1990年10月1日生まれ、東京都出身。2012年に、ミス日本「ネイチャー」を受賞。舞台を中心に活動するかたわら、グラビアでも人気を博し話題に。『相棒』シリーズ(17年)や、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(17年)、『ハロー張りネズミ』(17年)などのドラマにも多数出演
文豪・谷崎潤一郎の短編小説を原案に現代劇として映像化する「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」シリーズ第2弾となる『富美子の足』。本作で、富豪の老人から“美しい足”を偏愛される女性・富美子を演じたのが女優・グラビアでも活躍する片山萌美だ。
劇中では、でんでん演じる塚越や、その甥でフィギュア作家の淵上泰史ふんする野田に、フェティシズムのはけ口のように弄ばれるシーンが展開するなど、官能的かつ刺激的な場面が目白押しだ。「なんでここまで我慢するのだろう」と主人公への思いをぶつけた片山が撮影を振り返った。
片山:早い段階で、お話をいただいたのですが、メインでやらせていただけるということでしたし、共演させていただくのも、でんでんさんや淵上さんにオファーしていると聞いていたので、非常に楽しみでした。すごい作品になるのではという期待が大きかったです。
片山:富美子をメインに読んでいたので、まず感じたのが、「我慢しているな」ということでした。お金のためとはいえ「お前が好きだから」ではなくて「お前の足が好き」といわれ、ずっと足を見られているわけで(笑)。かなりの苦痛なのかなと思いました。
片山:そうですね。何のために我慢をしているのか……ということは常に意識していました。足に蜂蜜をかけられても、舐められても、アリを這わされても、お金のため、母親とのちゃんとした生活のために我慢する。でも、そんな状況でも我慢すれば未来があるという気持ちを持っていることが、富美子にとってのよりどころであり、大切な要素だと思って演じました。
片山:そうですね。大切なものを守ったり、手に入れたりするためには、多少は我慢できるタイプだと自覚していますが、私だったら違う方法を考えるかな、という思いはありましたね。
片山:私が蹴るシーンは、野田と塚越という役柄上の人物に対して行っているのですが、実際はでんでんさんや淵上さんなので……。お二人は「大丈夫だから」とおっしゃってくれましたが、やはりためらいはありました。でも、中途半端にやって、何度もやり直す方が大変なので、言い方は変ですが、真剣に暴力をふるいました。
片山:難しいですね。人にはそれぞれ発散方法があると思うのです。富美子にとっては、それが暴力になってしまったと考えれば理解できますが、相手が望んでいる、いないにかかわらず、良いことではないと思います。でも蹴るという行為は、自分自身も痛みを伴うわけで、演じていて、その痛みによって、得るものもあるのかなということを考えたことがありました。
片山:さすがにありましたが、作品として良くなるために必要なものだと伺っていたので、そこは理解して臨みました。演技をする場面ではためらっている場合ではないので、思い切りやらせていただきました。
片山:すべては言い方だと思います。いまセクハラ問題で「Me Too(私も)」というのが話題になっていますが、相手が不快に思わなければ、決してセクハラにはならないと思うのです。この物語でいえば、でんでんさんが演じる塚越は、ある意味で狂いすぎていて愛おしいと感じます。偏愛ですが純愛なのですよね。可愛らしいなと思います。
片山:あまり自覚はしていません。強いて言うなら、私は人の雰囲気を見ますね。自分に合うかどうか、感覚で惹かれたりするタイプだと思います。
片山:人間というのは、こんなにもイライラできるものなのだなと実感しました。富美子があまりにも我慢していることに対して、片山萌美がイライラしていたのです。でもそれだけ、役柄に入り込んでいたのかなと思うと、こうした経験は女優としてプラスになったのかなと思っています。
(text&photo:磯部正和)
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