1951年11月27日生まれ、カリフォルニア州出身。サンフランシスコ美術大学卒業後、コロンビア大学院芸術大学院で映画を学ぶ。広告モデルなどを務める一方、83年の『ラブレス』で長編映画監督デビュー。89年にジェームズ・キャメロン監督と結婚、91年に離婚。『ストレンジ・デイズ/1999年12月31日』(95年)が赤字となり、02年の『K-19』も興行的に失敗するが、『ハート・ロッカー』(09年)でアカデミー賞監督賞など6部門を受賞。その他の作品に『ニア・ダーク/月夜の出来事』(87年)、『ハートブルー 』(91年)、『ゼロ・ダーク・サーティ』(12年)などがある。
1967年7月、捜査中の警官が黒人少年を殴ったことをきっかけにデトロイト市内で勃発、5日間続いた暴動で多数の死者を出し、街も廃墟となったデトロイト暴動──この渦中に起こった惨劇“アルジェ・モーテル事件”を描いた『デトロイト』が公開された。
『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞したキャスリン・ビグロー監督の渾身作で、白人警官たちが“容疑者”を暴力的に尋問していく様子に戦慄が走る。圧倒的なリアリティで話題を呼ぶ本作について、ビグロー監督に聞いた。
監督:今回のように、現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史と、生存者にも亡くなった人たちも含めて関わった人々に責任を持つ心構えが必要です。
監督:この映画の製作準備の中で最も貴重な体験は、不幸な事件を経験しながらも生き抜いてきた人々との時間を過ごせたことです。彼らのおかげで、事件当夜の状況を細部に至るまで解明することができました。50年経った今も、彼らの多くは事件の話になると動揺を隠せないことは明らかでした。それは当然のことです。
監督:不思議なことに、それについては気にしたことがないんです。でも、時代性の正確な映画にするという点は非常に重要でした。だから詳細までこだわりました。例えば、アメリカは、現在では道路に2本の黄色のラインが引かれている。当時それはなかったから、すべてのシーンで道路の1本のラインを消しました。
監督:予算上の問題で、デトロイトで撮影できませんでした。撮影する1年前にデトロイト市のやっていた映画撮影税金免除が廃止されたんです。そうでなければデトロイトで撮影するのが完璧だった。準備までしていたんです。クルーを雇ったり、その為のセットを作ったり……。ところが税金免除の法律が廃止されることが本決まりになって、たったの3日で、撮影をボストンに移動することになりました。ボストンの映画撮影の税金は比較的安いので、予算の上で随分節約になりました。ボストンこそ、米国での映画撮影のホットスポットだと思いますよ。
監督:予算を確保するのはいつも難しいですね。あと、責任もある。桁外れの予算を使いたくはないんです、責任を持てる範囲の予算で映画を作ることを心掛けています。
監督:事実にフィクションを加える場合、批判の的になることは避けられません。『ハート・ロッカー』の場合はイラク、『ゼロ・ダーク・サーティ』の場合はオサマ・ビンラディンの捜索が実際に起こった事ではあるものの、私の映画はフィクションであり、ドキュメンタリーではありません。『デトロイト』について言えば、1967年7月について30時間のミニシリーズという形で作ることも可能なはず。映画にするということは、事実を凝縮し物語を作り上げることが必要になる。しっかりとリサーチをして事実を知り、その中から正確な判断によって物語を作り上げていくことが必要。この事件の場合、たくさんの記録が残っていたから、事実を埋めるための大きな工作、でっちあげをする必要はありませんでした。
監督:キャスティング用のシナリオは脚本を模したもので、状況に応じて臨機応変に対応しなければならない部分を残してありました。俳優たちの機敏な対応や想像力の高さを確認するためです。また、流動的な状況でどれだけ彼らがリラックスして演じているかを評価することができました。この方法で、私はキャストを選定したのです。今回出演が決定した俳優は皆、例外なく深みのある演技力を備え、豊かで複雑な感情を、スクリーンを通して伝えることができる人たちでした。
監督:キャストたちが、演じる時に抱く感情には気に掛けていました。特にウィルにとっては、役柄としても精神的につらいものだったはずです。
監督:この分野で仕事をする機会をもらえたことは幸運だったと思います。ただアクション映画のジャンルについていえば、もっと内容の濃いアクション映画が出てきてほしいと思うんです。今は、映画で社会的な話題性のあるテーマについて取り組むことに切実さを感じます。映画のような媒体を通してたくさんの観客に触れることができるのは……少なくともその機会をもらえるのは、映画監督として嬉しい事です。映画が成功するしないに関わらず、そのテーマの話題性を広げるという点で有意義なことだし、責任のあることだと思うから。ジャーナリストにしても同様だと思います。ある種の責任が自分の仕事にかかってくる。事実を確認する必要もあるし、書いていることがどれほど信頼性があるのかを確認することも必要。また、そこに自分の角度というものを加える点も大切だし、何について書くか、何について書かないのか、も重要になります。同様のことが映画作りにも言えると思います。
NEWS
PICKUP
MOVIE
PRESENT
-
【舞台挨拶あり】齊藤工が企画・プロデュース『大きな家』公開直前舞台挨拶付試写会に15組30名様をご招待!
応募締め切り: 2024.11.22 -
『型破りな教室』一般試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2024.11.29