1973年2月26日生まれ、ポーランド出身。ポーランドの最重要監督の一人であり、ドキュメンタリーや劇映画の監督を務めるかたわら脚本家やプロデューサーとしても活動。『ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー』(11年)などを監督。国内外の映画祭で高く評価され、ベルリン国際映画祭テディ賞、ロカルノ国際映画祭審査員特別賞など多数の受賞経歴を持つ。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した『君はひとりじゃない』が、7月22日より公開される。最愛の人の死を経験した3人、1組の父娘とセラピストの再生を、繊細かつユーモラスに描き出す感動作だ。悩める現代人達の心を温めてくれるような本作について、マウゴシュカ・シュモフスカ監督に語ってもらった。
監督:(ベルリンでの銀熊賞受賞は)本当にびっくりしました。ポーランド人の監督があのベルリンのコンペに入ることが15年ぶりだったんです。だからコンペ入りを果たしたこと自体がそもそもびっくりだったのに、銀熊賞をもらって更にびっくりでした。ポーランド人で賞をもらっているのはクシシュトフ・キェシロフスキだったりイエジー・スコリモフスキ以来だったので、こんなに光栄なことはないと思いました。
監督:当初は拒食症をテーマにした話にしようとしていました。しかしそれではあまりにも幅の無い、多くの人に語りかける映画にはならないと思い、“オルガ”というキャラクターをつくり、彼女と父親の関係を描くストーリーにしたの。そんなときに偶然アンナのような女性に会いました。彼女は非常にスピリチュアルな人でヘンテコなことを言う人だったの。それでその彼女に基づいたキャラクターを創造したわ。そしてこの父の役はヤヌシュ・ガヨスありきだったの。
監督:死というのは私にとってとても身近なものです。私は今44歳ですが、人よりは多く、色々な死と向き合ってきています。母も父も立て続けに亡くなり、今は親族の中に若くして死を迎えようとしている人がいます。そういう意味では慣れているので、周りの友だちよりは死を恐れていないと思います。周りはひたすら死を怖がっていますが、私はそれほどでもないのよ。そういう意味では強い方だと思いますが、自分の死に関しては多少不安になったりすることはあるわね。輪廻転生だとかそういう事に関しては信じているときもあれば、私はカトリックではないですが、カトリック教でいうところの“全く何もない“という部分の信念を失うことだってあるんです。そういう部分では自分でも死というものが何かという答えを見いだせていません。ただ、死は生の一部であって切っても切り離せないものだと思っています。
監督:私はインターネットに疎いのですが、私のアシスタントに、SNSを積極的にやっている26歳の子がいて、彼を頼ってオルガ役をFacebookで募集しました。その中にユスティナ・スワラもいました。ユスティナ自身は拒食症を患っているわけではないのですが、大きな目を含め見た目が面白いと思いました。ただ激やせではなかったので数キロ落とすようにお願いしました。そんな彼女ですが今はファーストフードばかり食べる子なんですよ(笑)。
監督:家族と友だちですね。私はアーティストですし、映画監督をやっていて人生の大事な部分を占めているわけですが、同じくらい大事なのは夫であり子どもたちですよね。それと大勢ではないけれどいつも親しくしている友だちもかけがえのない存在です。
監督:次回作は『MUG(原題)』という7本目の長編の作品となります。ベルリン国際映画祭やベネチア国際映画祭を狙っているんですが、さぁどうなるか、という感じですね。それ以外では1本短編を撮る予定で、色々な女性監督が短編作品を撮って作品にするオムニバス作品です。LAにある“WE DO IT TOGETHER”というフィルムメーカーの組織があり、その一環としてやっています。この作品は2018年のカンヌ国際映画祭を狙っています。
私の作品にはジュリエット・ビノッシュが出演していて、フランス人監督の作品にはイザベル・ユペールが出演予定になっています。そしてペネロペ・クルスが監督として参加します。他にはポーランド映画で脚本を練っているものがあって、1年半後には撮影に入っている予定です。また、英語での作品のオファーも来ています。まぁ、どれが実現するかもわからないですけどね。
(C) Derek Hudson
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