1995年7月2日生まれ、福岡県出身。2009年に芸能界デビューを果たすと、2010年から雑誌「Seventeen」の専属モデルとして活動開始。翌2011年に映画『高校デビュー』でスクリーンデビューを果たすと、『愛と誠』(12年)、『ツナグ』(12年)、『天の茶助』(15年)らの映画や、ドラマ『馬子先輩の言う通り』(15年)、テレビ東京『新宿セブン』(17年)、映画『クジラの島の忘れもの』(18年)などに出演。
文豪・谷崎潤一郎の短編小説を原案に現代劇として映像化する「谷崎潤一郎原案 TANIZAKI TRIBUTE」シリーズの1作である『悪魔』。
本作で、吉村界人演じる佐伯と、前田公輝ふんする鈴木をもてあそぶ女子高生・照子を演じたのが女優・大野いとだ。「自分とは真逆の役で、撮影中は体調が悪くなった」と苦笑いを浮かべていた大野が、「初めての経験ばかりだった」という撮影を振り返った。
大野:人をおもちゃみたいに扱う気持ちは、少なからず理解できたりするのですが、それを行動に移してしまう照子にはなかなか共感できませんでした。なので、小悪魔気質の女の子たちを思い出しながら、イメージを作っていきました。
大野:なんとなくですが、相手を思いやることよりも自分の感情を優先してしまうことが楽しいと思えてしまう気持ちは理解ができるかな、と。誰しももっている願望のような気がするんですよね。
大野:ワクワクと不安が入り混じった感じでした。でも撮影中、体調があまりよくなかったのですが、いま考えると、知らず知らずのうちに不安な状態が体調に影響を与えていたような気がします。
大野:もともと人生経験も豊富ではないですし、男の人を惑わすような役をやるのも初めてだったので、見た人がどういう風に感じるのかなということは、とても不安でした。
大野:撮影前に、私の目がすごく印象的で「なにを考えているかわからないところが照子に似ている」と仰っていただいたので、そこは大切にしました。藤井監督はシーンごとに細かく演出をされる方でした。あとは、これまで監督に対して怖いと思ったことはないのですが、藤井監督は怖かったです。とは言っても、いつも笑顔で優しい監督でしたので、怒るとかそういう怖さではなくて、良い、悪いがはっきりしているので、その意味で背筋が伸びる現場でした。
大野:はい。でも腑に落ちる部分はありました。私は中学生のときから友だちに「目が死んでいる」と言われていたのです。私自身はそんなつもりではないのですが、なにか考え事をしていたり、想像したりしているときの目が、いい意味で言えば印象的だし、良くない言い方なら死んでいるになるのでしょうね(笑)。
大野:撮影期間はものすごく寒かったことと、鼻血を舐めたりするシーンなど、役でしか経験できないような場面はかなりの緊張感もあり、知らずのうちに負担になっていたのかもしれません。
大野:お二人とも本当に役に入られていたので、すごかったです。撮影でご一緒した場面以外のシーンも見ると、本当に強烈でした(笑)。
大野:藤井監督からは、この2人に対してなにも感じていない、興味をもっていないのが照子だと言われました。これまで二重人格ぶった女の子や、カルト宗教の鍵を握る女の子の役はやったことがあったので、その系統なのかなと思いながらも、それにプラスして男の人が入り込むので、新しい挑戦だと思ってやらせていただきました。
大野:あると思います。暗い役だとマイナス思考になってしまいますし、明るい役だと楽しい気持ちになります。
大野:こうしたプロモーションの時期は楽しいです。インタビューなどでも、これまでを振り返って言葉にすることで、知らなかった自分の一面も発見することができるし、自分がどれだけ成長したかも知ることができますからね。
大野:なんで興味がない人に対して、ここまでもてあそぶような行動をとったり、おもちゃにしたりできるのだろうという疑問がずっとありました。演じていてあまり楽しい気持ちになれる役ではなかったですね。
大野:どうなのでしょうか。でも最初にも話しましたが、自己顕示欲や、自分が上にいたいという思いは、誰しもがもっているものだと思いますからね。
大野:あると思います。かまってちゃん的な部分は誰もがもっているのではないでしょうか。でもそれを抑えるのが理性なのかなと。
大野:なれると思います。私は学生のころからちょっと変わった子に好意を抱かれることが多いのです。
大野:以前「なぜ私と一緒にいるの?」と聞いたら「なにかあっても言い返さないでしょ。なんでも受け入れてくれるから居心地がいい」と言われたことがあります。
大野:言わないですね。仕事などではしっかり意志は伝えますが、プライベートでは言い争いとかは嫌いなので我慢します。
大野:これまで私は徐々に作品に入っていくことが多かったのですが、撮影期間が長くはなかったので、短い期間でどれだけ自分の気持ちを切り替えることができるかが勝負だと強く実感しました。あとは、完成した作品を観て、もう少し色々な人と接したり、見て参考にしたりするなど、色々な経験を役にいかせたら思いました。そうすることで、男の人を惑わす演技も、より磨きがかけられたかなと少し反省しています。
(text&photo:磯部正和)
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