1961年6月28日年生まれ、東京都出身。1983年の「壬生の恋歌」(NHK)でデビューをはたしたのち、鋭い眼力と強面の風貌を活かし、主に悪役として出演を重ねる。その後、是枝裕和監督の『Distance』(01年)では第16回高崎映画祭・最優秀助演男優賞受賞し、09年には『湯けむりスナイパー』(テレビ東京)で連続ドラマ初主演。17年のタレントCM起用社数ランキングでは1位に輝くほど高い人気を誇っている。近年の主な劇場出演作は『ギャラクシー街道』(15年)、『うさぎ追いし 山極勝三郎物語』(16年)、『ミックス。』(17年)など。18年は、大河ドラマ『西郷どん』(NHK)や『バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜』(テレビ東京)に出演し、現在は『ドロ刑-警視庁捜査三課-』(日本テレビ)が放送中。
CMやドラマなどで見ない日はないといっても過言ではない俳優のひとりといえば、名バイプレイヤーの遠藤憲一。主役でも脇役でも唯一無二の存在感を放ち、シリアスからコミカルまで幅広くこなしている。一見、強面ながらもバラエティーなどで見せるチャーミングな素顔も人気の秘訣といえるだろう。
そんななか、主演最新作となるのは、『BE-BOP-HIGHSCHOOL』で知られる木内一裕の小説が原作の『アウト&アウト』。今回は、7歳の少女と相棒を組む元ヤクザの探偵・矢能を演じている。そこで、本作の現場での様子や最近の“アウトな出来事”などについて語ってもらった。
遠藤:今回、きうち監督は俺じゃなきゃダメとまで言ってくれたそうですが、いろんな役者さんがいるなかで、そんな風にストレートに指名してもらえることはすごくありがたいことだと思いました。
遠藤:はい、全部却下でした(笑)。
遠藤:監督にもいろんなタイプがいて、「自分が書いたものを変えられるのが嫌だ」というプライドから怒ってしまう人もいれば、机の上で考えてきたのと違うものになってしまうことにパニクっちゃう人もいるんですよ。
でも、きうち監督はそのどちらでもなく、「撮りたいものがあるから任せて欲しい」とおっしゃっていました。そのときは、「一体どういうものを撮るんだろう」と正直言って不安もありましたけど、自分だけだったらこういう表現にはならなかったなと感じたところもたくさんあったので、いまは監督の言う通りにやってよかったなと思っています。
遠藤:見る前はちょっと疑心暗鬼なところもあったんですけど、試写のあとは真っ先に監督のところに行って、「ありがとうございます! 宣伝がんばります!」と言ったくらい(笑)。だから、すごく感謝していますね。
遠藤:まずは「無駄な動きはやめて欲しい」と言われました。でも、本当はじっとしているのがあまり得意じゃないんですよ(笑)。だから、我慢するというのが一番大変なところでしたね。特に、ドシっとした男を表現しようとすると、立ち姿にも美学がないと迫力が伝わってこないものですが、そういうところは、若いときから結構訓練してきているので、それで乗り越えられたと思います。
といっても、怖い人の役は苦手なんですよね。ただ、「役者というのは、窮屈にされた方が新しいものが出てくる」と女房に言われているので、そういう意味では、苦手な役の方が何かにじみ出てくるものがあるのかなといまは思っています。
遠藤:というよりも、年齢とともにだんだん「違う」と周りから言ってもらえなくなってくるものなので、否定されながら自分の新たなものを出してくれる監督がいたほうがいいんですよね。きうち監督もそのひとりだと思いましたが、そうすることで自分では出せないものを引っ張り出してもらえる感じです。
遠藤:アイドルじゃないんで、ワーッとは集まってはこないですけど、テレビに移行してバラエティーとかに出るようになってから、小中高生の子どもたちでも気が付いてくれるようになったのは一番変わったところですね。
遠藤:照れるときもありますけど、こういう仕事なので、自分を知ってくれている人が増えたというのはうれしいです。とはいえ、もともと俺はダメ人間。そういうダメな部分をさらけだしているのを見て、おもしろいと思ってくれているのかもしれないですね。最初のうちは、「こんなところ見せちゃって大丈夫かな?」と思うときもありましたけど、いまは慣れましたし、みなさんが温かい目で見てくれているので、ありがたいなと思います。
遠藤:まず、世の中のことにだいたい適応できてないところ(笑)。たとえば、集団生活も苦手だし、みんながすぐできることにも時間かかるんですよ。これは子どものときから変わらないんですけど、数学を解くのも、美術でイスを作るのも、とにかく何をやってもトロいから必ず一番遅いんですよ(笑)。
遠藤:そうですね。セリフを覚えるのは遅いし、演劇でついた癖を取って普通に芝居できるようになるのにもすごく時間がかかりました。ただ、役者しかやれることがないんで、カメのようではありましたけど、コツコツやってきてよかったなといまは感じています。
遠藤:思いついたことをすぐに口に出すところです。たとえば、監督にああしてみたいとか、こうしてみたいとかを言って、すごい怒られたことも、やってみてダメだったことも過去にはありますけど、とりあえず遠慮しないというのは、20代のころからずっと変わらないところかもしれないですね。
遠藤:そうですね。20代のときは時間があったこともあり、絵を描いていきなり日展に応募してみたりとか、放浪生活みたいなこともしていました。だから、「思いついたらやる」というのは、ずっとやってきたことですね。いまは思いついてもできる時間がなくなっているんですけど、頭の中にはやってみたいものはいくつかありますよ。
遠藤:モデルとかクルーと一緒に放浪しながら写真を撮ったりしたいですね。あともうひとつは、「それは墓場に持っていく夢だよ」と女房に言われてしまっているんですけど、自主映画です。なぜ「自主」と言っているかというと、監督や俳優、脚本といった分担制にするのではなく、才能のある人たちで集まって、みんなで相談しながら思いつくままに撮影してみたいから。遊び兼仕事みたいな感じですけど、それができたら楽しそうですよね。
ただ、お金も実費だし、いろんな負担もあってなかなか難しいかもしれないので、あくまでも妄想ですけど……。とはいえ、頭のなかくらいはフットワークを軽くしていたいなとは思います。
遠藤:俺がアウトなことをやるのは、だいたいバラエティー。この前も立ち食いそば屋さんで取材したときに、「どうして立ち食いそばが好きなんですか?」と聞かれて、「温かいそばは立ち食いそばが好きで、冷たいせいろの場合は本物のお蕎麦が好き」って言ったらカットかかって、「ここも本物のお蕎麦ですから」って……。つい使えないことを言っちゃうんですよね(笑)。
遠藤:うっかりが多いから、生放送で変なこと言わないか気を遣いますよ。それでも言っちゃうから、最近もドラマの宣伝で出たテレビで、クイズの答えとして、ディズニーランドの「エレクトリカルパレード」と言おうとしたのに、「エレクトリックサービス!」って言っちゃって(笑)。
この映画のタイトルも『アウト&アウト』なのに、何度も『アウトアンド』と言ってしまったこともあったので、結構アウトなことは多いですね。だから、子役の(白鳥)玉季ちゃんにも現場でいろいろ言われていました。
遠藤:彼女は本当に鋭くて頭のいい子だから、お姉さんやお母さんみたいな感じ(笑)。下手すると説教されるくらいズバズバ言ってくるので、すごく注意されましたよ。
遠藤:全員ができるわけではないですけど、まずは敬語で話すのをやめさせるようにしていますね。やっぱりいろいろ教育されているんだとは思いますが、そうすると子どもの伸びやかさがなくなってしまうので。
ただ、どうしても俺の顔を怖がっちゃう子がいて、絶対に心を開いてくれないほど顔がこわばっちゃう子役もいました。そういうときはなるべく俺の顔が見えないところに行くようにしています。というか、それしか手段がないんですよ(笑)。
遠藤:最初は玉季ちゃんに気を遣いましたけど、あとは監督の指示通りに一生懸命やっていたので、自然な流れで余計なことを考えずに芝居ができたと思います。
遠藤:プロレスのときの中西さんはすごく強い人なのに、めちゃめちゃシャイで、ずっと緊張されていたんです。俺と絡むシーンの前に要潤くんと撮影していたんですけど、スタッフさんから「中西さんが要さんの目が怖くて見つめられないそうなので、遠藤さんは大丈夫ですかね?」と言われたんですよ。
でも、俺の方がよっぽど怖い顔しているから、「どうなっちゃうんだろう?」と思ったら、案の定ほとんど目を合わせないし、手帳を見ているところではページのないところまでめくろうとしていたほど(笑)。ただ、そういうところを監督がうまく撮っていたので、そのおかげですごくおもしろいキャラクターになったと思いました。
遠藤:いまの日本映画にはないような独特な世界観が出来上がっているので、若い子が観ても新鮮ですし、年配の方には昭和チックな空気も味わえるような作品です。女性からもとても好評なので、ぜひみなさんに劇場へ足を運んでいただきたいなと思っています。
(text:志村昌美/photo:小川拓洋)
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