『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』百田夏菜子インタビュー

「怖いもの知らず」でヒロイン役声優にも挑む!

#百田夏菜子

ゾロリみたいな子がいたら怒っちゃいそう

原ゆたかの人気児童書「かいけつゾロリ」シリーズの劇場版アニメ第5弾『映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ』。本作でゾロリと、その子分であるイノシシの双子イシシ&ノシシがタイムスリップした先で出会った若き日のゾロリママ=ゾロリーヌの声を務めたのが、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子だ。

連続テレビ小説『べっぴんさん』でメインキャストを務めるなど、アイドル以外にも活躍の幅を広げている百田が、アフレコでのエピソードや、自身について語った。

──『かいけつゾロリ』という大変人気のあるアニメでヒロインを務めることになったとき、率直にどんなお気持ちでしたか?

百田夏菜子

百田:ヒロインという役柄を演じたこともありませんでしたし、声のお仕事というのも、あまりなじみがなかったので、最初お話をいただいたときは「えっ?」って感じでした。しかも台本を読ませていただいたら、超出番も多く、プレッシャーを感じました。でも、もともと小さいころから読んでいた本だったので、映画に参加できる喜びは大きかったです。

──連続テレビ小説『べっぴんさん』や、映画『幕が上がる』など女優活動も行っていますが、声の仕事をする上で、こうした経験は生きましたか?

百田:ドラマは自分の間で話せるのですが、アニメってキャラクターの口の動きがあるから、どうしても合わせることを意識してしまうんです。でも監督から「このセリフはゾロリにかけてあげて」とか「もっと気持ちを大事にしてあげて」ってアドバイスをいただき、ドラマとかアニメとかに関係なく、気持ちが大事なんだなって感じました。その意味では、女優活動は役に立っていると思います。

百田夏菜子

──アフレコまでにどんな準備をされたのでしょうか?

百田:台本を読む前は、私が演じたゾロリーヌは、すごく優しくておっとりしたお母さんのイメージだったんです。でも台本をいただくと、とてもアクティブな印象で、正直悩んでしまったんです。そんなとき、声優の野沢雅子さんとお会いして「思い切りやったほうがいい」というアドバイスをいただいたんです。そこで、一度自分のなかにあったゾロリーヌのイメージを全部捨てて、まっさらな状態で台本と向き合ったんです。そうしたら、怖いもの知らずなところなどは自分に近いなと感じましたし、ゾロリに対するお母さんの気持ちなども、朝ドラで母親の役をやっていたので、そのときの気持ちをシンクロさせたりして役を作っていきました。

──百田さんは「怖いもの知らず」なのですか?

百田:結構そういうところはあります(笑)。「とりあえずやってみよう」とか「こうと決めたら手段を選ばない」みたいな意思の強さはゾロリーヌと似ている気がします。知らない人に初めて会っても話しかけちゃったりしますね。

──ゾロリーヌは、可愛い服を作るのが夢と話していました。この作品は“夢”というものも大きなテーマだと思いますが、小さいころ、どんな夢がありましたか?

百田:私はスポーツ選手になりたかったというか、なると思っていたんです。授業も体育しか得意ではなかったし、その道に行くのかなと漠然と感じていたんです。ずっとバスケットボールと新体操をやっていたのですが、地元の高校に新体操部がある学校が1校しかなかったのです。しかもそこがめちゃくちゃ頭のいい学校で無理だなと(笑)。今はいろいろなアスリートの方とお話する機会もあり、生半可な気持ちでは、スポーツ選手にはなれないとわかるのですが、当時は本当にスポーツ選手として生きていこうと思っていたんです。

──でも結果的には芸能の世界に進んだのですね。
百田夏菜子

百田:そうですね。スポーツと同時に芸能のお仕事も始めていて、いつの間にかバスケか新体操という二択に、芸能という選択肢が加わって、三択になっていたんです。今でも「こんな予定じゃなかったよな〜」って思うことがあります。

──先ほどお母さんの気持ちも意識したとおっしゃっていましたが、ゾロリみたいな息子がいたらどうですか?

百田:いろいろといたずらするし、怖いもの知らずなところがあるので、大丈夫かなって心配になっちゃいますね。

──ゾロリーヌみたいな優しいママになれる自信はありますか?

百田:私のお母さんが、小さいころから子守唄を歌ってくれたり、本を読んでくれたり、おいしいオムライスを作ってくれたりしたので、お母さんみたいな人になりたいなという思いはずっとありました。でも私だったら、ゾロリみたいな子がいたら「ちゃんとしてー」とか「もう危ないから!」って怒っちゃいそうです(笑)。

「あんたの家の子ども、どうにかしなよ」と声をかけられたことも
百田夏菜子
──とても幅広いジャンルで活躍されていますが、今のご自身の状況をどう捉えていますか?

百田:あまり自分の現状について客観視できていないので、気持ちがついていけないんです。朝ドラのときも、すごいことだということは重々わかっているのですが、尋常じゃない量で声をかけていただけたりすると「なにが起きているんだろ」って思ってしまうんです。急に年上の女性に「(『べっぴんさん』で百田演じる良子の息子がやんちゃで手を焼いていることに)あんたの家の子ども、どうにかしなよ!」なんて声をかけられたりするんです(笑)。

──今後、チャレンジしてみたいことはありますか?

百田:新しいことをするのが大好きなので、いろいろなことにチャレンジしていきたいのですが、そのなかでも、アクションはやってみたいですね。殺陣とかやったことがないので、すごく興味があります。

(text:磯部正和/photo: 小川拓洋)

百田夏菜子
百田夏菜子
ももた・かなこ

1994年7月12日生まれ、静岡県出身。08年に「ももいろクローバー」を結成し、翌09年には「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもとシングル「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。その後、10年には「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たすと、一躍トップアイドルへと上り詰める。11年にはグループ名を「ももいろクローバーZ」に改名し現在に至る。女優としては、15年に映画『幕が上がる』で主演を務める、16年には連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインの親友役を演じ注目を集める。