1985年5月24日生まれ、京都府出身。表現力の高いパフォーマンスが評価され、2007年からEXILEのツアーに参加。その後、2010年には三代目J Soul Brothers にパフォーマーとして加入する。ダンスだけにとどまらず、俳優やラジオのパーソナリティとしても幅広く活躍。「HiGH&LOW」シリーズなどを経て、『Love or Not』(17年)で初主演をはたす。2018年の主な出演作は、『パンとバスと2度目のハツコイ』や『ウタモノガタリ 幻光の果て』など。また、「八王子ゾンビーズ」では舞台でも初主演を務めた。
『サッドティー』や『知らない、ふたり』などを手掛けた今泉力哉監督最新作『パンとバスと2度目のハツコイ』が公開を迎える。本作で、深川麻衣扮する主人公・市井ふみが中学生時代から憧れる初恋の男性・湯浅たもつを演じているのが、三代目 J Soul Brothersのパフォーマーである山下健二郎だ。
「台本を読んだときに、最初はたもつという役柄に共感できなかった」という山下が、どのようにして役柄にアプローチをしていったのかを自身の恋愛観に絡めて語った。
山下:正直言って、最初に台本を読んだときには映像が想像できず、現場に入るまではすごく不安でした。でもクランクインしてからは、今泉監督といろいろお話をさせていただいていくうちに、作品の世界観にはまっていくようになりました。
山下:これまでの作品で一番難しかったです。いままでコミカルな役や、『HiGH&LOW』シリーズのようなキャラクターの濃い役柄が多かったので、切り替えが大変でした。なるべくいろいろなものをそぎ落としてフラットな状態で臨むようにしました。たとえば普段生活するうえで、一番リラックスしている状態はどんなときだろうと考えて、そのときの気持ちを想像して、表情を考えたりしていました。
山下:この役を演じるのは、僕にとってかなりのチャレンジでした。僕は結婚もしていませんし、子どももいないわけで、どうしても想像するしかない。しかもひどいことをされた相手に対してもずっと思いを抱いているという部分が、最初はどうしても腑に落ちなかったのです。今泉監督とも話して、かみ砕いて演じたという感じです。
山下:たもつの恋愛観は僕とは相当違うなと感じたので、周りのいろいろな人に夫婦の考え方や、なれそめなどを聞いて、多岐にわたる恋愛観を感じる作業をしました。でもたもつという男はとてもいい奴なんですよね。男として見習わなければいけない部分はたくさんありました。
山下:それこそが俳優の醍醐味ですよね。すごく勉強になることが多かったですし、想像力を駆使して役柄を作り上げていく作業はとても楽しかったです。
山下:とても個性的でした。あまり細かく演出をされる方ではないのですが、現場の空気感を大切にする監督でした。深川さんと僕の意見をとても大切にしてくださる方で、作品を一緒に作っている感じがしました。僕は今泉監督のスタイルがとても好きでした。
山下:好きになったら辛くてめんどうくさい相手なのでしょうね。プロポーズを断られるにしても、相手に明確な欠点があるわけではないので、納得いかないだろうし、彼氏はかわいそうだなと思ってしまいます。
山下:この映画を通して恋愛に対してはすごく考えさせられました。いろいろな意見があって、いろいろな形があるのだなということは勉強になりました。
山下:分かりやすいと思います。相手に好意をもったらしっかりと伝えたいと思うので、ストレートに言うと思います。そして相手からもはっきりと答えが欲しいですね。思わせぶりな感じでずっと待たされると、けっこう辛いです(笑)。割とはっきりした性格なので、ふみとたもつの恋愛はなんとなくモヤモヤした気分になりました。
山下:とてもまじめで、作品に対して真剣に取り組まれているなという印象をもちました。アイドルをやられていて、そこから女優業へ進んだようですが、いい意味で、まったくアイドル的な感じは受けませんでした。すごく覚悟をもってこの世界に進んだのだなと感じました。
山下:作品に携われば携わるほど、演技の魅力に気づかされています。2017年はいろいろなジャンルの作品に出演させていただき、多くのことを発見できた年でした。得意部分と苦手な部分もクリアになってきたので、今年はより精度を上げていきたいと思っています。
山下:得意というか、好きなのはコメディ的なもので、自分の面白い部分やテンションが上がるものは伸ばしつつ、シリアスな感じや、ヒール的な表現は苦手だなと感じたので、その辺りはしっかりと課題をもってクリアしていきたいですね。
山下:演技論とかはまったく話しませんね。ただ経験した現場の空気感などは、たまに話すことはあります。ただ、僕はお芝居をしているところを他のメンバーにみられるのはすごく恥ずかしいですね。できれば見てほしくないです(笑)。
山下:お話をいただけるのならばやりたいです。イメージを壊すことってこの仕事をするうえでとても大事なことだと思うのです。「全然イメージと違うよね」と言われると、とてもうれしいです。
山下:人間って100パーセント完璧な人っていないと思うのです。程度はありますが、人には言えない後ろめたさみたいなものってありますよね。そればかり気にしていると、自由な表現ができなくなってしまうのかなと思うこともあります。この作品でも僕の元妻は不倫をしていたという設定ですし……。一方的な正論ではなく、いろいろな意見があっていいんだと思います。
(text:磯部正和 photo: 小川拓洋)
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