1981年8月23日生まれ、静岡県出身。EXILEの中心核としての活動に加え、数々の映画、ドラマ、舞台、声優など様々な分野で活躍。『ちゃんと伝える』(09年)で日本映画批評家大賞新人賞を受賞し、10年中国公開のアンドリュー・ラウ監督作品『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』にてアジア映画デビュー。17年にはマーティン・スコセッシ監督作『沈黙‐サイレンス‐』にも出演。また、三船敏郎の生涯を描いたドキュメンタリー映画『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』(18年春公開)日本版ナレーターをつとめる。
『HiGH&LOW THE MOVIE3/FINAL MISSION』AKIRA×岩城滉一インタビュー
AKIRAと岩城滉一を熱くさせた『HiGH&LOW』最終章の魅力とは?
ドラマ開始当初から話題となり、一躍人気シリーズとなった『HiGH&LOW』がいよいよ最終章を迎える。そのクライマックスを飾るのが、映画4作目となる『HiGH&LOW THE MOVIE3/FINAL MISSION』。本作では、仲間と街を守るために協定を組むことを決めたSWORDのメンバーたちと巨大な闇組織である九龍グループとの激しい全面対決が繰り広げられている。
そこで今回は、「SWORD地区」が誕生する前に一帯を支配していたムゲンの元総長である琥珀としてシリーズをけん引し続けてきたAKIRAと、九龍グループの二大派閥のひとつである「黒崎会」の会長である黒崎君龍を演じた岩城滉一に本作への思いやお互いの印象について語ってもらった。
AKIRA:ドラマシリーズから今回の作品まで3年間続いたシリーズで、これだけスケールの大きな作品を撮影できること自体がいまの時代になかなかないと思っています。多くの方々のサポートや熱い思いがなければ続けてこられなかったので、その一つ一つの点が線となってここまでたどり着けたのは、感慨深いものがありますね。
岩城:僕もこういうタイプの映画というのはずっとやってましたけど、こんなに大掛かりじゃないし、迫力も違ったので、海外の映画に負けないような作品に出させてもらったことに感謝していますよ。だから、いまは多くの人に見ていただきたいなという思いだけだね。
AKIRA:今回の『HiGH&LOW』シリーズというのは琥珀からスタートした部分もありますし、僕らの仲間もいっぱい出演しているので、現場では自分たちがゲストでなく、ホスト役となって、来て下さるキャストやスタッフのみなさんと作品を盛り上げて行くという姿勢を3年間意識していました。そうやって、本当に全員で一丸となって作り上げていったんです。ある意味「全員主役」ということは、「全員座長」という意識であれたら、と。
AKIRA:最初に登場した伝説のチームであるムゲンの時代から琥珀が壊れて少しダークサイドに行ったところも含めて、衣装やビジュアルは全部自分でプロデュースさせてもらいました。今回の作品では時系列をそんなに細かく書いてなかったので、琥珀の姿を見ることで時の流れが変わったという風に感じてもらいたいというのもありました。
なので、前みたいにでギラギラするというよりは、「十字架を背負いながらも正しく生きたい」という使命を全うする人物に仕上げたいと思っていたんです。それで、パリッと刈り上げるのではなく、無造作で汚らしい格好で髪の毛を伸ばして、静寂のなかにも強さがあるような姿を表現することにしました。
岩城:現場では動きの流れとか、「荒くれ者はこういう喋り方じゃなくて、こうじゃないの」とかそういう感じの話はしたかな。今回は、余計なセリフを言うよりも気持ちを顔に出してジッと見つめたりするような芝居が多かったんだ。あと、衣装に関しては日頃使っているものを着たりしてたよ。
AKIRA:もしかして、劇中のレザーのセットアップも自前ですか?
岩城:あれも自分のだね。
AKIRA:あそこのシーンでは、岩城さんから出るバイクの匂いとか、男らしい匂いがあの服からも感じられて、めっちゃくちゃかっこいいなと思っていました。
岩城:セットアップといっても普段は上着は上着、下は下で着ているんだけど、映画だからそういうシーンがあってもいいんじゃないかなと思って提案したんだ。
岩城:「男でこんなにかわいい顔している人いるの?」みたいに思ったよ(笑)。僕らの時代の男ではなかなかいないよね。でも、AKIRAが出てきたときも、「キレイな顔立ちしたやつだな」って思ってたよ。
AKIRA:本当ですか(笑)?
岩城:でも、岩ちゃんはちょっと違うもんな。とはいえ、キレイだけど、芯が強くて一言一言が男っぽいところがあるよね。
岩城:若いっていいなということと、取り組み方がみんなすごく真面目で本当に頭が下がった。僕にもそういう時期があったのに、やらなかったんだなって。「後悔先に立たず」じゃなくて、役に立たずって感じだよね(笑)。
AKIRA:映画俳優の大先輩としてもそうですけど、男のなかの憧れです。ファッションとか、バイクとかそういった男の魅力というものをすごく持っていていつも憧れていたので、まさか岩城さんがこの作品に参加して下さるとは思ってもいませんでした。なので、決まったときはうれしかったです。
今回、同じシーンはなかったですけど、自分のシーンの前に撮影していることは何度かあったので、そこでこっそり岩城さんの芝居を見ていたことはありました。迫力だけなく、立っているだけでそのシーンが岩城さんのステージになるというか、空気が一色に染まるんですよ。『HiGH&LOW』は全員が主役というのがテーマでもあるので、この作品がこうあるべきだというのを外から見ていて学ばせてもらいました。
AKIRA:大先輩である岩城さんから見た僕ら若い俳優たちのイメージはどうかなというのは聞いてみたいです。
岩城:いまの若い人を見ていると人柄もわかりにくいけど、ここに参加しているのは、大事な行儀であったり、先輩後輩をちゃんと思いやったり尊敬したりできる仲間なんだよ。そういう男臭さは画面にもすごくはっきり出るから演じる必要はないし、それは男から見るとすごく気持ちがいいもんなんだよね。
やっぱり自ら進んでそのなかに飛び込んで行く人って違うし、そういう男っぽさというのはスクリーンからでも伝わるから、若い女性が見てもみんなが素敵に見えるんだよ。
岩城:すごくバージョンアップしてるよね。テレビに出てるのを見たときは、ちょっとまだテレビ寄りの甘さが出てたけど、今回は厳しさとか優しさとか辛さとか苦しさとか、そういうものが全部入っていて、れっきとした役者に感じたよ。普段は歌を歌ってるパフォーマーには見えないよね。だから、毎回新しい役者もいっぱい出て来てるけど、一番出世したグループのひとりだと思ったし、すごくかっこよかったよ。
AKIRA:前作から、岩城さんの舎弟に(小林)直己が演じる源治がいるんですけど、いままでの拳と拳での闘いとは違って源治は日本刀を持っているので、切れ味のある刀裁きと直己の大きな体を目の前にしたときに、間合いも含めてトリッキーなアクションになりました。しかも、広い所ではなく、デカい2人があえて狭いワゴンのなかや車の天井でアクションをするというのは結構緊張感がありましたね。
岩城:あのシーンは僕の中でもイチオシで、とにかくすごい! 直己は日本のターミネーターだから、絶対に世界に出た方がいいし、通用するよ。あいつは怪物だよね(笑)。日本のアクションでは風邪をひいた「ハクション」みたいな映画が山ほどあるけど、これは桁が違うよ。こんな映画はいままで日本では見たことないくらい。僕も若かったら、そっち側に入れてもらってアクションをやりたいなと思ったし、やっぱり男だったらこういう映画というのは、憧れだと思いますよ。
試写で見たときに「こんなすごいことやってたんだ」と思って、最初からあんぐりしちゃったんだけど、海外の映画にも匹敵するというか、負けてないよね。画もキレイで文句のつけどころがない映画。だから、若い人だけじゃなくて、大人でも「俺たちの若い時もこうだったな」って思えるような映画なので、勢いのあるオヤジにはぜひ昔を思い出して見てもらいたいよね。
AKIRA:お話を頂いた作品は本当にご縁があると思うので、これと選ばずにチャレンジしたいなと思いますけど、『HiGH&LOW』をやって感じたのは、いまの自分の歳じゃなきゃできないものや出せないエナジーとかあるということですね。やっぱり小手先ではなくて、自分のストロングポイントを全面に活かせる役というのはどんどん挑戦して、世の中に残していきたいです。20代を振り返ると、「あのときもっとこういうことやっておきたかったな」というのがすでにあるので、いま36歳の自分をマックスで出せる役と巡り合ったらそれはステキなことかなとは思います。
岩城:まだまだ若いから、いまの歳に合った役はたくさんあると思うんだよね。そこから上に行くと、僕でも「もうアクションはだめなのかな」とか悩める時期があったんだけど、それは絶対に通り道にあるわけだから、若いときにはこれをやって、年を取ったらこういう風にやっていこうみたいな感じが一番いいんじゃないかな。わざわざ老けたり若ぶったり必要性もないし、年齢に合ったものをできるのが役者の良さだという気がするよね。
(text:志村昌美/photo:中村好伸)
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