1985年3月26日生まれ、イギリスのロンドン出身。舞台俳優の父と劇作家の母を持ち、7歳でテレビに初出演、9歳で映画デビューを果たす。1999年に『スター・ウォーズ エピソード 1/ファントム・メナス』で、ナタリー・ポートマン演じるアミダラ王女の影武者を演じて注目される。『ベッカムに恋して』(02年)を経て、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03年)のヒロインを演じ、一躍スターに。『ラブ・アクチュアリー』(03年)、『プライドと偏見』(05年)、『つぐない』(07年)、『わたしを離さないで』(10年)、『はじまりのうた』(13年)、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(14年)、『コレット』(18年)など数多くの話題作に出演している。
1890年代、ベル・エポック期の活気あふれるパリで頭角を現し、スキャンダラスな魅力で人々を魅了した女性作家、シドニー=ガブリエル・コレット。彼女の波乱と情熱に満ちた人生を描いた『コレット』が5月17日より公開される。
ココ・シャネルやジャン・コクトー、ジャン=ポール・サルトル、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなど名だたる才能と親交を結んだ時代の寵児を、イギリス人女優キーラ・ナイトレイが魅力的に演じている。
ジェンダーにとらわれず恋を謳歌し、自立した女性の先駆けともいうべきコレットの生き方について、ナイトレイが語った。
ナイトレイ:ストーリーも人物も魅力的だと思うわ。コレットの処女作は傑作でティーンエージャーの概念を作ったと言われてる。少女から女性への過渡期を表す言葉はそれまでなかった。
「クローディーヌ」シリーズは10代の女の子の性の目覚めを描いてる。ヴィクトリア時代には画期的な内容だったの。当時、女性に性欲はないと思われてたから。でも、それは事実ではないとコレットは初めて公言したの。その点から見ても、彼女は真に革新的な作家だったわ。
ナイトレイ:彼らは今でいうところのセレブ夫妻だった。2人は、一緒にいるととてもパワフルだったの。いつもスキャンダルで世間を騒がせ、どこへ行っても注目の的。それにセレブ夫妻らしくブランドを展開してた。小説の主人公クローディーヌの商品よ。香水とか化粧品を作って売り出してたの。
2人ともよく分かってたの。本の売り上げにスキャンダルが貢献するとね。意図的に利用したのよ。
ナイトレイ: この仕事で楽しいのは演じる人物の気持ちを想像する作業よ。彼女はなぜ夫を捨てず作品をゆずったのか。2人の関係の何がこの状況を生み出したのか。それを考えるのが俳優業の醍醐味ね。コレットとウィリーは偉大なる変人カップル。2人は見事な合作を生み出したの。
コレットが書いた初期の小説にはウィリーの手が入ってる。彼は書く自信と助言をコレットに与えた。彼女はウィリーを追い越し彼の手に余るように。そして小説は大成功ベストセラーになったわ。
妻の作品を自分の名で発表した彼は、成功すればするほど後に引けなくなり、「実は妻が書いたんだ」と言えなくなった。そのことが2人の間で大きくなっていったの。恐ろしい秘密を共有することで、夫婦の力関係は変わっていった。そして、ついに限界がくる。ドラマチックな状況よね。
ナイトレイ:ドミニクはウィリー役にぴったり。ウィリーはあまりハンサムじゃないから意外だったけどね。だからファットスーツや変な付けヒゲで強引に外見をウィリーに似せたの。
それでセクシーさは影をひそめたけど、彼はとてもチャーミングで不思議な魅力を持ってる。ウィリーもそうだったはず。だから楽しく共演できた。ドミニクは素晴らしい俳優だしすごく茶目っ気がある人よ。それに超イケメン。
ナイトレイ:私はコレットのファンよ。特に「シェリ」以降の作品が好き。
登場人物がみんな魅力的なの。今回、最初の夫(ウィリー)とのことを初めて知ったわ。支配したりされたりする2人の関係が興味深いし、そこにクリエイティブな要素が加わってる。本作は、女のほうが男よりずっと才能豊かだった場合の複雑な男女関係についても描かれてるの。
ナイトレイ:本作は、一生を描くような普通の伝記映画とは違っていたわ。コレットが題材ならいくらでも映画が作れそう。この脚本のいい点は、ある一時期に焦点を当ててることね。それとウィリーとの関係にもよ。
彼女は当時にしてはすごく進歩的な女性だったの。というよりベル・エポックという特別な時代の一部だった。性的に解放されていて、性欲は男性のものだと思われていた中でぶっ飛んでたわ。
トランスジェンダーのミッシーという愛人がいたの。男性だけじゃなく女性とも寝ていた。しかも夫婦はお互いの浮気を隠さなかった。ウィリーにも古くからの愛人がいたし、コレットにも恋人がいたわ。ストーリーの主軸に据えるにはピッタリよ。
コレットが劇場で働き始めるのも見どころよ。お芝居やパントマイムをしてね。自ら上流社会に背を向け、街で貧乏暮らしをしてステージに立つ。強烈な人よね。
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