1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2015年、第12回「FINEBOYS」専属モデルオーディションでグランプリを獲得。2016年にドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』に出演し、以後『嘘の戦争』(17年)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(18年)などのドラマに出演。映画は『キセキ-あの日のソビト-』(17年)、『兄に愛されすぎて困ってます』(17年)、『きらきら眼鏡』(18年)、『春待つ僕ら』(18年)、『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』(19年)などに出演。現在、NHKドラマ『ミストレス〜女たちの秘密〜』(毎週金曜22時)に出演中。
佐伯泰英の最高傑作にして、平成で最も売れている時代劇小説シリーズでもある「居眠り磐音」が映画化された。故郷・豊後関前藩で起きた哀しい事件により、互いに切磋琢磨してきた幼なじみ2人を失い、祝言を間近に控えた許嫁を残して脱藩し、浪人の身となった坂崎磐音の物語が、主演の松坂桃李を中心に若手からベテランまで幅広いキャストで映画化された。
参勤交代を終え、磐音とともに帰郷したその日に悲劇に巻き込まれる河出慎之輔を演じる杉野遥亮は本作が時代劇への初出演。新しい挑戦で得たもの、今後目指すものについて語ってくれた。
杉野:正直、「怖いな」とまず思いました。
杉野:時代劇は、どちらかというと僕も見てきていないジャンルでしたし、今まで自分がやってきてた作品と毛色がガラッと変わる。その変化に自分が対応できるか分からない怖さがありました。
杉野:現場に入ってからはありましたね。『居眠り磐音』は自分にとって、幾分か経験を積んできたものをちょっと見せることができたらいいなと思っていたタイミングの作品でもあったので、撮影前はそれがプレッシャーになっていたんです。でも撮影に入ってからは、そういうことを考えるよりも、現場に松坂さん……というか磐音がいると安心できる、という感覚でした。特に何を話したというわけでもないけど、心のよりどころになっていたんだな、と映画を見て思いました。
杉野:難しかったですね、すごく。3人のバランスは意外と慎之輔が取らなきゃいけない部分があったりもしたので。でも、柄本さんがうまくそこを合わせてくださいました。
杉野:確かに、特に柄本さんと対峙をするところは「どうしよう」と思っていました。全然理解できないことも多くて考え込んでしまって、その日が来るのが怖いなと思ったり。結局、想像するしかないんですよね。自分が経験してきたことに当てはめることもできない。これほどの絶望って、俺味わったことないなって、やっぱり思いました。
撮影の日は自分を追い込んで、追い込んでということをやっていました。このシーンは特に終わった後、どっと疲労感がありました。頭が白くなってしまう感じです。慎之輔は今まで僕が演じた中では、すごく印象的に残る人物です。真っ白で純粋。それが魅力の人だから、そういう人がこんな悲劇に遭ってしまう。そういう人だからこそ招いた出来事かもしれないなと思うと、またそれも二重三重に切なくなるかもしれないです。
杉野:根っこの部分はあります。負けず嫌いなところとか。ただ、それをどういうふうに相手に伝えたり、表現したり、その先を考えたり、というところは少しでも、たぶんそれは慎之輔の方が俺よりも思いが強いんだろうな、と。一個一個に対しての熱量が大きい。真っすぐなんだろうなと思いました。
杉野:それはやっぱり自分の目で見て、本人に直接聞きたいです。慎之輔は、それが怖かったんでしょうね。何もしないわけにはいかないくらいの憤りもあっただろうし。僕はそれほど人を愛せたことってあるかなとも思いました。
杉野:そういう話は僕も聞いていたんですけど、実際はすごく愛がある、特に時代劇に対して愛と熱量があるということなのだと実感しました。東京ではなかなか感じられない熱量でした。
杉野:いや、そんなことないです。全然違います。人見知りだし。結構考えちゃうし、相手の裏を読もうとしたり。どう甘えていいのかも分からなかった。今回は演じた役も役だったというのもあるかもしれないけど。
杉野:僕は木刀を握るところから始めました。剣道とか何もやったことなかったんです。腰を入れる、と言われてもイマイチよくわからないなと思ったり、木刀を振りかざして相手に当たっちゃったら怖いという気持ちもあるって。
杉野:正直に言うと、乗り越えられたのかなって思います。自分が満足するほどの準備はできなかった気がするし。1ヵ月ぐらい前から稽古しましたが、まだまだでした。でも、その悔しさをばねに、次につながるなと思いました。自分の思い通りになかなかいかなかったんです。自分が想像していたよりも全然難しかった。
杉野:そうですね。やっぱり楽しかったから。また京都に帰ってきたいなとすごく思ったんです。でも、そう思う以上、ここは通らなきゃいけない道です。これをできるようになれれば、また自分の中でも可能性が広がっていくと思っています。
杉野:最初は事務所に所属させてもらってオーディション受けたり、ワークショップに行く中で、なんとなく自分は俳優という仕事もするのかな、と思うようになっていきました。そこから『キセキ -あの日のソビト-』を経験して、その後もどんどんどんどん経験するごとに思いが強くなってった感はあります。自分はこの仕事で生活してるんだという思いもで出てきました。
杉野:模索中ですけど、自分が持ってる言葉で表現してお客さんを、感動させたいという思いが今すごくあります。それがどういう形になるはわからないですけど、思いを自分の言葉でちゃんと伝えたいなと思います。
杉野:そうかもしれないです。
杉野:また別です。それもやってみたいなと思っています。今は。
(text:冨永由紀/photo:小川拓洋)
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