1991年生まれ。大阪府出身。スターダストプロモーションのオーディション合格を機に芸能界入り。現在はエイベックス・マネジメントに所属。中田秀夫監督の『ホワイトリリー』(15年)で見せた体当たり演技で注目を集め、2017年2月には写真集『凛』を発売。その他の出演作には、映画『のみとり侍』(18年)、オリジナルビデオ『日本統一』シリーズのほか、テレビドラマ『さすらい温泉 遠藤憲一』(19年)など。4月10日〜14日には舞台「みんなのうた」が劇場MOMOにて上映中。今年7月には舞台「HERO〜2019夏〜」がヒューリックホール東京で上演される。
中田秀夫監督の『ホワイトリリー』で注目を集め、同じく中田監督が手掛けた最新作『殺人鬼を飼う女』では多重人格を抱える主人公を演じた飛鳥凛。15歳で芸能界入りしてから、様々な作品で研鑽を積んできた彼女に、大胆な性愛描写を含む作品に挑むことの意義や、新たな時代に向けての抱負を聞いた。
飛鳥:いちばん最初は、どういう風に撮影が進んでいくのかな?と思いました。松山さんは、10年以上前に映画でずっとご一緒したので、どういう人となりかは分かっていたんですけど、大島さんと中谷さんがどういう感じの方かは分からなかったんです。劇中では、私が他の人格を演じることもあるので、見た目ではなく雰囲気が一緒に見えるようにするために、3人を観察して、癖まで見なきゃいけないなと思いました。だから、撮影前は3人に早く会いたいなと思っていましたね。
飛鳥:『あ、人間らしくていいな』と思いました(笑)。女子だな、みたいな。けっこうみんな、サバサバしていて。全員、性格はすごく似ていたんですよね。現場にはたまに、女の子女の子してる、どう扱っていいか分からない、どう接していいのか分からないような女の子とかいたりするんですけど、そういう子じゃなくてよかったなと思って(笑)。
飛鳥:特に今回は、コミュニケーションを取らないといけませんでした。撮影期間も短かったですし、そういう部分でお互いを信頼してというか、気心を許していないと、たぶん刺激的なシーンも撮れないと思ったんです。なので、初めて会ったときから、『あ、こういう人たちでよかったな』と、本当に素直に思いました。
飛鳥:自分がここまでキョウコに近いというわけではないんですけど、こういうところってあるよねと思う部分があります。例えば、友だちに依存してしまうとか、自分の頭の中で考え込んでしまうとか、思った方に突っ走ってしまうとか。そういう部分はすごく共感できたので、実際にああいう風になっていくのは苦しかったですね。キョウコはどんどん追い詰められていったので(笑)。
飛鳥:終わった後に『あ、経験できてよかったな。この人生も』と思いました。演技しているときは何も考えられないんですけど、終わったときに幸せがじわっと来るというか……。
飛鳥:キャラクターの資料みたいなものを、最初の衣装合わせの時にいただいたのかな。それを読んできてくださいと。あとはリハーサルがあったので、撮影前のリハーサルで感情などを詰めていった感じでしたね。中田監督は撮影のちょっと前に『このシーンはこの繋がりでこうなります』というお話をしてくださるんですけど、それによって自分の中にキャラクターの気持ちが湧いてくるんです。
飛鳥:普段は、すごくお茶目でかわいらしい人です(笑)。甘いものがお好きで、お菓子とかよく食べてます。中田監督は、濡れ場のシーンで日本語を使わないですね。「あうう」とか、擬音を使うんです。
飛鳥:濡れ場のシーンがこうなってますという説明の中で、実演されるんです。「わうう」って(笑)。それで「じゃあ」と言って戻って行かれて、撮影するんですね。そういう感じは、中田監督ならではです。でも、一番わかりやすい。『ホワイトリリー』の時からそうなんです。
飛鳥:キョウコの母親である櫻木友香里(根岸季衣)がキョウコの家に来て「私の男を取ったでしょ」と張り倒すシーンですね。すごい迫力で、実際に現場でもガチ泣きするくらいでした。痛くはないんですけど、気持ちの面で泣いてしまいました。あのシーンは、1回か2回くらいで撮ったんです。角度とかを変えて撮っていたんですけど、特別時間をかけたシーンというわけではなかったです。
飛鳥:特にどの作品がということではないんですけど、海外の映画やドラマを見たときに、日常でそういう場面ってあるじゃないですか。普通の人でも。日本の作品って、けっこうそれをすっ飛ばして、目をつむっていて、キスがギリギリというか。そこから先はもう次の日になっていて、想像してください、みたいな。私はそういう場面でこそ「人間のずるさ」や「いやらしさ、汚い部分」が表れるのではないかと思っているので、そういうシーンが、あってもいいのかなと思っていて。確かに、演じるにはすごく勇気が要るし、女性だから肌を晒すのはっていうのもあるんですけど、作品の一つとして、そういうシーンがあったとしても、それで何かを表現できていればいいな……という気持ちで取り組んできましたね。
飛鳥:まず度胸がつきます(笑)。あと、中田監督には繊細な表現を求められたり。指先の一本一本までお芝居を付けていただいたんです。「ここの指はこうじゃない」と指を動かしていたりしたので、そういった細かい部分の表現などで、色々とプラスになりましたね。
これまで濡れ場では、先輩の役者さんと絡むことが多かったんです。『のみとり侍』もそうでした。『のみ取り侍』では、寺島しのぶさんと阿部寛さんのからみも生で見たんですよ。私の撮影と同じ日にされていて「やっぱりすごい」って。いやらしいんですけど見入っちゃう、不思議な現場でした。そういう現場を経験できるって、他にはないことだと思うので、自分にとってすごく良かったと思います。
飛鳥:前の事務所を辞める前に、舞台で3人芝居をやったんです。もともとが小説の作品だったんですけど、女の子の一人語りで物語がずっと進んでいく、そこに語り手の同級生とよくわからない女の子が出てくるんですけど、基本は私が冒頭からずっと小説を読むだけの舞台でした。2時間ずっと喋りっぱなし。
それまでは、それほど語りの芝居を舞台でやったことがなかったんです。経験があったのは、キャラクターもののお姫様みたいな感じの役だったので、それ以外の役をそのときに初めてやって。「お芝居って楽しいんだな。伝えることって楽しいんだな」と思いました。舞台だから、目の前のお客さんが号泣していたりとか。私にはその感情はないのに、私の代わりにお客さんが泣いてくれているのを見た時に「女優さんのお仕事って、すごいことなんだな」と思ったんです。
飛鳥:映画とかドラマとなると、どれくらいの人が見るかは分からないけど、それだけの人がもしかしたら私の一言で、感情が動いて泣いてくれているかもしれないとか、そういうきっかけがあると思うだけで、すごくやりがいがあります。それに、自分と違う人生を経験できるのは、すごく楽しいこと。だから、またやりたいと思って、戻ってきました。
飛鳥:人生の中で後悔することが、一つもないんです。すごくいい時を生きてきたんだなと思います。前の事務所を辞めることになって、一般の仕事をしようと思ったんですけど、『やっぱりお芝居やりたい』と思ったときに、今の事務所の方とたまたま出会って。そのまま中田監督の『ホワイトリリー』のオーディションの話がきました。「受けさせてください」となって、受かって、中田監督にお世話になることになって……ということが、怒涛にあって。すごくタイミングが良かったですね。
飛鳥:昭和の女優さんって、味があって素敵な方が多いですよね。平成でお芝居を始めて、平成で一生懸命頑張ってきたので、次の元号の世代の女優さんが出てきたときに「平成の女優さんって、すごくいい雰囲気を持っているよね」と言われるような仕事をしていきたいなと思います。
(text&photo:岸豊)
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