1954年1月1日生まれ、福島県出身。1982年に映画監督デビューを果たすと、1993年の映画『魔王街・サディスティックシティ』で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリ(ビデオ部門)を獲得。2003年公開の『ヴァイブレータ』ではヨコハマ映画祭をはじめ、国内外40以上の映画祭で数々の賞を受賞。近年は幅広いジャンルの作品でその才能を発揮している。
全世界累計900万部を突破している東野圭吾のベストセラー小説を、「Hey! Say! JUMP」の山田涼介主演で映画化した『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。本作でメガホンをとったのが、近年、幅広い作品を世に送り出している廣木隆一監督だ。
ベテランから若手まで幅広い俳優たちを取りまとめ、重厚な人間ドラマを作り上げた廣木監督に本作の魅力や、映画作りで心掛けていることなどを聞いた。
廣木:プロデューサーと脚本の斉藤ひろしさんが2年ぐらい前から脚本を作っていたのですが、監督が決まっていないという状況だったんです。興味あるか聞かれたので、原作を読ませていただいたのですが、ファンタジー色が強いものを期待しているのならば、僕では無理かなと思ったんです。でもそうではなく、3人の男の子の人間物語がメインだということで引き受けたんです。どれもいい話で、一つずつ完結しているなかで、群像劇のルールに則って繋げていくのは難しかったです。
廣木:初期の作品は結構読んでいたのですが、最近は映画になった原作などを読む程度ですね。斉藤さんが脚本を書いて映画化した『秘密』とかは傑作だなと思いましたね。
廣木:演出方法は変えないですね。ただ、今回はパートによって、俳優同士がまったく絡みがないことがあったので、演出方法というより、作品全体のトーンが変わらないようには気をつけました。僕しか全員の演技は見ていないし、僕がブレてしまうと映画的には変になっちゃうので。でもそういう作業は楽しかったですね。
廣木:僕のなかでは、すごくがんばったエンターテインメントですね。ファンタジー要素を入れつつ、人間ドラマもある贅沢で欲張りなエンタメ。西田さんともやってみたかったし、涼介も若手としてどんな感じか見たかった。今の時期にこうしたキャストと仕事ができることがおもしろいなって思いました。
廣木:結構若い人とやると、こちらも勉強になるんです。もちろん個性がありデコボコなのですが、そのまま素材を生かす方法もあれば、うまくはめていくやり方もある。でも基本的には彼ら若い感覚の演技を見せてもらいます。それでおもしろければいいという感じで、新しい感覚を大切にします。
廣木:前やって成功したことは、次に続けてやろうとは思わない。全部捨てて壊していくことがテーマですね。いろいろな映画会社があるので、カテゴリーを絞るよりは、映画の可能性、自分の可能性を高められるような作品を積極的にやっていこうという気持ちは強いですね。
廣木:好きな俳優って難しいよね。存在感ある人といってしまえばそれまでだけど……。映画って一つの目標に向かってみんなで進んでいくものだけど、その目指すものをわかってくれる俳優さんが一番いい俳優なのかな。スタッフもそうなんですけれどね。チームとして一つの方向を目指せる人たちかな。
(text&photo:磯部正和)
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