1983年6月8日生まれ、埼玉県出身。小学生時代から子役として活動、舞台やドラマに出演。01年に海外ドラマ『私はケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。以降、『DEATH NOTE』や『機動戦士ガンダム00』など数多くの作品に出演するほか、映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(16年)などで吹き替えを担当。声優をはじめ、俳優、歌手など多彩な活躍を見せる。
ゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品で、2万年もの間地球に君臨し続けてきたゴジラと人類の戦いを描き大ヒットしたアニメーション映画『GODZILLA』(通称“アニゴジ”)。それに続く『GODZILLA 決戦機動増殖都市』が先週、ついに公開された。全3部作の第2弾となる本作で、主人公、ハルオ・サカキの声をつとめた宮野真守に話を聞いた。
宮野:男の子って、何かしらの形で『ゴジラ』シリーズには触れてきていますよね。でも、僕のファン、とくに女の子たちは、『ゴジラ』シリーズを見たことがなかった子も多いんです。「新たに『ゴジラ』に触れた」と聞くと、今回、僕が参加することによって、『ゴジラ』シリーズを少しでも広めることができたのかなと思い、うれしかったですね。『ゴジラ』ファンの方々も、『GODZILLA 怪獣惑星』は、また新たな『ゴジラ』として楽しんでいただけたようです。『ゴジラ』の面白さがどんどん広がったんだなと感じられる声が届いて、それがすごくうれしくて。
宮野:プレスコ時には映像はできていなかったので、映像を見た感動は、きっとファンの皆さんと同じです。ハルオtati
が最初に戦うゴジラの大きさにも圧倒されたんですけど、その後にもっとでっかい〈ゴジラ・アース〉が出てきちゃったので(笑)。何しろ『ゴジラ』史上最大ですから。一ファンとして、すごく感動しましたね。プレスコのときは、「2万年後の地球はどんな風になっているんだろう」と、監督に聞きながら進めていましたが、やっぱり想像の域を出ないところはたくさんあったので……。実際の映像を見ると、感動もひとしおでした。
宮野:お昼のときに、みんなでご飯を食べに行くのが楽しかったですね。第2章の収録では、焼き肉を食べました(笑)。
宮野:杉田(智和)さんかな。杉田さんは、僕に会うとすごくほめてくれるんです。それで、ぽそっとボケを言う。そこに、僕が突っ込むっていうのが、基本のやり取りなんです(笑)。
この作品では、気心の知れた、そして声優として一緒に戦ってきた戦友たちと、また新たなものに立ち向かうことができました。とくにプレスコに関しては、僕らが主体になって、馴染みがない他のキャストの方に、どういう風にやればいいのかを示せたと思います。信頼できるみんなと、誰も見たことがない“アニメのゴジラ”と戦っていけたことが、心強かったですね
宮野:『ゴジラ』ファンとしては、そのワードが出てくるだけで、ワクワクしちゃうじゃないですか! 第1章で、メカゴジラがどういう形で出てくるんだろうと思っていたら、「うわー、こういうことか!」って。そこは、2年前の収録時にだいぶ盛り上がりました。「僕らが作る世界観でのメカゴジラはこうなんだ」と、やっと見せられるのは非常にうれしいですし、どういう反応が返ってくるのか、楽しみです。
宮野:とくに、第2章では、ゴジラの目が印象的に描かれますよね。ゴジラは神格化された何かであると感じられますし、アニメだからこそできるビジュアルの作り方だと思います。ゴジラって、世界の意思が集まった存在な気がするんですよね。古来、人間は災害を神とあがめてなんとか鎮めようとしてきました。ゴジラはまさにそんな存在。ゴジラに明確な意思があって、人間をどうにかしてやろうと思ってはいないと思うんです。だからこそ、ゴジラに立ち向かっていくなかで、人間のよいところも悪いところも浮き彫りにされてしまうんです。
そもそもゴジラは、人間が犯した罪の産物みたいなところがあるじゃないですか。それなのに、人間はある意味勝手にゴジラに負の感情を抱いて、立ち向かっていく。でも、ゴジラは人間が犯した罪の結果で……。だから、そこにはすごく矛盾があるんですよね。ハルオ自身もゴジラに対して過去からの憎しみがあるけれど、それすらも幼少期のこと。移民船の中には、ゴジラを知らない世代がたくさん育っているなかで、ゴジラは絶対的恐怖、絶対的災厄という認識がずっと受け継がれている。ゴジラを忌み嫌う気持ち、このままずっと宇宙で放浪するのも地獄だと思う気持ち、逃げようとする者、戦おうとする者……。そういうところは、アニメだからこそ描ける苦しさであり、人間のよいところ、悪いところじゃないかなと思います。
宮野:第1章から、ハルオはいろいろな選択をしてきて、ともすればまるで革命家のように人々を導いてきました。そして、第1章のラストでは、希望と絶望に直面します。ゴジラに勝てた。でも、もっと大きな存在〈ゴジラ・アース〉がいた。その上で、こんなに犠牲を出してしまった……。自分の行動に対して悩むんですよね。ハルオの人間的な部分がすごく見えてきます。それでも、彼は選択をしていかなきゃいけない。それは、考え方の違う他の種族にとっても同じこと。内容は細かく言えないですけど、そんな状況で、ハルオがゴジラに立ち向かうためにする選択は、すごく心を打たれるものです。単純に、かっこいいなと思いました。彼はやっぱり人を惹きつけるものを持っていて、それがこの物語の大事な部分だなと思わせてくれます。そんな第2章で、ハルオにとってユウコとの関係は非常に大きなものとなります。人間ドラマや心のつながりのすばらしさがクローズアップされていきますので、第2章ではそんな人間模様にも注目して見てほしいですね。
宮野:フツアがどういう存在なのかは、きっとみんな気になりますよね。ハルオにとって、「フツア」の存在は、すごく大きなもの。彼は、地球に対するこだわりが非常に強い人です。その地球は、2万年が経過して、ハルオ達が住んでいた時代から何もかも変わってしまっている。そこに、人類としての姿をもった種族を見つけるというのは、ハルオにとって特別なことなんですよ。そのうえ、瀕死の自分を救ってもらった事実もある。彼と「フツア」の物語は、興味深いものがありますよね。
宮野:第1章では、この世界はこういうものだよと、最高の自己紹介ができました。3部作の第2章ということで、制作スタッフは難しいところもあったのではないかと思うんですが……。非常に面白いことが、たくさん盛り込まれています。メカゴジラをはじめ、ゴジラファンにはたまらないワードがいっぱい飛び出しますし、人間ドラマにもぐっとスポットが当たります。グラフィック面でも、ヴァルチャーが飛びぬけてかっこよく描かれています。第3章に向けて、ここまで風呂敷を広げて、ハードルを上げてきたか!と思える第2章なので、皆さんに楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。
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