『キングスマン:ゴールデン・サークル』ペドロ・パスカル インタビュー

現代のバート・レイノルズ!? 前作超えの大ヒット作で危険な男演じるラテン俳優

#ペドロ・パスカル

ちょっとダークで危険だと、確実に言える

「荒唐無稽なスパイ映画そのもの。つまりそれは、エンタメ映画として最高って事」「前作よりブッ飛び感がアガッてて面白すぎ」など大絶賛のアクションエンターテインメント『キングスマン:ゴールデン・サークル』。公開2週にして興収約10億円で、前作『キングスマン』を上回る大ヒットを記録している。

『ゲーム・オブ・スローンズ』『ナルコス』でブレイクしたペドロ・パスカルが、口説き上手なアメリカのスパイを演じているのも話題のひとつ。そんな彼に話を聞いた。

──あなたが演じたエージェント・ウィスキーとはどんな人物ですか。

パスカル:エージェント・ウィスキーはキングスマンのUS版とも言えるステイツマン・エージェントの一人。 キングスマンが第1作で描写されていたようにステイツマンも 洗練された象徴的なスパイ組織であるということは全く共通している。キングスマンの表向きは高級テーラーだったが、ステイツマンの場合、表向きは蒸留酒製造所になっている。それで僕らのエージェントネームは酒の種類がベースになっているんだ。僕はウィスキー、チャニング・テイタムはテキーラ、ジェフ・ブリッジスはシャンパン、ハル・ベリーはジンジャー(ジンジャーエール)なんだよ。僕らは全員がカウボーイなんだ。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』
(C)(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
──それらの名前は役柄のキャラクターを表しているとか?あなたの役がウィスキーと呼ばれることは役柄に関連しているということですか?

パスカル:そうだね。まったくそうだと言える。彼がちょっとダークで危険だと、確実に言えるな。

──この映画に携わるようになった経緯は?

パスカル:マシュー・ヴォーン(監督)を通して。最終的にこの役が僕に決まったのはかなり後半の頃だったけど、それまでに役についてマシューと共作していた期間があったんだ。マシューは僕のことを『ナルコス』の第1シーズンで知ったんだけど、当時の僕の演じる役を見てエージェント・ウィスキーに通じるものがあると思ったそうだ。(キャスティングの)かなり早い段階で彼から話が来たので、役がもらえるかはわからないまま、オーディションを通して一緒に役作りするのに多くの時間を共に過ごしたよ。おかげで最終的に役をもらった時は、それまでの過程でやってきた全ての事を役に生かすことができたんだ。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』
(C)(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
──この役は、口髭や鼻に掛けたような態度が1970年代のバート・レイノルズを彷彿とさせますが、この方向性でいくと決めたのは誰ですか?

パスカル:マシューが、僕がこの役を演じることを想定した上で取り入れた要素だったと思う。僕もこのアイデアにはかなり乗り気だったね。バート・レイノルズのようにクールでかっこよく見えたのだとしたら、僕にとっては目標達成したと言っていいかもね。
 バート・レイノルズの映画は以前にもよく見ていたよ。僕の一押しは『ロンゲスト・ヤード』。この映画では口髭は生やしていなかったからちょっと意外だったけどね。それからもちろん『トランザム7000』、それから彼がスタントマンを演じる『グレートスタントマン』。あれは最高だったな。でもマシューとの会話の中でとりわけ僕にとって大事だったのは、ウィスキーというキャラに堅苦しくない粋な傲慢さ、そしてクールでしかも危険な香りを漂わすことだった。この男とは絶対トラブルに関わりたくないっていう感じのね。これはマシューと僕で共に作り上げたイメージだった。最初から目指すものは決まっていたんだ。ただその期待に自ら応えなくてはいけなかった。

──ウィスキーにとってエグジー(タロン・エガートン)との関係性が重要になりますね。彼らの関係はどのようにしてスタートするのでしょうか?

パスカル:本作で、エグジーはステイツマンのミッションに参加することになるのだけど、ウィスキーとエグジーは 世界を救うためのミッションを達成するために否応なしに共に行動することを強いられる。前作ではハリー(コリン・ファース)とエグジーの間にかなり親密な師匠と弟子のような関係性があったわけだけど、ウィスキーとエグジーの間にはちょっとした競争意識があって、ウィスキーはハリーとエグジーのダイナミックで硬い絆にヒビを入れることだって、やろうと思えばできるんだ。

──特殊な武器のトレーニングに長時間費やしたと聞きました。

パスカル:鞭、投げ縄、拳銃なんかだね。ループ・ローリンズっていうカウボーイ妙技のエキスパートがいるんだけど、彼が僕のトレーナーであらゆることを教えてくれた。最高にすごい人で投げ縄、鞭、銃使いのエキスパートなんだ。彼は本当に万能なんだけれど驚いたことに、それでいてとてものんびりとしてあっけらかんとしたタイプの人なんだよ。彼は自分の能力には確固とした自信があるから、何も意気込んで証明する必要もない。そういう人から学んだんだよね、この役柄に関してすべてを教えてくれたようなものだね。
 投げ縄や鞭に関しては、撮影に入った初日は、無知も同然だった。体を動かすことはできた、というのも格闘の振り付けは知っていたからね。それに関しては問題なかったかな。子どもの頃インディアナ・ジョーンズに夢中だったから鞭は持っていた。でも投げ縄を作ったり、鞭を鳴らしたり、拳銃を指先で回したりする術に関しては全くしらなかった。撮影に入った当初は全くの素人だったけど、 鞭に関してはかなり上達した。縄投げは超ヘタだったけどね。

──ウィスキーとエグジーが高速度で回転するゴンドラに閉じ込められてしまうシーンがありますね。このシーンを撮影した時はどうでしたか。

パスカル:あのときは辛かったね。よく映画制作の時に人が“あのシーンが最高に辛かった”って語るだろ? まさにそんな感じだった。あの撮影の後、数日間はぐるぐる回っていたよ。
 アルプス山脈のゴンドラでも撮影したし、スタジオ設置のゴンドラでも長時間撮影した。バランス感覚が平常に戻るまで、かなり時間がかかったよ。

──マシュー・ヴォーン監督と仕事をして、どうでしたか?

パスカル:彼はとてもテクニカルな監督で、彼が与えるチャレンジには応えなくてはならない。とても優れた目の持ち主だし、とにかく彼の鋭い目から逃れることはできないんだ。最高だったね。

ペドロ・パスカル
ペドロ・パスカル
Pedro Pascal

1975年4月2日生まれ、チリのサンティアゴ出身。チリの政変のため家族とともにデンマークに亡命し、後にアメリカに移住。ニューヨーク大学芸術学部ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツに学び、テレビドラマを中心に活躍。『グッド・ワイフ』(09年〜11年)、『メンタリスト』(13年〜14年)、『ゲーム・オブ・スローンズ』(14年)、『ナルコス』(15年〜17年)などに出演。チャン・イーモウ監督の『グレートウォール』(16年)にも出演。