン』の場合は、時代と共に世界というか環境が変わっていきます。戦争を経てイップ・マンと妻が歩んできたことの集大成的なことがありますから、イップ・マンの人生を感じるように、イップ・マンの生き様を一つのテーマとして通せたのは良かったと思っています。
川井:ハイブリッドです。つまり、シンセも使うし、生のストリングス、トランペットなども使っています。コーラスも生ですね。
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