『レイルロード・タイガー』池内博之インタビュー

緊張しすぎた!? 撮影中、別の相手にキス!の大間違い

#池内博之

初日からジャッキーとのアクションシーンで緊張!

ジャッキー・チェン主演、中国本土では100億円を超える大ヒットとなった『レイルロード・タイガー』が、6月16日より日本公開される。

1941年の中国を舞台に、鉄道職員や仕立屋など、ごく普通の男達が、“成り行き”で日本軍の軍用物資輸送を爆破阻止するというトンデモ大作戦に巻き込まれる痛快アクション・コメディだ。

人気K-POPグループ・EXOの元メンバー、ファン・ズータオ、ジャッキー・チェン息子で親子共演を果たしたジェイシー・チェン、台湾の人気俳優ワン・ダールーなど、アジア各国で活躍中のキャストが勢揃いしたのも話題の一つ。そんな本作に日本から出演した池内博之に、映画の見どころなどを語ってもらった。

──ジャッキー・チェン分する主人公たちを目の敵にしている日本軍指揮官を演じていますが、本作への出演に至った経緯を教えてください。

『レイルロード・タイガー』
(C)2016 BEIJING SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION SHANGHAI FILM GROUP CO., LTD. BEIJING GOING ZOOM MEDIA CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

池内:クランクインする2ヵ月前にオファーがあり、候補に挙がっていることを知りました。ジャッキー・チェンさんが主演でアクションということを聞いて、「これは大変なことになるな」と。まもなく出演決定の知らせを受け、信じられない気持ちでいっぱいでしたが、やるからにはそんなことも言っていられないと。まだ脚本がない中でしたが、クランクインまで時間がなかったので、まず体づくりから始めました。

──実際にジャッキーと一対一で戦うなどアクションシーン満載でしたね。

池内:実はクランクイン初日からジャッキーさんとのアクションシーンでした。緊張していて遠慮していたら、ジャッキーさんが「もっと来ていいんだよ!」と言ってくださり、ほっとしました。そこから楽になりましたね。

突如、台本結末まで変わってしまうことも! アジアの撮影では柔軟さが必要
『レイルロード・タイガー』
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──きな臭い時代を背景にした作品ですが、コメディ要素も満載ですね。

池内:そこはすごく良かったと思います。物語的にシリアスに描きすぎると、日本で受け入れてもらえるのかな?と不安になりますが、コメディ要素が加わった分安心しました。
 演じた指揮官の山口という人物はただ悪いだけの人間ではなく、非常に愛嬌のあるキャラクターなので、そこが皆さんに伝わればとうれしいです。

──現場では数少ない日本人キャストだったと思うのですが、どのようにコミュニケーションをとっていったのですか?

池内:全員の待機場所が同じで、一緒にご飯を食べたり、基本的なコミュニケーションが英語でした。ジャッキーさんの息子さんのジェイシー・チャンさんは日本語が少し話せるので、英語も交えながらコミュニケーションがとれていました。
 現地のキャストの方が日本語の台詞で話すシーンもあったので、その時はアドバイスをしたりしましたね。朝、台本が届いて覚えていても、現場で台詞が変わってしまうことも多かったので、瞬発力と柔軟性をもって対応していかないとと思いました。

──監督は、ジャッキーとは3度目のタッグとなる『ポリス・ストーリー/レジェンド』のディン・シェン監督でしたね。いかがでしたか?

池内:役者に自由にやらせてくれる監督でしたね。『イップ・マン 序章』(08年)のウィルソン・イップ監督は絵コンテもきっちり描いて、撮りたいシーンを明確に示してくれるような演出でしたが、ディン・シェン監督は良い意味で役者を泳がせてくれることが多かったですね。

──現場でのジャッキー・チェンさんの様子を教えてください。
『レイルロード・タイガー』
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池内:とにかく優しい人ですね。周りに気を遣うし、飲みに誘ってくれたりしました。仲間や輪を大切にする素敵な方だと感じました。

──日本と海外では、撮影現場での違いはありますか?

池内:アジアに関していえば、台本が当日に上がってきたり、現場で変わったりすることも多いです。エンディングすら変わってしまうこともありますね。
 アクションシーンに関しても、ある程度流れは決まっていても、屋外や室内のシーンなど細かいシチュエーションによって、その場で動きが変わることもありますね。そこに挑むという面白さもありますが、緊張感はずっとあります。間に通訳を入れるので、理解するのにタイムラグができてしまって、その間に監督は次の話をしている、ということもあって、追いつかない状態で、結構頭の中はいっぱいいっぱいですね(笑)。

──過酷な現場だったとうかがいましたが、いかがでしたか?

池内:何もしていなくても、耳がちぎれそうなくらいの寒さで大変でした。寒い場所でのアクションシーンは、ちょっとぶつかっただけでも痛いんですよ(笑)。とにかく体を温めてから臨まないと怪我をしてしまうんです。

──ご自身が出演したシーンで印象に残ってるのは?

池内:ある物を食べた後に、寝ぼけて、意識が朦朧としてしまい、駅長にキスをしてしまうコミカルなシーンが印象深いですね。もともとは、リハーサルで監督はキスをするなんてことは一言も言っていなくて(笑)。リハーサルの後、監督は女将校役の陽子にキスをする、という指示をしていたにも関わらず、勘違いをしてしまいました(笑)。本番のカットの後、現場は爆笑していましたが、どうして笑っているのかわからなくて。
 自分が出ていない全体を通して言えば、ロープでつるしたり、全体を通してアクションデザインがさすがだなと思いますし、ジャッキーさんと息子さんのジェイシー・チャンさんとの共演シーンも非常に楽しめましたね。面と向かうアクションだけではなく、偶然かわしてしまうようなコミカルさもあったり。ジャッキーさんのアクション映画らしいな!と思いますね。

──子どもの頃から慣れ親しんだジャッキー・チェンの映画に出られるという実感はいかがですか?

池内:もっとこうすれば良かったなという反省点もありますが、目の前にジャッキーさんがいて、一緒に演技をできたことは本当に勉強になりましたね。またジャッキーさんとご一緒できたらうれしいです。

──海外での活躍も増えていますが、今後の展望を教えてください。

池内:日本での仕事をベースにしつつ、中国などアジアの作品が続いていますが、アジアだけではなく、チャンスがあれば是非色々な海外の作品に出たいですね。一つ一つの作品を精一杯やって、出会いを大切に次につながるようにこれから挑戦していきたいと思います。

──最後に映画の見どころを教えてください。

池内:ジャッキーさんファンにはたまらない作品になっていると思います。アクションコメディであり、エンターテインメント性の高い内容なので、子どもから大人まで見られる作品だと思うので、ぜひたくさんの皆さんに楽しんでいただけたらと思います。

池内博之
池内博之
いけうち・ひろゆき

1976年11月24日生まれ、茨城県出身。高校時代から雑誌モデルをつとめ、テレビドラマ『告白』(97年)で俳優デビュー。『GTO』(98年)で人気を博し、映画『13の月』(06年)で監督デビュー。NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)、連続テレビ小説『まれ』(15年)をはじめ、数多くのドラマ、映画に出演。