ギャスパー・ウリエル
Gaspard Ulliel
1984年、フランス生まれ。2001年『ジェヴォーダンの獣』(01年)で映画デビュー。アンドレ・テシネ監督の『かげろう』(03年)でエマニュエル・ベアールの相手役に抜擢される注目される。ジャン=ピエール・ジュネ監督と組んだ『ロング・エンゲージメント』(04年)で、セザール賞有望若手男優賞を受賞。この他の作品に、ハンニバル・レクターの若き日を演じた『ハンニバル・ライジング』(07年)、イヴ・サンローランに扮した『サンローラン』(14年)、セザール賞主演男優賞を受賞したグザヴィエ・ドラン監督作『たかが世界の終わり』(16年)などがある。本作のギョーム・ニクルー監督が企画を務めたTVシリーズ『トワイス・アポン・ア・タイム』(19年)でも主演を務めている。
恐るべき悪女キャラが炸裂した『エル ELLE』で、64歳とは思えないセクシー美魔女ぶりを披露したイザベル・ユペール。彼女が、再び悪女キャラに挑んだ『エヴァ』が、7月7日より公開される。
今回、ユペールの官能と誘惑に狂わされる男を演じたのはギャスパー・ウリエル。演技力に加えてイケメンぶりでも人気のウリエルに、本作について、そして大先輩であるユペールの魅力について語ってもらった。
ウリエル:出会いのきっかけは、ドーヴィルのアジア映画祭なんだ。ブノワ(・ジャコー)が審査委員長で僕が審査員だったんだけど、すぐに意気投合した。そのあとユニフランスの視察旅行で、いっしょにニューヨークに行った。ブノワは「今度、いっしょに仕事をしよう」って言ってくれた。僕が彼の作品の大ファンであることも覚えていてくれてた。
ブノワと一緒に仕事をすることは、じっくりと腰を据えてお互いを見つめあうということだった。彼は映画製作者として、女優たちを輝かせることに余念が無い。彼の映画では、いつでも女性たちが原動力なんだ。だから僕は思った。「たった一度でも、男性をストーリーの原動力にしてみせよう」ってね。
ウリエル:彼はよく話を聞いてくれる。そして仕事が非常に早くて、最初は少々びっくりする。テイク数がとても少ないんだ。でもその方法を一旦受け入れたら、やりやすくなるんだよ。プロデューサーの家で食事をした際に、映画の話はせずともイザベルとの相性を見られていた。彼は洗練されたやり方で物事を采配するんだ。雰囲気を作ることにも長けていて、役者たちを上手に誘うんだよ。
ウリエル:「エヴァとは一体何者なのか?」という問いには誰も答えられない。だからこそ魅力的な人物なんだ。彼女は二面性を持っている。ベルトランを演じる中で僕が関心を持ったのは、ベルトランをできるだけエヴァに近づけることだった。2人は多くの面で似ていることに僕らは気づいた。2人の詐欺師が、自分の幻想の物語を互いに紡ぎ合うんだ。
ウリエル:イザベルと正面から向き合うのは何か怖い感じがする。憧れの俳優と共演することは、ある種の厳しさがあるよね。刺激的だけど、同時にとても怖いことでもある。そしてその恐怖からくる動揺がかえって原動力になったりするんだ。イザベルは、極めて熟練していて、他に類を見ない正確さがあり、同時に真の自由さを備えている。
ウリエル:新しい役柄を演じる時は、それまでの役を引きずらない。さもないと繰り返しになってしまう。新たな経験に新たな気持ちで挑むだけ。それが刺激的だし、興奮するね。
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