1963年11月10日、イギリス・ロンドン生まれ。大ヒット作『ノッティングヒルの恋人』(99年)では主人公の友人・バーニー役を演じ、注目を集める。その他の作品に、『シャンプー台の向こうに』(00年)、『アイリス』(01年)、『パディントン』『パディントン2』(14年、17年)などの映画、『名探偵ポワロ』(10年)などのテレビドラマがある。
世界中で大ヒットを記録した『パディントン』シリーズ最新作『パディントン2』が公開を迎える。ペルーの密林からやってきた熊のパディントンと、彼を家族の一員として優しく迎え入れるブラウン一家が織り成す、非常に心温まるヒューマンストーリーが展開される本作だが、そんな作品の魅力の一翼を担っているのが、ブラウン家の大黒柱ヘンリー・ブラウンだ。
そんな頼もしくもあり、独特の愛に溢れたブラウンを演じたヒュー・ボネヴィルが映画PRのために初来日。『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵ロバート・クローリー役でも知られる彼に、作品の魅力や、昨今の映画を取り巻く環境などを語った。
ボネヴィル:これだけ日本の方が『パディントン』を温かく迎えてくれるのは想像していませんでした。プレミアでも、パディントンの格好をされた方がいてとても嬉しくなりました。イギリスで通用しても、他国で評価を得られる保証はなく心配だったのですが、日本のみなさんの反応を見て、とても嬉しくなりました。映画というものは、とても多くの人が携わって作り上げるものですが、うまくいかないことは多々あります。そのようななか、こうしていい形で完成でき、世界中の方に観てもらえることに感謝しています。
ボネヴィル:非常に嬉しい気持ちでもあり、また不思議な気持ちでもあります。来日した日に街中を歩いたのですが、想像できないところから『ファンなのでサインください』といわれたのには驚きました。カメラがついてきているのかなと思ったぐらいです。しかも『サインしてください』と差し出されたものが、昔に私が携わった作品のものだったのです。イギリスから遠く離れた場所で、自分たちが作ったものを楽しんでくれる方がいるというのは感慨深いです。
ボネヴィル:観客のみなさんも感じていることだと思いますが、私のなかで一番に感じたのは「世の中はもっと素敵なはずなのだ」ということです。テレビシリーズには『ブレイキング・バッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』など楽観的ではない作品が多く、意外とおじいちゃんとお孫さんが一緒に楽しめるような映画やドラマが少ないのです。現実世界がとてもシニカルになってきている現状でも、『パディントン』はイノセントやポジティブな感情を思い起こさせてくれるのです。とはいいつつも、私も『ブレイキング・バッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』を見るのは大好きなのですけれどね(笑)。
ボネヴィル:俳優がこの言葉に反応するのはわかります。俳優というものは、みなさんどこか自虐的であり、このセリフを聞いて苦笑いを浮かべるのは、そこになにか真実が潜んでいるからだと思います(笑)。ただ俳優というものは、否定されることが多いので、かなりの精神力は必要だと思いますし、嘘を生業にして、ローンを返していかなくてはいけないのは奇妙な職業だなとは思います(笑)。
ボネヴィル:20年ぶりでしたが、昔に戻ったような気分でしたね。「光陰矢の如し」といいましょうか、時間というものはあっという間に過ぎ去るものなのだと実感しました。でも、グラント自身はなにも変わっていませんでした。いい意味で昔からブラックユーモアがあり、主役を張れるような俳優。笑いのセンスも以前と変わっていませんでした。でもお互い「年を取ることを受け入れるということは、いいことなのだ」という共通の認識はありました。人生経験はないよりもあった方がいいですし、年を取ることを忌み嫌う必要はないのです。
ボネヴィル:確かに消費の仕方が変わってきていますよね。最近でいうと、Netflix やAmazonのようなストリーミングサービスの台頭は、映像制作のあり方にすごく影響を与えています。近年は映画俳優だけではなく、映画を昔手掛けていた脚本家なども「ドラマのシリーズものの方が、面白くて冒険できる」といって、乗り移っていく人間もいます。
ボネヴィル:エンターテインメントの消費の仕方も変わってきていますね。70〜80年代は、映画は映画館で、多くの人と一緒になって泣いて笑ってストーリーを共有していたのですが、いまは自宅にて、スマホやパソコンで作品が観られる時代です。どんどん内向きになっていて、スマートフォンばかり見ているような世の中。しかしそんな時代だからこそ、映画というものは必要だと思うのです。でも現状は、お客さんが映画館に行かないという時代になってきており、作ったものの出口が詰まってしまっています。なので、ぜひ興行側、劇場の人には、出口を絶やさず踏ん張ってほしいのです。
ボネヴィル:まだ日本を探索する時間がないのですが、東京の文化なのか、日本全体の文化なのかわかりませんが、非常にエキセントリックな一面がありつつ、みなさんとても礼儀正しいことに興味を持っています。
(text&photo:磯部正和)
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