1992年8月10日生まれ、東京都出身。2011年にデビュー後、東京ガスのCM「ガスの仮面」で披露したクラシックバレエで注目を集める。『愛の渦』(14年)で第88回キネマ旬報ベスト・テン 新人女優賞、第36回ヨコハマ映画祭日本映画個人賞最優秀新人賞などを受賞。その後、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)、NHK連続テレビ小説『まれ』(15年)、『太陽』(16年)、Netflix連続ドラマ『火花』(16年)などに出演。『こどもつかい』(17)ではホラー映画に初挑戦した。今後は、主演映画『世界は今日から君のもの』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の公開が控えている。
Jホラーを牽引する『呪怨』シリーズなどの清水崇監督が、17年ぶりに映画出演する滝沢秀明を主演に迎えたホラー映画『こどもつかい』が2017年6月17日に公開する。物語は多発する怪死事件を発端に、取材をしていた記者の江崎駿也とその恋人で保育士の尚美が、子どもたちの“呪いの噂”に関わってしまったことから降りかかる恐怖を描く。
事件の陰で子どもの霊を操る謎の男“こどもつかい”を滝沢が妖しくも美しく演じるほか、真相を追う江崎にHey! Say! JUMPの有岡大貴。そして、江崎と行動を共にしながら自身の過去と向き合うこととなるヒロイン・尚美に挑むのが門脇麦だ。映画『二重生活』や現在放送中のドラマ『リバース』に出演するなど、女優として活躍の場を広げている門脇。実は大の怖がりだったという彼女に、廃墟での撮影エピソード、幽霊役の子どもたちとの以外な苦労などを語ってもらった。
門脇:恐いのは苦手なのでホラー映画は見たことがなかったんです。初めてご一緒する監督の作品は何本か見てから撮影に臨むようにしていますが、今回は一本も見ないまま初日を迎えてしまって……。あ、『魔女の宅急便』だけは見ました(笑)。
門脇:まったく見ていません。一度高校の文化祭のお化け屋敷で腰を抜かしてしまったこともあるくらい恐いものがだめで、その時は足を捕まれたか何かをされてあまりに驚いて腰を抜かしてしまいました。そのまま「リタイアします!」ってハイハイしながら出で、携帯電話もなくすし散々な目に遭いました。
門脇:そもそも、ホラー映画のオファーをいただける日が来るなんて思っていませんでした。ホラー映画というとキラキラした若い女の子の登竜門というイメージもあったので、私はそういう年齢は超えているし、そもそもそのポジションにはいませんし。だから尚更「頑張らないと」と思いました。そして何より清水さんとご一緒出来るというのはとても嬉しくて、現場入る前から楽しみにしていました。
門脇:最初はありましたが、台本を読むとホラー映画の要素もありつつ、尚美の抱えてきた過去やそこに駿也と2人でどう対峙して乗り越えるかというドラマがしっかり描かれていたので、いつも通りで大丈夫だと、そこに不安はなかったです。
門脇:ドラマの部分も含めて真実味と説得力がほしかったので、怖がるリアクションも立てるところは立てつつ、でもいつもの芝居と変わらないようにと、そこはこだわりました。
門脇:シュールでした。目の前にお化けがいるわけではないのに、撮影スタート3秒後に「きゃーっ!」とリアクションしたり。そういう意味でテンションを上げる作業は難しかったです。恐怖は外部の刺激で生まれるもので、自分で作り出せるものではないんだと知りました。でも、現場はホラー映画を撮影しているとは思えないくらい和やかでした。グリーンバックの撮影も多かったので、どういう感じに仕上がるか現場では分からなかったので楽しかったです。
門脇:美術やメイクなど、スタッフさんの職人技を肌で感じる機会が多かったです。学生時代の美術の成績はいつも「Bマイナス」だったので、そういう細かい作業は見てるだけでワクワクしました。まるで粘土でひとつひとつ作り上げていくような手作り感のある現場で、スタッフのみなさんの熱量が詰まってます。そこも注目して観ていただきたいです。
門脇:はい、あそこは本当に怖かったです(笑)。
門脇:霊感があるスタッフの方がいて、「空間が歪んでいる」とおっしゃっていました。私は全然感じなかったですけど、その日はお清めのお酒を飲みました。
ホラー映画を撮っていると、みんな怖がりたいんですよ。他の撮影なら普通のことなのに、ちょっとノイズが入ったらワクワクしたり、映像に“もや”みたいなのが入ったら「心霊現象ですか!?」ってスタッフさんたちが盛り上がったり。みんなそういうのが好きで、怖がりたいんだなって(笑)。こういうのは気を強くもったもの勝ちなので、私は「怖くない、ノイズは機械の問題だ」と、とにかく気を張っていました。
門脇:演じるだけならぜひやらせていただきたいですけど、完成したら作品を見ないといけないのが怖くて、それが嫌です(笑)。
門脇:ご本人の前では絶対に言えませんが、小学生の男の子のようなかわいい方でした(笑)。監督って、付いていきたいと思わせるタイプの方と、支えたいと思わせるタイプの方がいらっしゃると思うのですが、清水さんは後者の気持ちにさせてくれる方でした。口は悪いですけどね(笑)。視力が弱いので待ち時間に眼鏡をしていたら、「眼鏡女」や「近眼野郎」と言われたり(笑)。それでも愛されキャラなのは、それが人見知りな監督ならではのコミュニケーション方法だからだと思います。
門脇:あまり一緒のシーンがなくて、お会いしても緊張して挨拶以外はほとんど話せなかったです。でも、子どもたちがとてもなついていて、やりとりを見ていると学校の先生みたいでした。怖いキャラクターを演じられていましたが、元々顔立ちがお綺麗なので美しかったです。
門脇:ご一緒すると聞いて、事前にどういう方か調べた時は社交的な印象で「仲良くなれそう」と思ってお会いしたのですが、実はとても人見知りな方で。意外と話してくれなかったので、最初の2〜3日は「好きな食べ物は何ですか?」とか質問攻めにしていました。徐々に仲良くなれて、何でもできる器用な面と、まっすぐで心に素直な面とのバランスが魅力的な方だと思いました。
門脇:(保育園児役の)中野遥斗君と3人で家族みたいに過ごすシーンは楽しかったです。あと、私は現場では見ることができませんでしたが、アクションにも挑戦されていて。完成した作品を見た時は迫力があって、男らしくてすごいと思いました。
門脇:みんなかわいかったです。幽霊役なので白塗りをして目の回りを黒く塗っていましたが、それさえもかわいくて(笑)。しかも、みんななかなか言うことを聞かなくて、1人だけ違うことをする子がいたり。そんなかわいい子どもたちを前にして怖がるのは大変でした。
門脇:私は子どもが苦手というか……、どう接していいか分からなくて。保育士役と聞いた時には不安でした。遥斗君とも仲良くなろうと積極的にコミュにケーションをとって、ゲームが好きだったので(歌などを)覚えたり、ひたすらあっちむいてほいや落書きで遊んだり。私の台本は遥斗君の落書きだらけです(笑)。そうやってすごく仲良くなれたつもりだったのに、監督に最後「子ども苦手でしょ」と見抜かれてしまって。遥斗君と2人のシーンを見た監督から「苦手だと思った」と言われたのはショックでした(笑)。
門脇:欲しいですね。男の子と女の子ひとりずつくらいが理想です。私が長女で下に弟がいるからかもしれないですけど、弟が大きくなって色んな話もちゃんとできるようになってくると、異性の兄妹もいいものだなって。あと、弟でもお兄ちゃんでも異性だと守ってくれそうな気がします。
門脇:(女優業は)常に生活に付随しているものだと思います。自分では意識していなくても、年齢を重ねることで心身共に変化して、今までと違った役ができるようになったり、お話をいただくようになったり。なので、あまり自分から「こういう役をやりたい」と思うことはないです。ご一緒したい監督もたくさんいますが、私が選ぶわけではないですし、一生懸命その時その時を生きていれば、その時にオファーの来る役がその時やるべき役だと思います。かといって野心がないわけではないですが、強く望んでも(願う役が)来なくてがっかりすることもあるので、あまり思わない方がいいかなと。そのくらいの気持ちの方が楽しいと思います。
(text&photo:中村好伸)
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