1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。2012年、講談社主催「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳でファッション誌『ViVi』(講談社)の最年少専属モデルになる。女優デビュー作は、2014年のテレビドラマ「ダークシステム恋の王座決定戦」。以降、『天の茶助』(15年)、『貞子 VS 伽倻子』(16年)、『闇金ウシジマくん the Final』(16年)などに出演。2018年に『私にXXしなさい!』(18年)で映画初主演し、2019年には『Diner ダイナー』でヒロインを演じたほか、『地獄少女』『惡の華』に主演し、2020年は『AI崩壊』にも出演。テレビやWebのドラマ、ラジオ、CMなど幅広く活躍している。
客も店主も殺し屋ばかりの食堂を舞台に、スリリングな駆け引きが描かれる『Diner ダイナー』。原作は平山夢明の同名小説で、監督は極彩色の映像美で知られる蜷川実花。キャストには主演の藤原竜也をはじめ、窪田正孝、武田真治、斎藤工、小栗旬、土屋アンナ、真矢ミキなど錚々たるメンバーが揃い、それぞれが狂気に満ちた個性的なキャラクターを熱演。
そんな中、食堂に迷い込んでしまうヒロイン・オオバカナコに抜擢されたのが、ファッションアイコンとして若い女の子たちに大人気の玉城ティナだ。近年では映画やドラマの話題作に立て続けに出演し、女優としての評価も高まっている彼女に、撮影を振り返ってもらった。
玉城:蜷川作品に携われたことを光栄に思いました。ちょうど20歳になった頃に撮影が行われたので、これからの私の20代を作っていく作品になるんじゃないかと思いました。でも、やはり最初は、純粋に関われることの楽しみ、好奇心でしたね。
玉城:蜷川監督は、褒めて褒めて誘導してくださるのですが、そこは基本的に変わらなかったです。映画の演出については、蜷川監督は多くの言葉で語らずに(役者に)任せてくださるんですけど、すごく大事なシーンでは、決して(役者を)責めたり孤独にしたりすることなく指示してくださいます。いつも優しく誘導してくださったのが印象に残っています。
玉城:なんだろう。たしかに自分で言うのは難しいのですが、私の地元は沖縄で、デビューしたての頃、沖縄から(仕事のために東京へ)通っていた時代から、蜷川さんが私を撮ってくださっていました。今、大人の年齢になった私を映画に起用してくださったことは運命的なものを感じました。嬉しかったですし、蜷川さんのためにも頑張ろうと思いました。
玉城:カナコは、ここ(食堂)に来たくて来たわけではなくて、迷いこんだアリスのような存在だと思います。私自身もそこに少しだけ共感して、現場での私の心細さや不安がカナコによい意味で投影されたらいいな、と思って演じていました。今、完成した作品を観てみると、すごい方々と毎日一緒に過ごしていたんだな、と思うのですが、その時は本当に生きるか死ぬかのような気持ちで向き合っていたので、毎日毎日が一瞬でした。
玉城:カナコとしてこの状況を受け入れていくように、私自身も少しずつ現場に自然体でいられるようになりました。監督やキャストとコミュニケーションをとりながら過ごしていたのですが、蜷川さんの世界観といいますか、美術も含めて、多くのクリエイターが一緒に創り上げている現場で、そのヒロインとしてここにいる、ということにドキドキしていたのですが、みなさんが温かくて、本当によかったなと思っています。蜷川さんも、「不安があれば何でも言ってね」とおっしゃってくださいましたし、藤原さんも、演技についての直接的なアドバイスはなかったのですが、ボンベロ(藤原竜也が演じる元殺し屋のシェフ)としての厳しさと優しさが藤原さんご自身から伝わってきました。
玉城:私はフラットなタイプだと思います。家に帰ればちゃんとオフに切り替わりますし、役をひきずりませんね。カナコとして大変なシーンはありましたが、撮り終わってしまえば、「はい、次」という感じですね(笑)。
玉城:そうですね。撮影現場ではケータリングの食事が癒しのひとつでした(笑)。みんなでお仕事をして、ごはんを一緒に食べるのはすごく大事だな、と思いました。そういう場だから話せることもあるので。カナコは映画の中では孤独な状況から始まりますが、現場ではそんなことはなかったです。
玉城:得意というか、料理はします。料理を覚えたのは上京してからで、母親に教わったというよりは、レシピを検索して調べたりして「やってみようかな」という感じで。上京した年齢が早いので、自分で料理をするようになったのも、同年代の子よりは早いかもしれませんね。
玉城:うーん。和食ばっかり作ります。独り暮らしの女の子ですと、パスタとか作っているイメージがあるかと思いますが、私は和食が多いです。
玉城:お味噌汁がとにかく好きなんです。ほっとします。
玉城:全然作らないです(笑)。実家に帰ったときの楽しみにしています。ふだん料理を作るときは、レシピを見るときもありますが、ありあわせのもので適当に作ることも多くて、そうなると失敗するか美味しいかの差が激しいんですけど(笑)。
玉城:日々さまざまな共演者やモデルの方々と出会ってお仕事をしていく中で、私ひとりでは何も生み出せないということに気付くようになりましたし、いろいろな人たちが発するものを吸収して成長している気持ちになれました。“この日を境に”とか“この作品を通して”というよりは、毎日毎日の積み重ねの中で、反省点を振り返ったり、こういう風にしたらよかったのかな、と自分の中でポジティブに改善点を見つけたり。人とのかかわりを通して、そういう風に思いますね。
玉城:心配性だけど、最終的に「なんとかなるでしょ」っていう沖縄の精神が組み込まれているのかもしれないです(笑)。
(text:中山恵子/photo:中村好伸)
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