1996年8月16日生まれ、東京都出身。俳優・佐藤浩市の長男として生まれ、20歳で俳優デビュー。瀬々敬久監督の自主映画『菊とギロチン -女相撲とアナキスト-』(2018年夏公開予定)が映画初出演作となる。2本目となる『ナミヤ雑貨店の奇蹟』では、素朴で穏やかな青年を好演。現在公開中の『心が叫びたがってるんだ。』でも主要キャストを演じ、話題となった。今後の活躍が期待されている若手俳優として注目が集まっている。
東野圭吾といえば、数えきれないほどの作品がすでに実写化されており、文学界のみならず、映像業界にも大きな影響を与えている人気作家の筆頭。『秘密』や『容疑者Xの献身』など、ミステリーの印象が強いが、今回は“東野圭吾史上もっとも泣ける感動作”といわれている『ナミヤ雑貨店の奇蹟』がついに映画化された。世界累計900万部以上という大ベストセラー作品だけに、ファンからの期待は高いが、緻密に絡み合った群像劇がどのようにして映像化されているのかにも大きな注目が集まっている。
かつて街の人々からの悩み相談に応えていた心優しい店主と現代を生きる3人の青年たちが、ふとしたことから時空を超えて繋がる奇跡の一夜を軸に描かれた心温まるストーリー。今回、主演を務めたHey! Say! JUMPの山田涼介と村上虹郎と共に若者3人組の1人を演じたのは、俳優デビューしたばかりの寛一郎。本作の見どころや役者の道を選んだことへの決意、そして父・佐藤浩市への思いなどを語ってもらった。
寛一郎:自主製作の映画を去年すでに撮っていたので、この作品は僕にとっては2本目ですが、こういった商業映画に初めて出させて頂いて、しかもステキなキャストのみなさんと一緒に出演できたというのは僕にとっては財産になりました。特に西田敏行さんとは、いつまた共演できるわからないので、本当に思い出の一作ですね。
寛一郎:お互い無理にたくさん話そうとせずに、それぞれ楽屋で好きなことをやっていたので、僕はわりと自然体でいられました。でも、話すときはちゃんと話すという感じで、そこは山田くんが引っ張ってくれていたので、うまくコミュニケーションが取れていたんじゃないかなと思います。
寛一郎:そうですね。特に虹郎は僕と同じ歳なので、すぐに仲良くなりました。山田くんは僕らよりも3つ上なので、お兄さんという感じで僕らを可愛がってくれていました。
寛一郎:僕が気持ちを出さないといけないシーンがありましたが、リハーサルのときに「もっと感情を出していいよ」と言われたくらいで、それ以外はあまり監督からは言われなかったので、そのあたりはすごく不安でもありました。委ねられているわけではないんですけど、「自分で考えろ」ということを僕に教えてくれたんだと思います。
寛一郎:「本番!」と言われてから、虹郎が紙をどこかに飛ばしてしまってカットかかり、次にやり直したときに、僕が火を消してまたカットかかってしまったことがあったんです。そのときに「お前ら集中しろ!」と3人で怒られました。僕としては、2人に言っていることは自分にも言われているのと同じことだと常に考えながら撮影していたので、役と同じようにお互いを思いやる気持ちはあったと思います。
寛一郎:今回は共演ですけど、同じシーンがなくて共演じゃないみたいだったので、難しいところですね。西田さんのシーン(の撮影)は見に行けなかったんですけど、寒いなか西田さんが僕らのシーンを見に来てくださったことがありました。僕たちがただ走っているだけのシーンで、「ナイスラン!」と言って下さったのを覚えてます。もっとお話ししたかったんですけど、残念ながら時間がありませんでした。ただ、少ない時間のなかでも、西田さんの包容力というか、本当にステキな方なんだなというのは感じられましたね。
寛一郎::瞬間的なものではないですね。というのも、もしそういう気持ちが瞬間的に生まれていたら、僕は多分役者をやってなかったと思います。瞬間的に「やりたい!」、じゃあ「やる!」で決められるほど役者は甘くないと僕は思っていて、それは親父を見ているからわかるんです。だから、役者をやりたいという気持ちが瞬発的だとしたら、ちょっと薄っぺらいかなと感じてしまいますね。僕は徐々に沸々と役者をやりたいという気持ちになっていきましたが、思春期が終わった頃にずっと映画を見ていたので、やっぱりそのときだと思います。
──役者になりたい思いを父である佐藤浩市さんに伝えたときは「そうか」と一言だけ言われたそうですが、その後、実際にこうして俳優としてのキャリアをスタートさせてから、相談したりアドバイスをもらったりしたことは?
寛一郎:特にないですね。そこはお互いに干渉しないようにはしています。
寛一郎:もちろん嫌ですけど、いま現在ここに立っていられるのは、親父の力なくしては出来なかったので、それはしょうがないことですね。でも、役者を始めたからといって、この数ヶ月間で親父に対する気持ちが変わることはないです。というのも、僕は生まれてから20年間それを言われ続けてきたので、いますぐに変わるものではないですね。
寛一郎:される方が多いかもしれないですね。というのも、僕は人に悩みを相談しないんです。僕は1人で散歩するのが好きなんですけど、そのときに自分で考えて解決します。なので、相談したい人というのも特にいないですが、ただ人と喋っていて何か解決策になるヒントは、聞こえてくるときはありますね。誰かに相談はしないですけど、人とのコミュニケーションのなかで、そういうものはもらっています。
寛一郎:去年撮影をしていたときに、瀬々敬久監督から言われた「やるなら今しかない!」です。普通の言葉のようなんですけど、僕はそのときすごく衝撃を受けましたね。やるなら今しかないというのは、もちろんのことなんですけど、そう思っていても、足がすくんで行けなかったり、僕は意外とビビりなところがあったりするので、その言葉には結構助かっています。変われているかわからないですけど、その言葉はいつもちゃんと胸に持っています。
寛一郎:何でもやってみたいですね。映画に出たいので、それなら何の役でもいいです。いまはとりあえず色んなことにチャレンジしてみたいなと思います。
寛一郎:いい役者になりたいです。ただ、その定義は僕にはまだわからないので、それはこれから僕が西田さんの歳になるくらいまで、“いい役者の定義”と戦っていかなければいけないと思っています。
寛一郎:いつかやってみたいですけど、今の僕じゃ失礼ですよね。もう少し自分のなかで自信が付いたら向き合ってみたいです。
寛一郎:僕は自分が出ている映画とは思わないくらい新鮮に見れました。ここはどういうシーンかというのは脚本でわかっているんですけど、それでもみなさんがそれを超えてくるお芝居をしているので、本当に楽しめましたね。僕も小説を読んだときにすごく感動して、いい作品だなと思ったんですけど、あれを2時間でやるとなると、すごく難しいだろうと思いました。でも、見事にまとまっている映画だと思うので、原作ファンの方にも絶対に楽しんで頂けると思います。
(text:志村昌美/photo:中村好伸)
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